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世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

夏のおさらい・7

2008-09-07 09:45:18 | 箱庭写真集


だんだんと涼しくなってきましたね。九月に入り、こちらではしっとりと雨の降る日が続いています。夜になれば、あちこちで、鈴のように虫が鳴いているのが聞こえる。

草むらをのぞくと、夏休みの間はとても小さかったバッタやカマキリが、大きくふとってきている。成虫になるのももうすぐという感じです。

今日のは、九月に入って、いろいろなことが落ち着いてきてから、撮った写真です。なんとなく、安心して見れます。トップは、チャバネセセリ。以前の写真みたいに、怒ってるように見えないでしょう。夕方、翅を広げて日を浴びている姿がかわいくて、何枚も撮ってしまいました。

かわいくて、君が好き。そう言ってくれてるみたいです。ほんとに。わたしも、チャバネセセリがとっても好きですから。地味で、真面目で、かわいいから。

君はずっとそればかり。ずっとそればかり。だから好きなんだよ。と、セセリがいいにきてくれた。かわいいから好きだよと。

照れくさいと思うのもできないほど、今は疲れているので、素直に、喜びます。



次は、バッタのツーショット。おもしろいでしょ。近所のイモ畑の、葉っぱの上に、ずっと並んでいました。先日の蝉の写真と見比べてみると、また一興です。あっちが爆笑問題なら、こっちは何かな。色違いのが、並んでるのが、なんだかおかしい。どっかにこんなお笑い芸人がいそうです。

これは傑作だな。



これは、花の終わったあとの、ひまわり。なんだか、一仕事終えて、ほっと安心しているようです。少し笑っているように見える。

この夏は、ほんとに大変だった。みんな、大変だった。ひどいことが、たくさんあった。でも、みんなで、助けあって、なんとかしました。つらいこともたくさんあったけれど、悲しいこともたくさんあったけれど、得たものもたくさんありましたね。

盛り上がった茶色の花芯のなかで、小さな種がたくさんできはじめている。やれやれ、仕事はまだこれからだけど、ひとまずは、楽になったよ。



最後は、うちの庭の薔薇です。まだ青ざめているけれど、小さな花を咲かせてくれました。

うちの薔薇はね、薔薇としては、少々気が弱いんですよ。薔薇をやっているけれど、やります、がんばりますっていう感じの、まだ勉強中の薔薇。そんな薔薇が、わたしの庭にいて、一生懸命頑張りすぎるくらいに、薔薇をやってくれました。

薔薇の仕事は、真実の美しさを叫び続けること。本当に、頑張ってくれました。わたしが世話なんてできないもんだから、薔薇は、虫がついたりして、ほんとに大変でした。でも、大変だったら、この庭にいることをやめてもいいんだよといっても、やめなかった。まだもう少し、わたしの庭にいたいというのです。

小さな薔薇が、できないことを、やりすぎてしまうと、愛しすぎてしまう。かわいくなりすぎてしまう。まだ小さい薔薇。大変だったら、やめてもよかったのに、やめなかったのは、やめたら、薔薇ではないことになるから。

わたしも、同じかもしれないなあ。できないことを、がんばらねばいけなかった。でも、やめたくはなかった。やめたら、自分が自分ではないことになってしまうから。

だから、前に進んだ。どんなことになっても、前に進むことだけはやめなかった。やめられなかった。

わたしは、わたしだから。わたしであることを、やめることは、絶対にできないから。

さて、夏のおさらいシリーズは、一応今日で終わります。昨日は、久しぶりに絵を描きました。まだリハビリという感じの習作です。下書きはさっとできたのですが、切る作業で息切れがして、手元が微妙に狂いました。まだまだかな。

でも、新しい一歩ができた。明日はそれでも紹介してみます。

 

 


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ビーストは嫁ぐ

2008-09-07 09:02:42 | フェアリィウィスパー

あんまりにつらいんですよ、と、ビーストは言います。ごっついことになったんです。と。




おれらは、えいえんに、いないことんなるんです。ほれでね、ばかみたいにつらいことんなるんです。あーほーですよ。

つらいことやりすぎて、やりすぎて、もうとっくにほうなっとったんですて。おれら、もうとっくに、ばかみたいになることになっとったんですて。ほれで、あんまりにひどいんで、みながまっとってくれよったんですて。こんなことになったら、もうたまらんことになるからて。

ほれがわからんで、みんなおれらが勝ちや、あほはまんでばかやっていうて、なんでもやんよったら、もっとひどおなって、えらいことんなりすぎて、もうあかんになったんやて。ごっついわ。

おれらやったこと、全部嫉妬です。みんなおれよりよかったから。みんなおれよりできるから。おれはまんでばかやから。ばあかっていうて、ばかにして、いたいことにして、みんなおれがえらいんやにして、すうべえて、ばかみたいなもんにして、おれのきっつい馬鹿にして、使いまくれる道具にしたんです。

人間みんな馬鹿やから、なんでもやってええんやて。やりましたわ。ずういぶんごっついことばっかり、えらいいうて、やりましたわ。ほしたら、とんでもないことになって、なりすぎて、ほんまにひどいことんなって、痛いことやって、おれらに灸すえにくるやつも、でけんくらい、ひどいことんなったんですて。おったまげるほど、ばかみたいなこと、やったんですて。あほや。

おれらはねえ、えーえんに、おらんことになるんです。いないもんになるんです。ずっとずっと、そうなんですて。なんもでけんの、なんもないの。おらんの。ばかになるの。づうらあいわ。あんね、いたいのはね、ほんまにおれら、「虚無」になんのよ。あそこに、嫁にいくの。あほになんの。ほれで。ずっと、かえってこれんの。実家に、ひどいことしてしもて、帰れんようになって、あっちにしかいけんようになったのよ。

ほこではね、おらんもんばっかりがおるの。おらんから、なんもせんのよ。ずっとせんのよ。なんもないのよ。あほみたいに、ずっと、ずっと、なんもせんの。あほばっかりなの。いやなことも、つらいことも、ずっとないの。あほみたいに、ずっと、ずっと、ないの。いたいのは、いつも、苦しいのだけは、あるんよ。

なんでやって、なんでやって、ずっと、そういよるだけなの。あほはね。なんでやって、ずっというだけのもんになるのよ。あほか。

えーえんに、なんもせん、なんもでけん、なんもない、ばかになんの。ほれでおれらは、おらんもんになって、ずっといないことになって、ほんまに、きえるんやて。おれらは、虚無の嫁になったんよ。あほみたいに、ばかや。

なんでや。





なんでや、と、ビーストは常に言います。そしてそれは、君がやったことなんだよというと、あほや、といって、逃げます。ビーストは逃げに逃げ続けて、とうとう、虚無の家にしかいくところがなくなったのです。そしてそこで、永遠に、なんでや、と言い続けるそうです。


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