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世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

ビーストはつらしい

2008-09-01 16:40:34 | フェアリィウィスパー

つらしい、つらしい、つらしい、とビーストはうめきます。
つらしい、とは、「つらい」と「にくらしい」がつながったことばだそうです。いたい、いたい、いたい、つらしい、つらしい、つらしい、とうめきながら、彼らは憎らしい相手にすりよっていくのです。

おったあ、おったあ、おったあ、つらしい、つらしい、つらしい…

彼らは、いじめて、苦しめて、つぶした相手が、思い通りに死ななくなったのが、苦しすぎるのだそうです。いたい、いたい、いたい、というのは、ほんとうに、いちばん痛いやつが、どんなことをしても、死なないからだそうです。ずっと、そればかりで、やってきたのに、これしか、自分にはないというのに、それが、みんなだめになったので、彼らは、ほんとうに、ごおおおっついいくるしいいいいい、と、うめいています。ものすごい顔です。

おそろしい顔になったのは、ずっと、人を、いじめて殺すことしかしてこなかったからだそうです。全部そればかりで、自分が偉いにしてきて、一切、学んでこなかったからだそうです。痛いほど、それが偉いにしないと、なんでもない馬鹿以下のものになってしまう。あまりにもつらい。それがいやで、徹底的にやってやってやって、やりまくってきたのに、ぜえんぶ、だめになった。あほばっかりになった。いたいいいいいいいい。

これを、彼らはずっとやっているのですが、状況が進み、新しい事態が見えてくるに従って、こんなことになるのかと、呆然とし、あんまりにひどいことになりつづけているのです。本当に、いやなことを、ずっと続けていたら、こんなことになるのかと、わかったときには、ひどいことになりすぎていたのです。

今まで自分のしてきたことが、つぶての嵐のように返ってき続けている。痛いなんてものじゃないのに、だれも助けてはくれない。つらい感じで、自分が偉いにしてきたので、だれも助けてはくれない。全部自分でやれと言われる。でも、とてもできない。つらい、つらい、つらいいいいい。どうしたらいいんだと、痛いやつを、馬鹿にしてやれっていったら、それだけで、があんとくる。誰も辛いといわない。だれも、痛いといわない。にんげんを馬鹿にしたら、それだけでもう、人間ではなくなるから。どんなことでもやってやれといって、痛いことばかりしてきたら、こんなところまで落ちたというところまで、落ちて、それでもとまらず、どんどん落ち続ける。どおこおまあでえええ、いくのかあ、わからん。いたい、いたい、いたい。

つううらああいいいいい。つらい。つらい。つらい。ぜんぶ、いやだといえば、もおはあやあ、あほになる。つらい、ずうっとつらい。おれたちは、いたい、いたい、いたい、いたい、いたいいいいいいいいい。

ずうっといたい。

かあんぜんに、ばかになった。ばかにして、ばかにして、ばかにしまくって、おれだけが、えらいにしたら、ぜったいばかになって、つらいになる。ほれをばかにして、もっとばかにして、もっとおれがえらいにしたら、もっとつらいことになる。ほれもばかにして、ずっとばかにして、もっともっともっと、おれをえらくしちまったら、もうだれもこれないとこまできて、だれもつらいっていわないとこまできて、ぜったいばかになるってとこまできた。ほれでも、ほれをばあかっていって、ばかにえらいもんになろうとして、なろうとして、なろうとして、ぜんぶやろうとして、あほになるんですよお。いたいってもんじゃないよお。ぜんぶやってしまったんだ。あほになるんだ、ぜったいにいやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだあああ。。。。

いたいほど、えらいもんになったら、いたいほど、ばあかみたいなもんになったよ。すっごいえらいのに、だれもえらいっていわないのよ。すっごいびじんなのに、だれもきれいっていわないのよ。すっごいかっこいいのに、みんな、ばかっていうんだよ。おれらすごいもんになったのに、あーほっていわれるんだよ。つううううらああいいいいいい。いたましいほどやって、ぜんぶ、つらいにして、ずっとやってたら、ばかになったよ。いたいんだよ。

にくい。にくい。にくい。にくい。ぜんぶにくい。ほんとにえらいやつは、こんなことぜったいにしないから、せんでいいから、にくい。つらい。つらい。つらい。おれら、ぜんぶころしてきたの。おっとろしいことしてきたの。ぜったいに、いやだから。えらいやつがえらくなるのが、いやだから。きたないことなんぼでもして、つらいもんになったのよ。ぜったいにそれでないと、ええもんになれねえから。ばかがいいにして、うそがほんまにして、ぜんぶ、おれらがいいにしたのよ。ほれで、ぜんぶ、やりました。きついこと、ぜんぶやりました。ほんで、ばかになって、どこまでいくのって、いわれてます。あほですよおおおお。

つらい。


ビーストは、だんだんとひどいことになっています。けれど、なにもしようとしません。相変わらず、つらい、つらい、つらいと、言っているだけです。

聞かされているほうは、あきれつつ、ずっとそればかりだねと、嘆息するのみです。ビーストは、ずっとそればかりでいくよ、とこたえます。こればっかりです。


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夏のおさらい・1

2008-09-01 08:27:56 | 箱庭写真集


今日からしばらく、この夏に撮りためた写真を、紹介していきたいと思います。いろんなことがありすぎた夏。とても苦しいこともありましたが、それをいろんなことで、しのぎながら、なんとか生きていました。

一度、これはとても耐えられない、ということを経験したことがあって、苦しくてたまらないという日がありました。ひきこもり部屋にいても、寝てもたってもいられず、いらいらばかりが募っていたとき、ふと、呼ばれたような気がして車を走らせ、見に行ったのは、広い蓮畑でした。



青い空の下を、どこまでも広がる蓮根の畑を見ているうちに、恐ろしく悲しんでいた自分の心が落ち着いていました。わたしは、本当に傷ついていたんだと、そのときわかりました。人間は、たまらない仕打ちを受けるとき、耐えられないといって叫びをあげている心を、苦しさのゆえに黙らせてしまうことがあるけれど、その叫びを、どこかで聞きつけているものがいて、そうして、わたしの心が壊れないように、助けようとしてくれる。

蓮が、わたしを呼んでくれたのです。わたしの心を慰めるために。どこまでも広がる蓮の畑を見ているうちに、地上のこと一切が遠く離れて、清らかなどこかに心が連れていかれるような気がしました。蓮は浄土に咲いている花だというのは、決して嘘ではないような気がします。この世では決して癒されることのない傷ついた魂に、どこか見知らぬ清い浄土があるということを教えてくれる。そこにいけば、何も苦しいことはないと。人はただ、蓮のその話を聞くだけで、心安らぎ、何かが清められていく気がする。



それは、この夏で、一番つらい出来事でしたが、蓮のおかげで、なんとか乗り越えることができました。まだ少し傷の名残はありますが、というより、一生忘れられないような気がするけれど、なんとか、やっていけそうです。

あの時、蓮畑の周りを歩いて見つけた、蝉や、細いトンボや、空を走る飛行機雲も、すべてがわたしに声をかけてくれていました。蝉は、守ってあげるよ、とやさしく声をかけてくれました。助けてあげるよ。助けてあげるよ。見えない愛の響きが、ずっとそう言ってくれていた。



生きていけるな。ひとりじゃない。みんな、わかってくれている。わたしのことを。

やっていける。

そんなことがあった、この夏が、蝉の声と一緒に、静かに去ろうとしている。

子どもたちは今日から学校です。わたしはレース編みを一休みして、絵本ボランティアのための、仕事を始めました。

 


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