世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

遺言

2013-06-29 03:00:03 | 詩集・貝の琴


かぜが きみたちを
みちびくだろう
かぜに したがって
いきなさい

ほほえみを かおにのこして
きみたちがみる ゆくてに
あいの ひかりがさす

ついおくの そらに
ひかるほしが
だれなのか
わからなくても いまはいい

いいんだよ すべては
くるしいことは おわってしまえば
もう くるしくはない

かぜに したがって
いきなさい
かぜに

かぜが きみたちを
みちびくだろう




犬や猫

2013-06-20 04:45:46 | 詩集・貝の琴

犬や猫にも お礼を言おうね
犬や猫は ともだちになってくれる
ずっとそばにいてくれて
ほんとうにたいせつなことを 教えてくれる

きよらかな愛の中に つつんでくれる
ふしぎな目で 見てくれる
あたたかな命のあかしを 抱かせてくれる
泣きたいときには そっとそばに来てくれて
ひとりぼっちじゃないよと 言ってくれる

たいせつな君 たいせつな君
あいしているよ

花や木にも お礼を言おうね
花や木は せんせいになってくれる
にんげんの 知らない
ほんとうにたいせつなことを 深く知っている

さわやかな葉ずれの音で 心をそうじしてくれる
星のような色で ほほえんでくれる
くるしいときには ふしぎな歌で
心にあいた穴を 癒してくれる

たいせつな君 たいせつな君
あいしているよ

こころをつくして あいしてくれるみんなに
にんげんは お礼を言おうね
なんでもくれる いっぱいくれる
知らないうちに たくさんもらってた愛に
すこしでも おかえしをしようね

むずかしいことでも ひとつひとつを
たいせつにして 一生懸命に
正直に やっていこう
だいじょうぶ できるとも

知らないうちに もらっていた愛で
きみは 大きくなった
もう あたらしい世界に
はいっていこうね




海峡

2013-06-12 04:29:04 | 詩集・貝の琴

海峡を わたる橋を
幻の 空飛ぶ鯨でつくる
あるいは
緑山の谷間の 渓流の音の
空耳で つくる
ああ せめて
一枚の青いけやきの葉の
舟さえあれば
きみたちのところに
ことのはを とどけることが
できるのだが

なにもない
わたしには
ただ 小さく閉じた
かたつむりの しづかな声だけがある
小さな あまりに小さな
貝の 声が

一匹の白い猫を抱き
わたしは岸辺に立って
海に吹かれる
遠く離れていった
きみたちの 顔を見ることも
声を聞くことも もうできない
海峡は ハサミのように
深く きみたちとわたしの間を
切る

帰ろう と猫がわたしに言う
ああ 帰ろう
わたしは海に背を向けて
家に帰る
また明日 海辺に来ようと思っていると
だれかが ぱたりと音を立てて
わたしの背中の窓を 閉める

もう二度と来てはならないと
潮風が わたしに言う




風がささやく

2013-06-11 05:20:45 | 詩集・貝の琴

苦しくも 長き道を
来たりて
倒るることも せんなきと
身をよこたへし
地の上に
いつしか 絹のしとねありて
われしばし まどろみに落ちぬ

夢を見しか 見ざりしか
わからぬ間に
あまつ日の光の 語りし風が
われを 森林の声の
小箱に しまひて
小籠に鳴く 小鳥のごとく歌ふ
小さき おるごおるを
こしらへたり

狂おしく 鳴く歌の
たれに とどくと
聞くも せんなきゆゑ
聞かぬが
のどより熱く
引き出されし歌は
夢の向こうに鳴く
愛児の耳を恋ひて さまよふ

いづこに ゆくか
いづこに

苦しくも 長き道を
来たりて
足折れて 倒るる
わが身を 夢に包みて
風にかすめとられし つきしろのごとく
われをさらひし方は
どなたか
どなた か

われの われにあらざる
われを
小箱の鳥のごとく
まどろみの夢に 生きる

忘れよ と
空耳のごとき
風が ささやく




もういい

2013-06-03 03:58:54 | 詩集・貝の琴

たえがたいことを たえるのも
わたしたちのしごとと
思うてきたけれども

今あなたが たえがたきを
必死にたえていることをみて
たまらぬと思う

自分がたえるほうがまだましだ

泥のような逆流に
独り逆らって進むあなたは
まるで全身がそのまま
赤むけた傷のようだ
まるごと抱きしめて
もういいと言って泣きたい

もういい

あなたを抱きしめて
もういいと 泣き叫びたい




くりかえしくりかえす

2013-05-30 05:44:36 | 詩集・貝の琴

くりかえし くりかえす
潮騒の音に導かれ
どこにいくのだろう 地球は

くりかえし くりかえす
風の音に導かれ
どこにいくのだろう 人間は

くりかえし くりかえす
魂の声に導かれ
どこにいくのだろう わたしは

くりかえし くりかえす
季節のめぐりの中で
何を見出すだろう あなたは

くりかえし くりかえす
遠い呼び声の中で
いつ わかるだろう すべては

くりかえし くりかえす
愛のささやきの中で
いつ 気付くだろう 君たちは



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白い飴

2013-05-22 05:16:59 | 詩集・貝の琴

人間と 人間ではない人間が
混在している 人間社会
その実像を知っているのは
たぶん 天使だけだ
岩戸の中で 心閉じている
わたしにも 風の冷たさとして
それが伝わってくる
すべてをわかってしまうことが
苦しいので
わたしはすべてを
わからないようにしてはいるが
どうしても 感じてしまうことはある

未来が どのように塗られているのか
わたしには見えない いや
見えないようにしている
実像をすべて見ている彼は
何を考えているだろう
彼はわたしには何も言わない

ここのところ あまり表にも出てこない
たぶん わたしの感じることのできないところに
隠れていて わたしの様子を見つつ
何かほかのことをしているのだろう

実際に 存在してはならないはずの人間が
存在している
その意味を 理解できる人間はいまい
ふしぎなことは起こるが
それがどういう意味であるかということを
わたしは語るべきだろうか
知らない方がいいか

ともかく

未曽有の危機にあるということは
書いておこう
しかしそれは乗り越えられる
もちろん 高い試練がやってくるが
運命は受け入れねばならない
人々よ
あなたがたにとって
真実の運命があなたを訪れるとき
あなたがたは驚きを超えて 否と叫ぶだろう
だが 
できるなら それを静かに受け入れてほしい
でなければ あまりにも苦しい

苦しいことは 終われば
苦しくはない
すべてを耐えて 飛び込んでゆく
それが美しいことなのだと
わかってほしい が

あなたがたは わからないかもしれない
だが わたしは言う
最も悲しい運命を なめなければならないかもしれない
そんなことがありうるのかということを
見なければならないかもしれない
本当に つらい
だが 

あなたがたは 耐えねばならない
その苦しみを 受け入れねばならない
なぜならばそれは あなたがたが見捨てた
愛からの呼び声だからだ
もはや 逃れることはできない

愛していると言うことを
わたしは止められているので
あなた方にその言葉を言うことができない
今は だが
どうしても ことばがわたしの中であばれる
言わない だが 
わたしは わたしというものとして
ここにいる

小さな白い飴をつくりながら
待っている




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ほんとうの愛を

2013-05-17 06:33:45 | 詩集・貝の琴

ほんとうの愛を だましている
ほんとうの幸せを だましている
その悲しみが 君を育てるだろう

どんなに 愛しても
どんなに 愛されても
君が ほんとうの君でなければ
すべてはないに等しい

ほんとうの愛が 消えてゆく
ほんとうの幸せが 消えてゆく
最後まで 世界をだまして生きることが
愛する人たちをだまして生きることが
君にとって幸せなのか
すべてを 真実の光の中に照らされて
みんなを不幸にして
何もかもを失う方が
幸せなのか

君はどちらがいい

ほんとうの愛を ほんとうの幸せを
だましている その悲しみが
君を育てるだろう




ゼロ ワン

2013-05-16 06:42:32 | 詩集・貝の琴

ある日 数学の先生が言った
「0」 と「1」を 考える
「0」 は 何もない ということだとわかる でも
「1」 は 何なのか わからない

せんせい 「1」は ひとつある
 ということではないのですか?

うむ そのとおり
ではその 「ある」ということは何なのか
わかりますか?

「1」 がなければ なにもない
この「ある」がなければ なにもない
けれどもこの 「ある」ということが
何なのか まだだれにも
わからないのだ

なぜ「1」は あるのだろうね
なぜ わたしたちは あるのだろうね
ここに いるのだろうね

ゼロ と ワン の間に
一体何が 起こったのだろう
ワン はどうして 生まれたのだろう

君も ワン  わたしも ワン
たしかに いるね
はなしができるし
みつめあうこともできる
おもしろいね
なんだか ものすごく
すてきな 幸せだ

君も ワン  わたしも ワン






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だれかがつくってくれた

2013-05-15 05:24:59 | 詩集・貝の琴

朝おきて わたしは
だれかがつくってくれた ねまきを脱ぎ
だれかがつくってくれた 服に着替えます
だれかがつくってくれた パンを食べ
だれかがつくってくれた 靴を履き
だれかがつくってくれた 家を出て
だれかがつくってくれた 町に出ます

だれかがつくってくれた バスに乗り
だれかがつくってくれた 小さな店にゆきます
だれかがつくってくれた エプロンをつけ
だれかがつくってくれた キッチンに立ち
だれかがつくってくれた 白いコーヒーカップに
だれかがつくってくれた コーヒー豆で
いっぱいのコーヒーをつくります

わたしの仕事は お客様のために
いっぱいのおいしいコーヒーをつくること

仕事が終わると お店を出て
バス停までの道を 少し遠回りします
だれかがつくってくれた 川沿いの土手の上で
だれかがつくってくれた 美しい夕日をみます
そして
だれかがつくってくれた わたしの心を
だれかのおかげで 今日を無事に過ごせた
明るい幸せに 浸すのです




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