世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

ヘロとレアンドロス

2018-08-31 04:11:02 | 青空の神話


ドメニコ・フェティ


ヘレスポントスという海峡を挟んで、ヘロとレアンドロスは恋しあっていた。レアンドロスはヘロに会うために、毎晩海峡を泳いで渡った。ヘロはレアンドロスを導くため、毎夜塔の最上階でランプを灯した。ある冬の嵐の夜、風がヘロの灯したランプの火を消し、レアンドロスは方向を見失っておぼれ死んだ。レアンドロスの死体を前にヘロは発狂し、塔に登ってそこから飛び降りて死んだという。



恋というものは時に人を狂わすものだ。どんな難を飛び越えてでも恋人に会いに行ってしまう。何ものにもかえがたい愛する人と愛し合うことほど、人を喜ばせるものはない。だがあまりに夢中になっていると、時に運命の神に諫められることがある。人生のすべてをそのために生きるのではないと。





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ウルカヌスの鍛冶場におけるヴィーナス

2018-08-30 04:10:54 | 青空の神話


ル・ナン兄弟

ウルカヌス(ヘパイストス)はゼウスとヘラの息子だった。正妻の子ではあったが足が曲がって生まれたため、怒った母によって海に投げ落とされたという。彼は海の女神によって育てられやがて天に帰るが、母については苦い思いを抱いていた。それで母を罠にかけ、自分をヴィーナス(アフロディテ)と結婚させてくれるようたのむ。このようにしてウルカヌスはヴィーナスを妻にするのだが。ヴィーナスは醜い夫に我慢することができず、ほかの男と奔放に恋をするばかりだった。



ウルカヌスが不思議な目でヴィーナスを見ていますね。ヴィーナスも麗しい目を夫に向けている。神話はゆがめられています。女神になるような女性は、派手で男ぶりのいいマルスよりも、まずは実直なウルカヌスを選び、生涯添い遂げます。





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エウロパの誘拐

2018-08-29 04:11:03 | 青空の神話


レンブラント・ファン・レイン


フェニキアの王女エウロパは美しい姫だった。彼女に一目で恋したゼウスは、白い牡牛に化けて彼エウロパに近づき、それをさらう。そして彼女をクレタ島にまで連れて行きそこで妻にしたという。白い牡牛に化けたゼウスがエウロパを乗せて駆けまわった地域を、エウロパ、ヨーロッパというようになったという。



昔は略奪婚、誘拐婚などふんだんにありました。男は気に入った女が難しいと見れば、平気で力ずくでさらっていったのです。しかしそれがよい結果になったことはほとんどない。たいていは、思いをとげたあとで、思ったほどいい女ではなかったということくらいを理由に、簡単に捨てられるのです。
女性をさらってゼウスが駆け回った地域がヨーロッパだというのもおもしろい。後にこの地域の人間は、世界中を駆け回り、各地の女性を知ることになるからです。





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聖アガタの殉教

2018-08-28 04:10:59 | 青空の神話


ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ


シチリア島のカターニアに生まれたアガタはその美しさのゆえにローマ人権力者に目をつけられたが、意に従わなかったがために拷問を受けた。そのとき、両方の乳房を切り落とされたという。



むごいことですが、こういうことは昔、本当によくありました。美しい女性の乳房は、男性の嫉妬の対象にもなったのです。





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プシュケーの務め

2018-08-27 04:10:51 | 青空の神話


ジョン・ロッダム・スペンサー・スタナップ


夫クピドを疑いその姿を盗み見て、その愛を失ったプシュケは、夫の心を取り戻すために、ヴィーナスの課す様々な難題をつとめていく。そしてなんとかやりあげ、夫の愛を取り戻し、再び結ばれる。



愚かなことをするのは男だけではない。未熟な女性もよく男性を侮って軽はずみなことをし、大切な愛を失うことがあります。男に見限られる女ほど哀れなものはない。そういうことにならないためにも、馬鹿なことをした女性は、自分を小さくして、男性の愛を取り戻すための努力をせねばなりません。





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聖アントニウスの誘惑

2018-08-26 04:11:14 | 青空の神話


ロヴィス・コリント


聖アントニウスは三世紀のエジプトに生まれた。キリスト教徒として教育を受け、財産を貧者に施し、自らは苦行の日々に身を投じた。悪魔が彼の信仰を破壊しようと様々に挑んできた。悪魔はなまめかしい女性たちに化けて執拗に彼を誘惑する。彼はそれらの誘惑に耐えて、信仰生活を全うしたという。

*

苦行というのはやりすぎるのはよくありませんが、自分の淫らな欲を抑制するという訓練においては、実利があることがあります。人間は、我慢をすることができなければ、美しくなることはできません。性欲に耐えると言う訓練は、特に男性には必要なことでしょう。苦行とは激しい自己否定の経験だ。人間は一時期それに酔うかのように励んだことがある。自分というものがとても苦しかったからです。その自分を激しく抑制し苦しめることによって、清らかなものとなりたいという夢を見たことがあった。必要以上に自分を苦しめることはよくないが、ある程度の効果があることは認めてよいでしょう。





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ロトと娘たち

2018-08-25 04:11:41 | 青空の神話


フランチェスコ・フリーニ


妻と二人の娘たちをつれて、ロトはソドムから逃れる。振り返ってはいけないという戒めを破って振り返った妻は、塩の柱になる。残ったロトと娘たちは洞窟に住むが、そこでロトは娘たちに酔わされ、肉体を交えてしまう。娘たちは父によって一人ずつ息子を得た。



近親相姦は昔からありましたが、たいていは男の側からなしたものでした。女性の側から強いた例はほとんどありません。この話も男が作ったものでしょう。父親に性交を強いられる娘は昔からたくさんいたのです。






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アブラハムとイサク

2018-08-24 04:11:13 | 青空の神話


アンソニー・ヴァン・ダイク


アブラハムは年老いて得た嫡子イサクを生贄にして神にささげよとのお告げを受けた。アブラハムはそれに従い、イサクをつれてモリヤの山に向かった。イサクは生贄の羊がいないことをいぶかりながらも父についていった。アブラハムは盲目的に神に従い、愛する息子を殺そうとするが、その直前で神がそれをとめた。



神はこのようなことをなさいません。愛する子供を殺せなどと言うむごいことを、人間に強いたりはしない。ましてや、自分への信仰を試したりなどなさいません。このようなことを人間に命じるものは、必ず権力を持ったエゴイスティックな人間です。






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聖カシルダ

2018-08-23 04:10:49 | 青空の神話


フランシスコ・デ・スルバラン


カシルダは9世紀ごろに生きていたムーア人の王女で、父に反抗してキリスト教に改宗し、キリスト教徒の囚人の世話をし続けたという。キリスト教徒のもとに、パンを前掛けに隠して届けに行く途中でとらえられ、前掛けの中を調べられるも、パンはいつの間にかが薔薇に変わっていて助かったという。



キリスト教徒の受難の歴史は悲しみに満ちている。彼らはいつもイエスのように皆にいじめられて殺された。だがそれも、歴史を経ると、キリスト教徒は大勢に増え、反対に人をいじめるようになった。





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水浴するバテシバ

2018-08-22 04:10:50 | 青空の神話


アルテミシア・ジェンティレスキ


ある日ユダヤの王ダヴィデは王宮の屋上から美しい女の水浴を覗き見る。その女はヒッタイト人ウリヤの妻バテシバだった。ダヴィデはウリヤを戦闘地に置き去りにして殺させ、バテシバをわがものとし、ソロモンを産ませた。



明晰なる王の汚点として有名な話です。実話に頼った神話だが、このようなことをすると人は人望を失います。神話には伝えられていないが、ダヴィデはバテシバ以後、多くの人間の信頼を失ったようです。






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