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世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

鉄のごと

2013-03-13 06:14:55 | 歌集・恋のゆくへ




鉄のごと 重きますらを ひとりゐて まわりの者は 壁紙の柄





鞘のなき 白き刃を ひるがへし たれの血を飲む あまつあらしを





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銀河

2013-03-12 06:46:58 | 歌集・恋のゆくへ




明日散る 梅のゆくへは しらねども 星の川辺に 立つ君を見る






蒼杉の 星のまなこは 澄み渡り 何を悲しみ くちびるを縫ふ







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氷青の

2013-03-10 07:07:58 | 歌集・恋のゆくへ


氷青の 水晶の火の ごとく立つ 君を夢見る まいまいの床




氷青の 柱の心 正しくも 清きにあれば 赤き火を吐く




たまちはふ 神の真は 一なれど 人の数ほど 色は違へり




余と君の 間に咲ける 白百合の 面にぞ見る 君の痛みを




いかならむ こころ貫き みそらより 落ちし小鳥の ごときわれの身




白玉の 砕けて叫ぶ その声も かすかなりきと われは微笑む




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とんぼ飛ぶ

2012-10-22 06:45:01 | 歌集・恋のゆくへ

とんぼ飛ぶ 風のゆくへに ささやきの 鈴を投げては ことたよりせむ


うすあをき しじまにとぢる 鈴なれば 耳にとけゆく 間に秋はゆく


盃に 汲む酒にとる 青空を 一息にのめ 天つ日は降る


ひとときを ふたごの兄と 並びゐて ともに言編む 夢を見る空


天つ風 あをくたなびく ためいきの 主はたれぞと はねる若魚


しづかにも 君のかたへに ひそみゐて 玻璃の絹織る 我は野菫



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ながすゑを

2012-10-10 06:41:30 | 歌集・恋のゆくへ

ながすゑを おもひわずらひ 風窓に まよひきたりぬ 十六夜の月


追憶の 川面を歩き ひと振りの 金の笛吹く 風は血の声


痛きといふ 痛きおもひは 心臓の 隅に建てたる 小屋にしまひぬ


瑠璃の玉 手に弄び あをきもの すべてを思ひ なすべきをなそ


まんじゅしゃげ 摘みて抱えて なにもなき 胸満たさむと 百舌鳥の声聞く


秋の宵 枝に残りし 柿の実を ともしびと見て 道を正さむ


赤星の 空をすべりて われを訪ふ 長きおもひを 清めに来しと


泣けば泣け 喉割りて泣け たれがいふ わらひくだきて 前を向け我


若者よ つらしといふな くるしくも くるしといふな いへば星落つ


我は我の 君主とあれば 身を統べる ものは我のみ 我は我なり


長々と 歩き来し道 ふりかへり 月の光の さやけきの見ゆ


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さみしさの

2012-07-18 11:52:03 | 歌集・恋のゆくへ


さみしさの 水流し込む 水槽の 青きに沈む 蝋のてふてふ


すきとほる しらぎくの夢 破りきて 満身に塗る 自らの血を


黒蝿の ごとき眼を くりぬきて 地に打ち捨てよ いたましき者


星を練り 溶かして青き 玉として 新しき目を 君に与えむ


そのひとを 愚か者とぞ わらふ人 ありて阿呆の 仮面が割れる


維新とは 何とも古き ことばなれ 百年の酢の 瓶底の梅



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彼方より

2012-06-23 08:15:16 | 歌集・恋のゆくへ

彼方より きこゆる君の 魂を割る 叫びに我は 飛ぶ鳥となる


己が身の 骨を腐らせ 泣く君を 燃やす痛みの そはいかならむ


つたへたき 愛の響きを 君が背に ちひさき貝の 琴の音にそへ


胸の屋に ともる焚火に よりたまへ 菜の粥をやろ 歌うたひやろ


常に痛き 傷をまとひて 暗き野を 月を恨みて さまよふ人よ


風すさぶ 長き暗夜の 道なりて 夢のごとしと 今君はいふ


欲しきもの すべてえたりと いふ者の 胸を貫く 孤独のこほり



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風に浮く

2012-05-22 07:17:19 | 歌集・恋のゆくへ


としつきの 風の彼方に 君は見る この仮の世の まことの色を


夢見果て 夢見果てぬる 夢を見て まだ夢を見る まどろみのかほ


さいはひを 花にたとへて 君にそふ まことのむねを 君知らずとも


貝玉を さがしもとめて 砂をゆく 耳に流れる 海のため息


君知るや 赤き衣に 包みては 隠す心の さびしき青を


からからと 鳴る音もなし うつろなる 鈴をかかえて 君はわらひぬ


繚乱の 春には見えて 一枚の 衣を破れば からっぽの雪


道ありと 見ゆる景色の 風に浮く 仮寝の夢と 君はいつ知る


悲しきは 鳥の嘘音を 鳴く君を しじまの壺の 中に見る夢


戸を閉めて 鍵をかけなほ ふたつかけ 見えぬとおもふ ガラスの心



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光散る

2012-04-29 07:00:58 | 歌集・恋のゆくへ

光散る 野の草陰に 咲く花の かをるこころは 風のみや知る


うすべにの のばらにあれば 野に潜む われにふれるな 血に割れる指


風の香に 阻むものあり 見ゆるとも 薔薇の岸辺に ゆめちかよるな


世にありて 見ゆといえども ありてある われのこころは 月にしぞ揺る


戸を開き 鳥の小籠に しづもりて 文なすものの 影は夢なれ


去りゆきて なほとどまれる なよたけの とほきまなこは 月影に閉づ


ゆくものは たれなりやとぞ とふものは たれなりやとぞ われはとひぬる


くすのきの こかげに揺るる あをき目を 玉と見出す 者もなき世よ


いにしへの ゆめのゆふべに 見し鳥を 忘れずといひ 忘れ去る人


人の世に ありて来し身の おもひでを 海辺のかひに 語りてもみむ



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かへりこよ

2012-04-25 11:57:04 | 歌集・恋のゆくへ


かへりこよ かへりこよとぞ こゑありて 頭骨のうらの そは空耳か


ぬばたまの やみぢに落とす 星の実を ひろひつつ来よ さまよへるもの


てふてふの かげもなき野の やみにおち いづへにかゆく 石の吐息よ


まぼろしの しろきかひなの 天をさし うたへるこゑは われに何問ふ


さむき身の 風のこほれる 野に絶えて なよかへりこよ 星のかよひぢ


冬の森 星をたよりと まきひろひ 母のかまどの 燠火はわらふ


虹をなす 宝の夢の 色さめて 砂漠のそらに ふく風もなく


あさきゆめ みしとうたひて かへりこよ 無き海に浮く 船を待つ岸




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