モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

松代夢空間主催の「妻女山 花と歴史のハイキング2022」。斎場山や堂平大塚古墳、貝母満開の陣場平を案内しました。楽しんでいただけた様です(妻女山里山通信)

2022-04-17 | アウトドア・ネイチャーフォト
 松代夢空間主催の「妻女山 花と歴史のハイキング2022」のインタープリターをして、参加者の皆さんを案内しました。今回は信濃毎日新聞社の記者の方が同行取材をしてくれました(翌日の朝刊に掲載)。寒の戻りの前日と違い、晴天で徐々に気温も上がり、快適なハイキングができました。

 まず最初に案内したのは斎場山(旧妻女山)です。古代科野のクニの古墳で円墳です。川中島の戦いで最初に上杉謙信が本陣としたと伝わることや、古代科野のクニの話をしました。

 斎場山の山頂は円墳なので丸く平らです。上杉謙信は、ここに盾を敷き陣幕を張って鼓を奏でたと伝わるところです。そんな想像にふけるのもいいでしょう。

 次に行ったのは、御陵願平にある巨大なイノシシのヌタ場(泥浴び場)です。最初は落葉松の倒木の根っこの深さと大きさしかなかったのですが、水脈があることを知って、イノシシが鼻で土木工事をしてここまで広げたのです。冬の猟期に追われたイノシシが、氷を割ってここで火照った体を冷やすこともあります。

 朴の木の若葉。朴葉味噌にしたり、信州では朴葉味噌で信州牛を焼いたりもします。

 長坂峠、東風超えを過ぎてクヌギの樹液バーで説明。このあたりはほぼ平で、地名を御天上といいます。小さな女の子も、すごく疲れたみたいですが頑張って歩いてくれました。いい山ガールになってくれるといいな。

 陣場平の分岐を右へ下って堂平大塚古墳へ。友人で妻女山里山デザイン・プロジェクト(妻女山SDP)の活動を手伝ってくれた故人のKさんの話や、彼が掘り出した勅命と書かれた不思議な石碑を案内しました。GWには、彼が植えたたくさんのツツジが満開になります。

 妻女山里山デザイン・プロジェクトで保全活動をしている陣場平の貝母の群生地へ。その歴史や万葉集の歌や保全活動の歴史などを紹介しました。そして貝母を発見するきっかけとなった菱形基線測点の紹介も。ここでは時間をとって自由に撮影などをしてもらいました。ここに来て、この風景や小鳥の声を聞きながらボーッとしていると、色々なストレスも忘れます。

 葉の先がクルッと丸まっていますが、これを互いに絡み合わせて、この時期に発生する爆弾低気圧の強風から身を守っています。そう進化したのでしょう。触ると分かりますが、貝母の茎は非常に柔らかく柔軟です。強風には皆でつながって揺れながらいなすのです。古名は母栗、現在の和名を編笠百合といいますが、それはこの写真を見ると分かると思います。

 「時々の 花は咲けども 何すれぞ 母とふ花の 咲き出来ずけむ」丈部(はせつかべ・はせべ)真麻呂(万葉集) 「季節ごとに花は咲くのに、どうして母という花は今咲かないのだろうか(咲いていれば摘み取って共に行くのに)」。
 天平勝宝七年二月に、交替して筑紫に遣わされる諸国の防人たちの歌の中の一首です。これが貝母のことであるという説があります。貝母は球根の形から、母栗(ははくり)という古名があったそうです。丈部真麻呂は、遠江国山名郡(現在の静岡県袋井市)で徴兵され九州に派遣され国境警備にあたった兵士・防人(さきもり)でした。二月は現在の三月としてもまだ貝母が咲く前です。
 防人というのは、663年に朝鮮半島の百済救済のために出兵した倭軍が白村江の戦いにて唐・新羅の連合軍に大敗したことを契機に、唐が攻めてくるのではないかとの憂慮から九州沿岸の防衛のため設置されました。668年に唐により高句麗が滅びたことで危機感を強めたこともあったでしょう。防人は、21歳から60歳までの健康な男子が徴兵されました。任期は三年で、延長もされたそうです。食料・武器は自弁で帰郷は一人で帰るため、途中で野垂れ死ぬ者も少なくなかったとか。人民には重い負担になったようです。

 左に見える小高い膨らみは、高句麗からの帰化人の積石塚古墳です。今までは灌木の藪の中でしたが、今回藪を切り開いて看板を立てました。古墳と高句麗の説明も。

 クサボケの花も咲きだしました。実は地梨といって酒に漬けると、滋養強壮のリキュールになります。

 陣場平の下の入口に咲くズミ。昔はリンゴの台木として使われました。シジュウカラの鳴き声が聞こえます。コゲラのドラミングも聞こえます。GWになるとサンコウチョウの月日星ホイホイホイという鳴き声も聞こえるでしょう。

 これは前日にコースの下見に来たときに、陣場平に現れたニホンカモシカの子供です。まだ小さく角も短いので、昨年の7月に生まれた個体でしょう。他には、ヤマドリ、キツネ、タヌキ、ホンドテン、ホンドリス、月の輪熊などを目撃したことがあります。月の輪熊に関しては、拙書で「猫にマタタビ、月の輪熊に石油」という、それ何?というようなエッセイを載せています。今はヒオドシチョウ、ルリタテハ、テングチョウ、ミヤマセセリ、春型のキアゲハが見られます。やがて各種のゼフィルス(シジミチョウ)やウスバシロチョウが舞います。夏にはオオムラサキも。このブログの各月のアーカイブを見ると、どんな動物や昆虫、野草やキノコ、粘菌などが出るか分かります。

 今回皆さんにお話したのは、拙書でもそうですが、里山は人が何百年もかかって保全活動をしてきて今があり未来があるということです。そこには深い歴史があり、豊かな生態系があるということです。その大切さを皆さんにも広く知ってほしいということなのです。お金にならないからと里山をないがしろにして荒廃すると、麓に住んでいる我々の暮らしも崩壊するということを知っていただきたいのです。そして、四季折々の里山を楽しんで欲しいということです。ハイキングだけでなく、トレランやマウンテンバイク、バードウォッチング。写真撮影だけでなく絵を描きに来る人もいます。つる植物などで工芸をする方もいます。それぞれの楽しみを見つけて里山に親しんで欲しいのです。

 今回のハイキングで、自己紹介も色々したのですが、みなさんが驚いたのは、仕事でグルメ関係をして土井善晴さんやジュディ・オングさん、平野レミさんと仕事をしたことではなく、若い頃にアイドル雑誌のデザインをしたり、撮影のディレクションをしていて、アイドルが大好きなんですと言った時です。受けました。BABYMETALやハロプロのモーニング娘やJuice=Juiceがすきとか。このブログでも左のカテゴリーでリンクしています。モーニング娘の羽賀朱音ちゃんは松代中学の後輩ですしね。そうそう、村上春樹さんの国分寺のジャズ喫茶のアルバイトのフォトエッセイは世界中からアクセスがあるのですが、それは話す機会がありませんでした。それもブックマークの「国分寺・国立70sグラフィティ」でどうぞ。アマゾン一人旅もリンクがあります。ホームページは、CAPINOです。これもブログのブックマークから行けます。お問い合わせはメッセージからどうぞ。



 コゴミがたくさん採れました。野沢菜のとう立ちの菜花も。コゴミはおひたしと天ぷらが一般的ですが、旬のホタルイカとアンチョビーパスタにしました。激旨です。野沢菜の菜花は、甘くて少し苦味があり、これも和洋中華エスニック、なんにでも合います。アサリとボンゴレビアンコもおすすめ。いずれも春の滋味です。

 信濃毎日新聞の記事です。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日本の里山で唯一無二の貝母... | トップ | 妻女山陣場平の貝母、カスミ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アウトドア・ネイチャーフォト」カテゴリの最新記事