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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

花の聖山へ。360度の大パノラマを堪能もお目当ての二つには出会えず。ニリンソウ、フデリンドウ、ユキザサ、チゴユリ(妻女山里山通信)

2024-05-18 | アウトドア・ネイチャーフォト
 麻績村と長野市大岡(旧大岡村)に跨る聖山(1447.2m)は、北アルプスから戸隠連峰、四阿山から八ヶ岳連峰と360度の大パノラマで人気の里山です。県外からのハイカーも多く、連休や週末はけっこう混雑します。ということで晴れの金曜日にでかけました。お目当てが二つ+ひとつあったのですが、結局出会えず。自然相手ですから仕方がありません。

 標高1300mほどの遊歩道の様な登山道。左(南側)は、麻績村へ下る急斜面。右(北側)は、なだらかな落葉松林と別荘地。ただしクマの生息地なので熊鈴を。山頂直下の尾根で、藪を登ってくるクマを追い払ったことがあります。これは誤解を生みそうなので追記します。まず藪を登ってくる熊は小枝を踏んでバキバキ音がします。イノシシはブヒブヒいいます。ニホンカモシカは無音です。そして、お互い見えていないことが条件です。見えていたらできません。熊は本来臆病なので大きな音を出します。木を叩いたり吠えたり、ペットボトルを潰すとかホイッスルとかとにかく大音量を出します。拙書で10mぐらいで熊を追い払ったエッセイを載せていますが、これもそういう条件があったからです。ただ例外がある可能性はあります。まず熊の限界距離以内で出くわさないことが一番です。

(左)妻女山ではすでに結実し始めたウワミズザクラ(上溝桜)が満開です。(右)ムラサキケマン(紫華鬘)の群生地もあちこちに見られます。毒草ですが、ウスバシロチョウの食草。アリ散布植物です。

(左)聖峠の先にニリンソウ(二輪草)の群生地があります。(右)タチツボスミレ(立坪菫)。ニリンソウもですが、草丈が低く花も小さめ。3月の冷え込みの影響でしょうか。妻女山陣場平の貝母も、昨年より5〜10センチ低めでした。

(左)クリンユキフデ (九輪雪筆)。まだつぼみです。タデ科イブキトラノオ属の多年草。(右)ツタウルシ。触ったら酷くかぶれます。登山道脇にあるので要注意。

(左)ミツバツチグリ(三葉土栗)。(右)ヤグルマソウ(矢車草)の実生。

 フデリンドウ(筆竜胆)。リンドウ科リンドウ属に分類される越年草。以前コケリンドウと書いたことがありましたが、フデリンドウが正解の様です。小さいので、見落としがちな可憐な花です。

(左)ユキザサ(雪笹)。まだつぼみです。若葉は山菜として食べられます。似ているホウチャクソウは毒草です。(右)カエデの新芽。外皮は粘液で守られています。

(左)ハウチワカエデ(羽団扇楓)の葉。紅葉は鮮やかで美しい。(右)水道施設の屋根にタンポポ(蒲公英)の群生地。セイヨウタンポポとの交雑種でした。

(左)白樺の樹皮にウメノキゴケ。菌類と藻類などが共生する地衣類の仲間。藻が光合成を行い、菌類を助けるという関係があります。(右)猛毒のヤマトリカブト(山鳥兜)。ここのものは、草丈が1mぐらいになると横に伸びて行き、そこに花をつけます。イヤリトリカブト(居谷里鳥兜)といい、戸隠や飯綱で確認されていますが、聖山や冠着山、鞍骨山などでも確認しています。全つる性のヤマトリカブトを発見したので、今年はきちんと確認するつもりです。

(左)ヤマブキ(山吹)。(右)モミジイチゴ(紅葉苺)。赤い甘い実をつけます。

 チゴユリ(稚児百合)。俯いて咲く可憐な花です。花言葉は、「恥ずかしがり屋」「純潔」。毒草です。

 山頂。右奥に蓼科山。その右手前に美ヶ原。手前に四阿屋山。左へ子檀嶺岳。その左手前に大林山。1時間のコースを2時間以上かけて登ったので、皆さんは下山しました。ひとり占めです。

 南方の眺め。周囲を伐採したので展望が良くなりました。中央手前に四阿屋山。眼下は麻績村。右は筑北村。スマートインターチェンジができて便利になりました。

 拙書の表紙に使っている子檀嶺岳。独鈷山も掲載しています。その間は、信州の鎌倉といわれる塩田平。右奥には清少納言が七栗の湯といったという別所温泉。修那羅峠には、これは見逃せない石仏群があります。

 南西の眺め。松本盆地が見えます。長野盆地、松本盆地、佐久平が見えるのは聖山だけです。

 南西の筑北村方面。古い善光寺街道(北国西街道)が越えていた立峠があります。江戸時代には、立峠の石畳を通って多くの信者たちが善光寺へ参詣に行きました。古い街道は、長野国道事務所のサイトで見られます。地図も買えます。右奥の雪を冠った山は、乗鞍岳。
信州の街道探訪 - 関東地方整備局 - 国土交通省

 北東の眺め。善光寺平が見えます。私のホームグラウンドの妻女山山系。陣場平は川中島の戦いの上杉謙信の本陣として有名ですが、現在は私が主宰する妻女山里山デザイン・プロジェクトで保全活動をしている貝母(ばいも・編笠百合)の日本でここにしかない群生地として知られています。左のアーカイブで4月の記事をご覧ください。

 北北東には北信五岳が。陣場平山の中腹には、七二会から小川村まで集落が続き、横断する展望の良い道路があります。サイクリングコースとしてもお勧めです。

 西には北アルプスの仁科三山。左から爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳、武田菱で有名な五竜岳。

 聖湖と拙書でも紹介の三峯山。息子達が小さい頃に滑ったスライダーが見えます。右奥には、これも拙書で紹介の冠着山(姨捨山)が見えます。

 帰りに別の里山でコシアブラを採取。袴の部分が一番味が濃いので取ってはいけません。いがちくの手打ちうどんで、鶏天とコシアブラの天ぷらにします。

「鶏胸肉コシアブラ牛蒡人参干し椎茸ひじきアミエビ生姜昆布鰹出汁炊き込みご飯」
 鶏胸肉とゴボウ、ニンジンは、炒めて本味醂と醤油で照り焼き風の味付けに。椎茸ひじきアミエビは水でもどして。昆布鰹出汁にすりおろし生姜を入れて炊き込みます。コシアブラもゴボウも味が強いので喧嘩するかなと思ったら杞憂でした。それぞれの味が立って且つ絶妙なマリアージュ。箸が止まりません。忘れてました。自家製地大根の切り干し大根も入っています。これが香ばしいいい味出してます。油揚げも忘れてました。

 山蕗は採ってすぐならアク抜きは一度茹でこぼせばOK。皮むきは不要。干しホタルイカは信州では古くから煮物などに使われて来ました。非常に濃くて美味しい出汁が出ます。今回は身欠き鰊も入れています。ご飯のおかずにはもちろん、かけ蕎麦に汁も入れてのせると絶品です。

皐月の妖精ヒメギフチョウを求めて聖山に登ったのですが…。ヤマシャクヤク(妻女山里山通信)
花の聖山へ。北アルプス含め360度の大展望が魅力。ヒメギフチョウとの邂逅(妻女山里山通信)

「村上春樹さんのピーター・キャットを中心とした70年代のクロニクル」というムサビの美大生時代に彼のジャズ喫茶でアルバイトしていた当時のブログは世界中からアクセスがあります。この文章をクリックで見られます。ロンドンに5週間住んでいて、Queenのフレデイ・マーキュリーの恋人のメアリー・オースチンが勤めていたBIBAの店で当時の私の恋人が彼女からジャケットを買った話。70年代の美大生の赤裸々な人生が見られます。

インスタグラムはこちらをクリックツイッターはこちらをクリックYouTubeはこちらをクリック。米子大瀑布、絶滅危惧種のナミルリモンハナバチ・キバネツノトンボ・北信流など。これからどんどんアップしていきます。
 
もう一つの古いチャンネルはこちら。76本のトレッキングやネイチャーフォト(昆虫や粘菌など)、ブラジル・アマゾン・アンデスのスライドショー

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『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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