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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

晩秋の米子大瀑布へ。権現滝(男滝)と右に不動滝(女滝)の夫婦滝。根子岳山荘カフェで至極の絶景コーヒーを(妻女山里山通信)

2023-11-05 | アウトドア・ネイチャーフォト
 米子大瀑布は、根子岳、四阿山、浦倉山が形成する大カルデラの最北部の秘境にあります。古くから不動信仰、山岳信仰の聖地として有名です。また、主に硫黄を産出する鉱山としても古くから知られていました。
 米子鉱山の起源は古く、江戸初期ともいわれています。日本三大不動尊のひとつ米子不動尊(瀧澤山家原院如来寺→米子瀧山威徳院不動寺)は、奈良時代に行基により開山された古刹といわれています。また、奇妙滝のある奇妙山は仏教用語の「帰命」が転訛して奇妙となったもので、木食信仰遺跡があることからも、深山でありながら人の出入りはかなりあったと考えられます。8世紀の「続日本紀(しょくにほんぎ)」に、当時信濃国から朝廷へ石硫黄の献上があったことが記されているのですが、これは米子鉱山のことと推察されます。

 鉱山跡地から左に権現滝(男滝:落差82m)と右に不動滝(女滝:落差89m)の二条の大瀑布が迎えてくれます。紅葉のピークは過ぎましたが、今年は暖かく冷え込みも浅かったためどこの山でも紅葉はイマイチで燃え上がる様な紅葉は見られませんでした。秋雨も少なく滝の水量も半分ぐらいでしょうか。そんな年もあります。

 1.まず駐車場を出てウラノ沢の熊野権現橋を渡ります。多くの人はそのまま川沿いに進むのですが、すぐ先から左へ山登り開始。ウラジロシャクナゲの群生地があります。 2.約30分で四阿のある仁礼小学校分校跡・鉱山事務所跡に着きます。 3.林道を歩いてほどなく鉱山製錬所・社宅・大浴場・食堂跡の広大な平地へ。向かいは泉坑山。 4.山の神の社。右手前に長男が5才近くに登った時ペシペシした木製の男根が腐って倒れていました。 5.滝を見ながら林道を下って米子不動尊奥ノ院へ。 6.米子不動尊。1743年(寛保3年)に、米子村の竹前氏によって本格的な採掘が始められたということですが、その竹前氏の墳墓が裏手に。 7.根子岳山荘カフェ。 8. 不動滝と権現滝を訪れて下山。台風19号で流された奥万橋は吊り橋になりました。 9.お昼少し過ぎに駐車場に戻りました。満車で待っている車も。9時半前に来ないとだめです。紅葉最盛期は自家用車規制があります。

 製錬所跡の広場から不動滝。滝だけでなく岩肌を観ても見飽きません。ここの広場の地名はお花畑。
「秋山の、黄葉(もみぢ)を茂み、惑ひぬる、妹を求めむ、山道(やまぢ)知らずも」柿本人麻呂 万葉集
 秋山の黄葉(もみぢ)が繁っているので、迷ってしまった妻を探そうにも、山道が分からない。(妻を亡くして哀しむ歌)


 V字に切れ込む大黒沢。拙書ではこの沢を登り右手へ滝上に登って根子岳へ。大隙間に下って四阿山へ。更にパルコールスキー場から浦倉山へ。この大黒沢へ戻るカルデラ一周23キロ、約10時間のコースを載せています。沢を左へ登るとソブ池(野猿田池)への分岐も。

 根子岳山荘カフェと、滝を背にして鎮座する米子不動寺奥ノ院の屋根が見えます。権現滝と不動滝。右に冬にはアイスクライミングのメッカとなる黒滝の黒いシミも見えます。

 北方の善光寺平方面。須坂市街地も見えます。ここに暮らしていた鉱山の1500人の家族は毎日この風景を見ていたわけです。しかもここから須坂まで索道(ロープーウェイ)がありました。人を乗せるためのものではなかったのですが、チャッカリ乗った人もいた様です。

 不動滝。手前に柵がありますが、直下まで行くのは自己責任で。滝行は許可がないとできません。見上げて撮影する時が最も危険。バランスを失うと転落の危険。

 滝の落ち口。

 滝壺はありません。水量が少ないので少し濡れる程度でした。

 不動滝の谷。

 権現滝。

 根子岳山荘カフェで美味しいコーヒーを絶景を観ながら。贅沢な至福の時間です。

 新しくできた不動滝の展望所。眼の前に覆いかぶさってくる様な大迫力。

 帰路で見られる坑道の大きな穴。

 様々な色合いが美しい落葉松の黄葉。

 お花畑にある米子硫黄鉱山跡の説明看板。見ない人が多いのが残念です。鉱山の経営者は度々変わり、1934(昭和9)年に中外鉱業(株)が本格的な営業採掘を始めました。労働争議も起きており仕事は過酷だった様です。1973(昭和48)年に全面閉鎖されました。

晩秋の米子大瀑布 2023.11.4


信州最古の不動霊場・日本三大不動尊の米子不動尊からレンゲツツジ満開の米子大瀑布へ(妻女山里山通信):満開のレンゲツツジ。

日本のギアナ高地、米子大瀑布へ。薄雪を踏んで幻のソブ池へ(妻女山里山通信):冠雪した滝の上部。

錦秋の米子大瀑布へ。瀑布の上にある幻のソブ池探索も。「続日本紀」に記述のある米子硫黄鉱山(妻女山里山通信):幻のソブ池へ。

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本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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