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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

善光寺平の北端に屏風のようにそびえる信州中野の霊峰「たかやしろ」(妻女山里山通信)

2015-05-06 | アウトドア・ネイチャーフォト
 一般的には高社山は「こうしゃさん」と呼ばれるのですが、地元の人は親しみと尊崇の意を込めて「たかやしろ」と呼びます。別名を高井富士ともいう美しいコニーデ型の火山です。信州中野と木島平の間にそびえる高社山は、善光寺平のほとんどの場所から見える霊峰です。ほぼ東西に延びるこの山脈のために、善光寺平は豪雪から逃れているのです。この山脈を境に気候が全く異なります。今回は、妻女山里山デザイン・プロジェクトの精鋭メンバー?と最も長い高杜(たかもり)神社からのコースを登りました。今回も出版のための取材登山です。里山なのですが、頂上まで休憩や撮影を入れて約3時間の長いコースです。高杜神社裏に草地の広い駐車場があり、神社の道を挟んだ横に公衆トイレがあります。谷厳寺は駐車不可。

 主稜線に乗って天狗岩からの眺望。手前の岩の向こうは断崖絶壁です。転落に注意。真ん中やや左から右上へグーンと上がっている尾根を登ってきました。前半は緩やかですが、後半にかけて次第に急登になります。尾根は色とりどりの緑のタペストリー。所々の濃い緑は、杉の植林地。斜めに走る線は、北陸新幹線。尾根を登っている最中に、何度か新幹線の通る轟音が聞こえてきました。山頂までは、三度ほど急登があります。山中にポツポツと見られるピンク色の樹木は、白っぽく見えるヤマザクラではなく、たぶんオオヤマザクラ(ベニヤマザクラ)でしょうね。新緑なのにオレンジ色に見える樹木がありますが、いわゆる春紅葉というもので、若葉にアントシアニンが含まれ、このような色になるのです。

 登り始めてまず目についたのは、白い花穂が美しいマルバアオダモの花穂(かすい)。林下にはイチリンソウ、クルマバソウ、チゴユリなどの白花が見られました。
 中腹までは、山吹色の花が鮮やかなヤマブキの群生地が続きます。ウグイスが盛んに鳴いていました。アオバズクの恋歌も。古くは修験の山なので、道中には不動明王、釈迦如来、文殊菩薩、普賢菩薩と石仏が並んでいます。普賢菩薩は天狗の飛び石という苔むした大岩に乗っています。この辺りから徐々に勾配がきつくなっていきます。地味にきつい登りです。修験の山の詳細については、出版される本に書く予定です。

 稜線近くになると、オオカメノキ(ムシカリ)やタムシバが見られます。香りがいいので高級な爪楊枝に使われるクロモジの黄色い小さな小花も見られました。花の下に小葉があるのがコブシ。ないのがタムシバ。似ています。タムシバの若芽を食べるとキシリトールのレモンのような爽やかな味がします。コブシの葉は幅広く、タムシバは細く葉の裏が白っぽい。コブシは緑。よく見ないと区別がつきません。1000m以上になると、シラカバやブナの大木も目にするようになります。登山道の灌木にはリョウブの幼木がたくさん見られます。6月にはムラサキヤシオツツジも咲くようです。妻女山では、もう咲いています。と書いたのですが、後日よく見たら妻女山のはオオムラサキツツジでした。

 主稜線近くでは、下の方からイワカガミが咲き始めていました。真ん中はショウジョウバカマ。右へイワナシの小花。カタクリも散見されました。イワカガミは、5月中旬過ぎからに満開になるのではないでしょうか。主稜線には、かなり大きな群生地があります。満開になったら見事でしょうね。

 標高が低いのに、あちこちに残雪が見られました。また、登山道には湿雪で折れた倒木が何本もあり、登山道を塞いでいる箇所もありましたが、なんとか通れました。登山道にはタヌキの溜め糞やニホンカモシカの糞もありました。ツキノワグマの生息地でもあるのですが、今回は遭遇しませんでした。山頂手前で少雨に遭ったのですが、登頂したら止みました。展望もそこそこ得られたので、前日の真夏のような日より良かったかもしれません。

 山頂から善光寺平方面の展望。左手前に小布施の雁田山が見えます。若穂の太郎山、奇妙山、鏡台山から妻女山への戸神山脈、奥には大林山から冠着山(姨捨山)、更に奥には戸谷峰から美ヶ原にかけての山々。千曲川の流れが銀色に光っていました。飯山方面では菜の花公園の菜の花が満開で一面黄色の絨毯でした。快晴ならば、飯山のずっと向こうに日本海も見えるはずです。

 最後に4月12日に登った小布施の雁田山からの高社山。この頃はまだ残雪がかなりありました。山麓には果樹園が広がっているのが分かると思います。夜間瀬川の河岸段丘の崖も見えますが、チョウゲンボウの営巣地があります。
 今回の高杜(たかもり)神社コースは、山頂まで休憩を含めて登りが約3時間、下りが2時間と里山としては非常に長いもので、標高差も北アルプス登山のそれに匹敵するものですが、それだけの達成感は得られる山行でした。高杜神社に戻ると、翌日は里宮の祭だそうで、氏子の方が準備に追われていました。昨年の10月の閉山祭以来登っていないというので、登山道の倒木の様子と奥社の屋根が壊れて宙吊りになっていることなどを伝えておきました。今度は、錦秋の頃に登りたいですね。
 今回、高社山の山頂で放射線量を測りました。幸い地上でも0.04μSv/hと低いものでしたが、高社山がブロックしてくれたともいえるのです。千曲川の流れる谷を抜けて放射性プルームは、千曲川ではなく犀川を遡りました。それで犀川以北の山菜やキノコに高濃度の汚染が発見されたのです。詳細は長野県のホームページに載っています。中野市のコシアブラからは基準値以上の放射性物質が検出されたことが県のホームページに載っています。
 長野県のサイトの情報より。「長野市、中野市、軽井沢町及び野沢温泉村産のコシアブラ、及び軽井沢町産のタラノメ及びゼンマイについては、昨年度までに食品衛生法の基準値を超える放射性セシウムが検出されたことから、採取、出荷及び摂取の自粛をお願いしています。
 放射性物質による内部被曝には閾値がありません。不注意で食べたり吸引すれば、全て蓄積されていずれ必ず病理として出ます。軽ければ下痢や口内炎など、細胞を傷つけるので長期的には老化現象の促進。女性にとっては大敵です。最悪は癌や突然死。いいことはひとつもありません。来年今まで経験したことがない異常事態が首都圏や東北で起きます。再来年はパニックになるでしょう。チェルノブイリが証明しています。

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