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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

信州の里山は萌黄色から初夏の濃い緑へ。山椒味噌と伽羅蕗を作りました(妻女山里山通信)

2015-05-10 | アウトドア・ネイチャーフォト
 夏日の声を聞くと山桜もズミも咲き終わり、貝母とカタクリも消え始めました。忙しいので、早朝に朝食もそこそこで妻女山奥へ向かいました。山椒の若葉とフキを採るためです。採集は1時間少しで終了。慌ただしく帰って料理をしました。午後の善光寺平は、8mを越える北東または東風(こち)で、畑にはまだほとんど作物がないため、猛烈な砂嵐が吹き荒れました。こういう日は、倒木や落枝が多く、里山を歩くのは危険です。午前中は見えた北アルプスも、午後は雲に隠れてしまいました。

 妻女山展望台からの北アルプス。左から蓮華岳、針ノ木岳が少し見えて、右へ爺ヶ岳、その右が鹿島槍ヶ岳。猫耳の様な双耳峰がそれです。右へ武田菱の雪形が現れる五竜岳。写真には写っていませんが、更に右へ目をやると白馬三山が見えます。
 千曲川河川敷の柳やハリエンジュも色濃くなってきました。芽吹きの頃は、樹種により若葉の色が異なるので、遠目でもだいたいの樹種が分かるのですが、濃くなると判別が難しくなります。北陸新幹線の白い高架橋が目立ちます。

 妻女山への道沿いには、シナノタンポポが咲いています。背丈が高く、私が見つけたものでは80センチというものがありました。花も大きめで総苞が太く、セイヨウタンポポや交雑種の様に反り返っていないのが特徴です。しかし、この辺りでも交雑種が増えました。その右はクサノオウ。上杉謙信槍尻ノ泉の上に群生地があります。結構花期が長いので、楽しめるのですが、毒草です。一番右は、一輪だけ咲いていたイカリソウ。他は全て咲き終わっていました。イカリソウの根は、淫羊霍根(いんようかくこん)といい、強壮、強精の薬効があります。

 マルバアオダモの花が満開です。先日登った高社山でも中腹に咲いていました。妻女山には大木はないのですが、向かいの茶臼山にはかなり大きな木があり、大きな花穂が咲き誇っています。
 真ん中はガマズミの花。万歳をしている様な雄しべが可愛い花です。ガマズミは樹高が2.5m位で葉が大きめですが、林下のコバノガマズミは、樹高も1m以下で葉も花も小さめです。秋になる酸味の強い赤い実は、果実酒になり、抗酸化作用があります。
 ヤマフジもいつの間にか咲き終わっていました。これはほとんど日の当たらない日陰に咲いていたものです。ヤマフジは山菜で、新芽や若葉、花は天ぷらで食べられます。また、実は炒って食べられます。やや青臭いものの甘い甘い珍味です。また、今頃は一日で8センチも伸びるのです。太くなると50センチにもなり、大木を絞め殺してしまいます。

 陣場平の奥では、林下のあちこちでヤマツツジが満開です。子供の頃は、花を摘んでおしりの蜜を吸ったものです。一番右はレンゲツツジ。これは自生のものではなく、今は亡きKさんのログハウスに植えられたもの。この花は毒性が強いので、蜜は吸えません。誤って子供が吸ったりすると危険なので、庭木には向いていません。ログハウスには、琉球白ツツジも植えられているのですが、万葉集に確かそんな歌があったなと思い、帰って調べました。
「風早の 美保の浦廻の 白つつじ 見れどもさぶし なき人思へば」河辺宮人
(風が強い美保の浦には、白つつじが美しく咲いているが、亡き人のことを想えば、寂しく思うだけだ)

 氷河期の生き残りのウスバシロチョウも舞い始めましたが、この時期は、まだ吸蜜するハルジオンなどが咲いておらず止まらないため、撮影できませんでした。

 左は山椒の若葉です。これを摘みます。枝にトゲがあるのでゴム手袋が必須。これをたくさん集めるのは結構大変です。一本の木から採らずに、群生している何十本もの木から少しずつ採っていきます。これで山椒味噌を作り、ご飯のおかずや酒の肴、焼きおにぎりにしたり、焼き魚に塗ります。特に鮎の塩焼きには合います。山のものなので猪や鹿の焼き肉にも合います。レシピはこちらです
 ヤマフキは、はさみで根の近くから切り、何本かまとめて葉を切り落とします。フキの向こうは咲き終わった貝母(アミガサユリ)。種ができています。右は作った伽羅蕗。まず塩水で柔らかくなるまで煮て茹でこぼします。ニガリか重曹を少し入れてもいいでしょう。アクも抜けますが、もしわずかでも放射能汚染されていたら、除染になります。新鮮なヤマフキは柔らかく、里フキの様に皮をむく必要がありません。その後、出汁、干し椎茸、昆布、黒糖、酒、味醂を入れて煮含めます。添加物は入っていませんし、市販のものより薄味です。毒性の強い砂糖は使いません。日本料理は砂糖を使うようになって堕落しました。フキは畑に植えている人もいますが、味はヤマフキの方が格段に上です。

 Kさんのログハウスからの北アルプスと千曲川。周りではウグイスやシジュウカラが盛んに鳴いています。もうじきサンコウチョウの鳴き声も聞けるかも知れません。農薬の空中散布のせいで、シジミチョウが全く見られなくなりました。ハナアブも見ません。一見、昔と変わらない様に見える、この長閑で美しい風景も、農薬や放射能で確実に汚染されているのです。小さな命が消えていけば、いずれ人間にもその影響は必ず出ます。
詳しくは、下の記事をお読みください。
松枯れ病の原因は、本当にマツノマダラカミキリのセンチュウだけなのか!?
千曲市森の杏が最盛期、朝採り杏で焼酎漬。松枯れ病が深刻。ネオニコは農薬でなく農毒!
松枯れの原因は松くい虫じゃなかった。大気汚染で土壌が強酸性化したことによる

 台風6号は、あっという間に過ぎ去りました。大きな被害がなくて良かったと思います。うちのお隣さんと、そのまた向こうのお隣さんは、いずれも家の前に畑があるのですが、農薬や除草剤は使っていないのでしょう。なんとノスリが野ねずみや蛙、蛇の子供などを捕まえに来るのです。特に嵐の後などに来るような気がします。ただ、鷹の仲間なので非常に目がよく、レンズを向けると逃げてしまいます。
 以前、庭に出たら留まっていたので慌ててカメラを取りに行き、隣のブロック塀の陰から撮影しようとしたのですが、裏のおばさんに「なにやってんの?」と話しかけられ、逃げられたこともありました。まあ、どう見ても怪しいですもんね。ノスリと言ったら、え!スリ?なんて言われるし。
 そこで二階の窓にカメラをセットして、カーテンでカモフラージュ。一階の仕事場のカーテンを開けてたまに空を見ます。ノスリが旋回し始めると二階に上がって待つのですが、別の場所に下りてしまうことが多いのです。ニホンカモシカの様に、だいたい毎日同じ所を歩く様な習性はないのです。目がいいですから、上空からでも小さな野ねずみが見えるのでしょう。しかし、鳥の撮影は難しい。まあ、鳥を撮る様な良いレンズを持っていないというのもありますが、何よりシャッターチャンスが来ないのではどうにもなりません。

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