妻女山へ日本羚羊によって切られた留山の縄を張り替えに行きました。いきなり気温30度の真夏日になって北信濃の里山も一気に夏山のようになってきました。車を降りたとたんに羽虫にたかられます。それでも色々な鳥たちがさえずり、ハルゼミが鳴き出し、蝶や甲虫が飛び始めると、春にも増して森は活き活きと輝き始めます。早朝の森に響くオオルリのさえずりは、不思議と「よく来たね」と聞こえます。
とはいえ、羽虫にたかられながらの急斜面での作業はなかなか大変です。日本羚羊は、ウシ科ですが近眼なのでしょうか。縄をくぐってくれればいいのに、猪突猛進で縄を切っていきました。それも三箇所。暑くてフウフウ言いながら縄を張り替えていると、後ろでピシュウと威嚇音が。振り返ると子供の日本羚羊がいました。お前か縄を切ったのは、と話しかけるとキョトンとした表情でこちらの作業をずっと見つめています。
そこで彼だか彼女だか分かりませんが、体高を見てこれぐらい上げれば切られないかなという位置に縄を張り直しました。張り終えるのを見計らうように日本羚羊は森の中へゆっくりと消えていきました。
車に戻ると地面に緑色の光るものが。近づくとアオオサムシです。ジッと青虫を狙っています。そこを撮影。青虫をくわえて走りだしましたが、私が撮影しようと追いかけたので青虫を放してしまいました。これは悪いことをしたと思いましたが、彼はその青虫を探すでもなく草むらをうろうろしています。もう青虫のことは忘れてしまったのでしょうか。
次に見つけたのは小さな毛虫の死骸をくわえてえっちらおっちら歩いている黒い虫。ゴミムシの一種と思ったら、シデムシ科のヒラタシデムシでした。センチコガネなどと同様、森の掃除屋さん。あまり器用ではなさそうで、非常に苦労して毛虫を運んでいました。
そして林道を歩いていると、下の林からガサゴソと音がしました。何かなと覗き込むと、山吹色した体長50センチぐらいの動物が盛んに木の根元などをあさっています。向こうはこちらに気が付いていません。これ幸いと観察。しばらくすると、林道に向けて倒れていた木を登って近づいてきました。倒木の最上部から林道に乗ろうとするところで私に気が付くと、一目散に逃げました。テンです。ホンドテンのうち、茶色で一年中同じ色の個体をスステン、夏は茶色ですが冬は黄色に変わる個体をキテンといいますが、彼はキテンでした。最上級の毛皮がとれるそうですが、今ではその心配もないでしょう。
ヤマフジの花が最盛期を迎えています。といってもそのヤマフジが植林には大敵なのです。木にからみついて枯らしてしまうからです。今日も仕方が無く4本のヤマフジを切りました。もう一本、唐松の枯れ木を地上10mに抱え、さらに樹高20m以上の唐松2本にからみついて上部を曲げている根幹20センチの大ヤマフジがあるのです。非常に危険な状態なので切りたいのですが、切ること自体が非常に危険な作業なので思案中です。
山のあちこちでガマズミの白い花が咲きました。小さな子供がコブシを挙げているような雄しべの格好は可愛いものです。秋には果実酒になる赤い実をたくさんつけます。茶臼山の上に不思議な形をした雲が出ていました。天気が変わりそうです。明日は夏野菜の苗を植えます。
★妻女山の真実について、詳しくは、本当の妻女山について研究した私の特集ページ「妻女山の位置と名称について」をご覧ください。
★ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、特殊な技法で作るパノラマ写真など。
★フォトドキュメントの手法で綴るトレッキング・フォトレポート【MORI MORI KIDS(低山トレッキング・フォトレポート)】もよろしく。武田信玄が布陣したという伝説の茶臼山をアップしました。奇妙山制作中。