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建築を旅する

MY ARCHITECT

2006-03-02 07:39:22 | Weblog
MY ARCHITECTを観た。
場所は渋谷の文化村近くにある新しい映画館。
モーニングショーなので、11時開始。
平日にも関わらず、ほぼ席は埋まっていった。

ルイスカーン、なんとも叙情的な哲学的な、身近な人でさえ本当には捉えきれない人物。
息子から語られる、というより、息子も知ろうと努める人物像は、時に崇高な哲学者であり、時に無邪気な芸術家であり、時に非情な仕事人であり。
建築家という定義は固定化されるべき物でもないのだろうけれど、精神を昇華させるという意味では、より芸術家であったのだなと思った。
バングラデシュ国会議事堂の感動的に美しい空間、世界観。
複雑な機能や制約が絡み合う事業の結実は、なんだか、すっきりした一つのオブジェというか、カーンそのものの様な気がした。批判や対立する人もいるが、カーンに身近に触れている人々の彼を語る姿は、そのストイックで崇高な魂に自身の人生の拠り所を見出し、感謝し、愛していた。
ともかく、愛に溢れた映画であった。
感動的であった。


映画中に出てくる建築の映像も非常に良い。
ソーク生物学研究所や、愛人や正妻の子女が集まり語り合うカーンの建てた住宅なども、写真で見るのと違い人が居る事で完成する場所の気配を感じれて良かった。建築とはほんと、色んな人の人生を背負って出来上がる事業なのだなと思った。

美しい映画であった。