お気に入り度:銀 原題:Life of Pi アン・リー監督 2012年
いつもは千円デーにしか行かないのですが
少し奮発して3Dで観てきました。
生きてるようなCGのトラに驚きましたョ。
映像がとても美しく迫力があって
2Dでも十分にこの映画を楽しめると思います。
2Dで観る場合も吹き替えのほうが映像をじっくり楽しめて良いかと思います。
本木君の吹き替えはとても自然で良かったです。
≪ 以下、ネタバレバレです ≫
不思議で美しい映像を堪能したあとに、パイのもう一つの告白を聞いて驚きました。
リチャード・パーカーはパイの中の葛藤するもう一人の自分だったのですネ。
振り返ってみると暗示がありました。
リチャード・パーカーは最初は隠れていて、時々突然に出てきましたし
水に映ったパイの顔はリチャード・パーカーになっていました。
極限状況に置かれた人間の欲求との戦い、本能との戦いを
こんなに綺麗なファンタジーにしちゃったんですね。
ヒンドゥー教のことを全く知らなかったので、映画の後で調べたら
ヴィシュヌ神は10の化身となって姿を現すそうで、そういえば
魚、亀、猪、斧を持つラーマ、ブッダ、闇、時間などに関係する映像がありました。
クリシュナ(闇)神の口の中に宇宙が広がっている絵や
草しか食べてない牛の肉、と言うドパルデュー演じるコックさんの言葉
そして生き物を溶かして育つ植物の島など
食物連鎖による生命の維持や輪廻転生を思わせるエピソードによって
anthropophagyを嫌悪感が少なく考えられるように出来ていたと思います。
でも良く考えてみるととても怖ろしいお話でした。
パイが事実をそのまま口に出すことが出来ず
寓話のようにしてしか語れない体験だったことが理解できます。
封印したいような体験をかかえながらも妻と子供に恵まれて
普通の生活をしているラストに救われました。
Piには信心ぶったという意味もあるんだそうですョ。
(追記) 極限状態でのanthropophagyについては棚上げしておきまして
私の欲求をトラに例えて振り返ってみるとナルホドと思いました。
お正月、私はトラを野放しにしたために2kgも肥えました。
お出かけの日までには元の体重に戻したかったのですが
一度味をしめたトラを檻に戻すことは出来ませんでした。
只今、トラの調教中ですの。
豚を食べるのをタブーにする宗教があるのは次のような理由があるそうです。
牛や羊、ヤギ、ラクダなどの反芻する動物は、草を食べて消化する能力があります。人間は草を消化できないから草を食べないので、牛と人間が食物をめぐって競合することはありません。
しかし、反芻しない豚は草を食べることができず、穀物を食べるので人間と競合します。豚を育てて食べるには人が食べるものを与えなのてはならないから、はじめから豚を食べてはならないとしたという説です。
それでライオンやチーターは肉だけでオーケーなのですネ。
人間が雑食で良かったです、色々食べることが出来ますもの。
パイ君は菜食でしたネ。リチャード・パーカーが振り向きもせずに去って行ったので、その後もまた菜食に戻ったことでしょう。
iinaさん、コメントありがとうございました。