もく窓

~良い映画と究極の手抜き料理を探して~  

潜水服は蝶の夢を見る

2010年02月05日 | 映画 TV・DVD
 お気に入り度:鉄
原題 LE SCAPHANDRE ET LE PAPILLON  ジュリアン・シュナーベル監督 2007年

先にドキュメンタリー原作本も見ていなかったら、この映画の評価はもっと良かったかもしれません。ジャン=ドミニック・ボービーが陥ったロックトインシンドロームという病気と、その病気の中で本を執筆したという事実は誰もが驚嘆することですから。

主役の俳優さんが軽過ぎと感じました。ドキュメンタリーで見た御本人は知的で深みのあるステキなかたでしたのに、どうしてこんなMr.ビーンみたいなふざけた感じにしたのでしょう。
ベッドで目覚めた本人の目線から始まり、右目を縫い付ける映像等、目が離せなくなる始まり方ではありましたが、この始まり方は、ミステリー小説「森の死神」(ブリジット・オベール著)に似ていませんか。こちらの主人公は爆弾テロにより出来ることは左手の人差し指をわずかに動かすことだけの女性でしたが。
観客を引き付けよう驚かせようという構成ではなく、奇をてらわず、原作本の持つ詩情を優先して頂きたかったと思います。本人目線で始めたならば、過去の思い出や夢のシーン以外は最後まで本人目線のまま終えた方が良かったかと思います。ご本人のベッドでの状態を本人より格段に落ちる俳優で映像化しなくても、原作本の硝子に映った自分の姿を見たときの彼の言葉を独白させれば済んだことと思います。『ダイオキシンの樽にでも浸かっていたかのような男の顔が映っていた。口は歪み、鼻はでこぼこ、髪も乱れて、恐怖に凍りついたまなざしの男、おまけに一方の目は縫い閉じられ、もう一方の目は、、  』



この役はジョニー・デップで観たかったです。とても残念です。





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