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MOBU'S MUSIC MAZE

音楽のこと好きなことなどよしなにほどほどに・・・

西村京太郎記念館

2018-07-05 07:38:25 | 旅は道連れ世は情け
それは、湯河原駅からはずれた川沿いにあった。
こじんまりした鉄筋の2階立てビル。階下に数台
パーキングがあった。

「亀さん、ホシはここまでだと駅からバスで
10分以上かかる。
ホシがこの時間に入館することは不可能だ。
違う手を使っているはずだ。」

「だから刑事さん私はさっきから車で来たって
言ってるでしょ(>_<)だから、車は駐車スペースに・・・。」

置いてないのである(驚)。

などと、ふざけている場合ではなく・・・。

平日の午前中入館者はなく、私は入っていった。
血のりのタイルと、黒い死体の床へのダイイング
メッセージが目を引いた。私は、十津川警部でも
亀井刑事でもない。ましてや、名探偵コナンやポアロ
でもない。一介の昔、西村トラミスにわかファンである。
そういう演出はそれとして、スルーした。

流石、そういうたぐいの作家さんであることを
暗に知らせている。

入場料820円を払い、2階へ上がる。展示物を
見る前に、テレビ放映されてる作品も多く、
十津川警部シリーズ、探偵ものなど手掛けており
幅広い俳優さんが出演している。

DVDを流しているスペースもあり、ご本人が
コメントしている映像もあり、
「作品を読んでから乗るか」「乗ってから読むか」
「色々な方法があるので、楽しんでほしい」というような
コメントが流れていた。

「トラベルミステリー」というジャンルの第一人者で
あることも確かで、一時期文庫本を良く手にした
記憶がある。てっちゃんではないが、電車・バス・船・
飛行機・タクシー・人の車など、事件にある乗り物で、
使えるものはすべて使い疑うので、自然と時刻表に目がいき、
関連する乗り物にも関心を示したりする。
当時はそんなことがあった。

作品の製作台本なども展示しており、書き残された出版物も
かなり展示されていた。

<「想像力と数百円」新潮文庫>

という当時の文庫本の帯の
キャッチ・コピーに笑ってしまった。
こういうのは個人的に結構ツボなのだ。

「タバコはこころの日曜日」(JT日本たばこ)とか
古いのでは「角瓶と文庫本」(サントリー角瓶)など
もツボだった。
こういう感性にピンとくる、コピー考える人も大変だろうなと
思ったりする。

各地を旅して取材し鉄道の動きだけでない、地方の人のことや
景色、状況などもつかんでくるらしい。それを本文にちりばめる。

初めと終わりだけしっかり決めて、中は適当に膨らませば
作品が出来上がり、昔はキセル作家と呼ばれていたことも
あるらしいが、それができるのなら、みんなドル箱作家に
なっているが、なっていないところを見ると西村氏も
オンリー・ワンな作家さんなのだろうと思う。

氏の作品はいろいろあっても毒々しくなく、さらっと
読めてしまう所(後に残らなかったりする)エンタメはそれで
いいと思っているところがある。
乗り物の動きに合わせて事件が起こっていったりする様なところも、
関心があった。

それに、必ず解決する。紙上で「続く」とか「お宮さん」は
なかなかないところがやはり読者には安心印だ。

展示物を見て、氏の愛好する鉄道関係の展示物をみた。
乗り鉄?でもあり(取材がらみではあるが)、
蒸気機関車のほうが愛着があるという。
1930年生まれなら、現役で乗っても見ても
いると思う。

湯河原は療養とついのすみかというところで、
移られたようだ。ご本人が日曜来館しており
その時、記念館を訪れると運が良ければ
サイン会に出くわせるらしい。
来館ノートもあり、氏は書いたものをすべて
目を通しているという。

来館メッセージをのこしておいた。
一応、 鑑賞し終わり階下に降りると、
喫茶スペースで、入場チケットで
コーヒーまたは、紅茶がふるまわれる。
彼のお気に入りの炭火コーヒーではないのだけれど
いただく事が出来る。実費払えば西村氏の愛飲する
コーヒーもいただくことはできる。
また、カップ付きで、飲んだ後、サイン入りの
カップがつくというサービスもあった。
サイン本や愛好者なら買い求めるものもあるだろう。

あり得ないことだけど、席に座って原稿を書いている
氏がいるような気がした。氏は書斎で原稿を夜書いているし
この時間はやっと起きてきて一日が始まる時間だ。
DVDの取材動画では、書斎で右手に持ちどこにでも
売っているような水性ボールペンで書いていた。
作家さんには万年筆という思い込みがあったりする私は
古い人なのだろう。この時は万年筆ではなかった。
以前の自筆原稿は万年筆の様だったが。

自筆原稿の展示もあった。達筆な字で書かれていた。
やはり、字は丁寧に上手に書かなければいけないと
反省しきり。パソコン入力してたのでは、上達しない。
氏の恰好いい筆跡にちょっと見とれた。

コーヒーを飲み終わり次の目的地に立たなければ
ならないので、玄関を出た。

愛車は駐車スペースに・・・。何事もなかった様に
止まっていた。動いた形跡はない。
「ねっ、刑事さん車できてるでしょ。」と振り返って
刑事に確認を迫ったが、刑事はもうそこにはいなかった(了)。


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