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モバライダー mobarider

系外惑星の温度分布図を作成

2014年10月25日 | 宇宙 space
ハッブル宇宙望遠鏡の観測により、
初めて太陽系外惑星の大気の詳細な温度分布図の作成が実現しました。

この図には、常に光が当たっている昼側の温度分布や、
高度による温度変化も示されているんですねー
木星サイズの太陽系外惑星“WASP-43b”の
温度変化を表したイラスト。
今回研究チームでは、
遠距離からの観測に当たって、
ハッブル宇宙望遠鏡のデータをもとに、
間接的な手法で系外惑星の正体に迫っています。

“WASP-43b”は木星の約2倍の質量で、
地球から260光年ほど離れた位置にある系外惑星。
今回作成された温度分布図は、
NASAが今後打ち上げる宇宙望遠鏡によって、恒星の近くを周回する惑星の大気から、
生命の兆候を探るための道筋を示すことになります。

今回の研究では、“WASP-43b”の大気層を観測、
生命の存在に欠かせない水の測定も行われています。

系外惑星の温度測定に成功したのは、今回が初めてではありません。
わずか数週間前にも、海王星に匹敵する惑星を観測したチームが、
大気中に水蒸気を検出したと報告しています。

でも、詳細な温度分布図を作成するためには、
“WASP-43b”が主星“WASP-43”を3周する間、休まず観測する必要がありました。

幸い“WASP-43b”は主星の近くを周回していて、
わずか20時間足らずで1年が経過するんですねー
まぁー それでもハッブル宇宙望遠鏡の焦点を、
1か所に合わせ続けるには長すぎる時間だったようです。

それは、放射線量が異常に多く、電子機器にダメージを与える恐れがある、
バン・アレン帯の南大西洋異常帯を何度も通過するからです。


精度の高いハッブル宇宙望遠鏡ですが、
“WASP-43b”をまぶしい主星と区別して観測するのは不可能なんですねー

そこで、“WASP-43b”と主星の光を組み合わせて観測することになります。

“WASP-43b”は、潮汐作用によって“固定”されているので、
地球から見る月が、いつも同じ面を向いているように、常に同じ面を主星に向けています。

しかも、両者が非常に接近しているので、
昼側の温度は摂氏1650度あたりで推移し、自ら光を放っていて、
一方、常に暗い夜側の温度は約540度で安定しています。


主星の光量は従来から分かっていたので、
単純な引き算で“WASP-43b”の光量を計算することができました。

さらに、“WASP-43b”の満ち欠けから天気図を作成。
ハッブル宇宙望遠鏡により、昼側の大気データを緯度方向に細かく取得していて、
そこからエネルギーの大きさを測定し、緯度ごとの熱量の割合が判明します。

この情報から大気の力学が分かり、
熱が昼側から夜側に、どの程度分配されているかを予測できたんですねー
意外なことに、昼側から夜側への熱移動は、あまりない事実が判明することになります。


さらに、“WASP-43b”に存在する水分量の測定も行われました。

惑星が主星の手前を通過する際、主星の近赤外線スペクトルから、
惑星大気が吸収する水蒸気の痕跡が検出できるんですねー

系外惑星での水の存在は、生命の可能性を示すことになります。

でも今のところ、地球に存在するような生命には適さない、
高温または巨大すぎる惑星でしか検出はできないようです。


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