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火星探査車“キュリオシティ” 自分撮りの謎

2012年12月15日 | 火星の探査
まるで誰かが撮影したような、火星探査車“キュリオシティ”の自分撮り画像。
火星なので撮影する人はいないのですが、足下の車輪跡や背景のシャープ山のほか、ロボットアームが土壌を採取した跡まできれいに写っているんですねー

不思議な写真なんですが、もちろん宇宙人が撮影したわけではありません。
仕掛けの背景には、
 ・企画者3名のイマジネーション
 ・約2億キロ離れた遠隔操作を実現する精密なロボット工学
 ・綿密な事前計画
 ・画像編集ツール
これらの連携プレーが潜んでいるんですねー

11月末にNASAが公開した動画を見ると、ロボットアーム先端のMAHLIカメラで自分撮りを行う“キュリオシティ”の動作が確認できます。
この動画では、ロボットアームが自在に動いても、視差を最小限に抑えるため、カメラと車体の間隔は可能な限り固定されていることが分かります。
視差とは、カメラ位置の変化により、被写体が動いたように見える現象です。

“キュリオシティ”の自分撮りプロジェクトが、スタートしたのは2011年のことです。
“キュリオシティ”搭載の撮影機器を利用して、
「キャッチャーだけど科学的な重要度も高い斬新な画像」を作成できないか?
っという要望から、映画監督のジェームズ・キャメロン氏と、火星探査車搭載カメラの専門家が強力したんですねー

NASAのジェット推進研究所(JPL)の試験台を利用して、数日かけてカメラが適切に配置できるアームの動きを考えたとか…
そして、最終決定した操作手順は、“キュリオシティ”のコンピュータコードに組み込まれることになりました。

自分撮りの合成画像を構成する55枚の画像は、このような念入りな準備が土台となっていたんですねー

実際の撮影は、10月に2ソル(火星での2日)をかけて行われました。
使用したMAHKIカメラは、約2メートルあるロボットアーム先端のタレット(回転台)に配置されています。

このカメラは、地質学者が使う拡大鏡には性能面で劣るのですが、それでも望遠と最短約2センチのマクロ撮影に対応しています。

今回のプロジェクトで最も困難だったのが、長いアームの操作のようです。

撮影時のロボットアームの動きは、JPLのプランナーが行っています。
3D画像処理ソフトを使って構想し、アームの動きを表現したマニメーションも作成されました。

公開されている画像は2Dなのですが、いずれ3D化も可能なようです。

っというのも今回の撮影では、MAHLIカメラの位置を、人の両目の間隔だけずらして2度ずつ行われています。
なので、わずかにアングルの異なる2枚の画像を、3Dメガネで見れば視点の変化で画像が立体的に見えるというわけです。

MAHLIカメラは本来、地質調査を目的に搭載されたカメラです。
でも、アイデア次第で印象的なポートレートが生まれるんですねー


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