冷水浴(冷水シャワー)でストレス解消
現代人は、何事にも神経過敏になりすぎているきらいがあります。どうやら、これは、精神力の弱さがその根っこにあるように思われます。
生理学上、ヒトの精神状態は、ホルモンの作用に強く影響されます。
外的刺激=ストレスを感知すると、アドレナリンなどのホルモンが分泌され、脈拍が速まり、血糖値や血圧が上がります。そして、恐怖を感じ、逃走態勢をとります。
危機から命を守るためには、これは必須のものですから、この機能は、ほとんどの人に常に正常に働き続けます。
でも、ちょっとした外的刺激=小さなストレスに対してまで、いちいち“正常”に反応していては、ストレス疲れしてしまいます。これでは困ります。
何とかして、小さなストレスに対しては“鈍感”に反応したいものですね。
方法はあります。毎日、度々ストレス刺激を受ける訓練をして、それに慣れっこになる能力を身に付ければ解決します。
でも、精神的ストレスが度重なると、“正常”を通り越して“過敏”に反応するようになってしまい、逆効果です。
そこで、もう少し視野を広げてみましょう。
ストレスは、精神的なものだけでなく、飢えや寒さもストレスです。
江戸時代の儒学者、貝原益軒は、「子供には飢えと寒さを与えよ」と言いました。
こうすることによって、精神的ストレスを含む、あらゆるストレスに対して対抗能力が高まるというのです。
何の不自由もせず、温室育ちで成長しては、ストレス対抗能力が育たないことは明らかです。現代人は、たいがい、こうして育ってきましたから、ちょっとしたストレスに対しても、“正常”どころか“過敏”に反応するようになってしまったのです。
貝原益軒に言わせれば、現代の大人は、まだ子供の段階にあるのです。
ストレス対抗能力を身に付けることは、今からでも遅くありません。
「飢え」に耐えることは、今日の飽食時代にあっては、飢餓ストレスが高まりすぎてしまい、不可能なことですが、「寒さ」ストレスに対しては、訓練の仕方次第で簡単に取り組めます。風呂に入る前、出るとき(出来れば途中にも)に、冷水浴なり冷水シャワーを浴びることです。これが出来るようになれば、当然にして「寒さ」に対するストレス対抗能力が身に付く上に、風邪も引かなくなります。
ストレスに関わるホルモンは、副腎から分泌されるのですが、皮膚が寒冷刺激ストレスに慣れてくると、副腎の働きが改善されて、過剰なホルモン分泌をしなくなり、適量の分泌に止まります。ですから、冷水を浴びても、“ヒャーッ、冷てぇー、心臓が止まるっ!”とはならず、“水温は15度ぐらいか”と、冷静に反応するようになります。
それだけではありません。何とも不思議なことに、寒冷刺激になれてくると、精神的ストレスに対しても“鈍感力”が身についてしまうのです。
これは、各種のストレスに対して、それを増幅したり鈍感にさせるのは、同一ホルモンの分泌量で決まりますから、無関係な他種のストレスにまで対抗能力を発揮してしまうのでしょう。
毎日、年中(真冬でも)冷水浴なり冷水シャワーを浴びていると、いつしかストレス対抗能力が高まってきて、“♪ そのうち何とかなるだろうー”と、精神的ストレスに対しても“鈍感力”が付いてしまうようです。
数年以上前から毎日冷水シャワーを浴びている小生は、これを実感できるようになりました。
暑い夏の到来。今なら、誰でも冷水シャワーが浴びられるでしょう。
たっぷり冷水シャワーを浴びれば、体にこもった熱を取ることができますし、気分もさっぱりします。暑さストレスの解消にもなります。
これを毎日続けていけば、秋でも簡単に「寒さ」ストレスをかけられますし、冬になっても不可能なことはありません。真冬にも冷水シャワーで「寒さ」ストレスがかけられるようになれば、精神的ストレスにまで対抗能力を発揮してしまうのです。
貝原益軒が言う「子供には飢えと寒さを与えよ」は、現代の大人にも当てはまりますから、今から取り組んでも遅いことはないですよ。
(この記事は、当店の生涯現役新聞2009年7月号を一部修正したものです。)