東海道の鈴鹿峠を歩きました。
三重県側に車を置いて、石畳のある古い峠道を登って行くと、そこが鈴鹿峠でした。


三重県側は山道ですが、峠を越えて滋賀県にでると、びっくりするくらい開けていました。
茶畑が続いています。 万人講常夜灯が昔の姿、そのままにありました。

峠の看板に、「険しいこの峠道は今昔物語に水銀(みずがね)商人が盗賊に襲われた際、
飼っていた蜂の大群を呪文で呼び寄せ、盗賊を撃退した話がある」と書いてありました。

水銀商人はどんな蜂を飼っていたのだろうと興味を持ち、帰宅後、調べてみました。
この話は「鈴鹿山にして蜂盗人を螫し殺す語」(今昔物語 巻第29 第36話)でした。


「鈴鹿山で蜂が盗人を刺し殺す話」
鈴鹿峠で水銀商人が盗賊に襲われ、水銀商は大声で「遅いぞ、遅いぞ」と叫んだ。
すると一時間ばかりして大きさ三寸ほどもある蜂が空に現れ、ブーン、ブーンと羽音を立てながら、
そばの高い木の枝に止まった。
水銀商がさらに「遅いぞ、遅いぞ」叫ぶと、大空に二丈ほどの幅で、はるか長く連なった赤い雲が現れた。
雲に見えたのは無数の蜂が群れをなして飛んで来たのであった。
そして、沢山の蜂が盗賊一人一人に取り付いて、ことごとく刺し殺してしまった。
じつを云うと、この水銀商は自宅に酒を造っておき、ほかのことにも使わず、
もっぱら蜂に飲ませて大切に飼っていたのだった。
蜂さえもものの恩を知るものである。
だから、心ある人は、人から恩を受けたなら、必ず恩に報いなければならない。
というお話でした。
ここで、蜂というのは、なにかなぁと考えました。
3寸もあるということと、酒を飲ませて飼っていたということなどを考え合わせると
ミツバチではなくて、オオスズメバチなのかなぁと考えました。