一燈照隅

日本が好きな日本人です

ポツダム宣言は無条件降伏ではありません。

2009年07月26日 | 大東亜戦争
昨年の今日掲載した記事を再度掲載します。

昭和20年の今日、ドイツのポツダムにおいて、米国、英国、支那(中華民国“現台湾”)の三国が、日本に対して宣言を発した日です。これがポツダム宣言と言われています。

戦後米国の占領期間にポツダム宣言は無条件降伏と教えられ、今も信じ込んでいる人が大勢います。
しかしポツダム宣言を読めば、この宣言は有条件であることがハッキリと分かります。


 吾等合衆國大統領、中華民國政府主席及「グレート、ブリテン」國總理大臣ハ吾等ノ數億ノ國民ヲ代表シ協議ノ上日本國ニ對シ今次ノ戰爭ヲ終結スルノ機會ヲ與フルコトニ意見一致セリ

 合衆國、英帝國及中華民國ノ巨大ナル陸、海、空軍ハ西方ヨリ自國ノ陸軍及空軍ニ依ル數倍ノ増強ヲ受ケ日本國ニ對シ最後的打撃ヲ加フルノ態勢ヲ整ヘタリ右軍事力ハ日本國ガ抵抗ヲ終止スルニ至ル迄同國ニ對シ戰爭ヲ遂行スルノ一切ノ聯合國ノ決意ニ依リ支持セラレ且鼓舞セラレ居ルモノナリ

 蹶起セル世界ノ自由ナル人民ノ力ニ對スル「ドイツ」國ノ無益且無意義ナル抵抗ノ結果ハ日本國國民ニ對スル先例ヲ極メテ明白ニ示スモノナリ現在日本國ニ對シ集結シツツアル力ハ抵抗スル「ナチス」ニ對シ適用セラレタル場合ニ於テ全「ドイツ」國人民ノ土地産業及生活様式ヲ必然的ニ荒廢ニ歸セシメタル力ニ比シ測リ知レザル程度ニ強大ナルモノナリ吾等ノ決意ニ支持セラルル吾等ノ軍事力ノ最高度ノ使用ハ日本國軍隊ノ不可避且完全ナル壊滅ヲ意味スベク又同様必然的ニ日本國本土ノ完全ナル破滅ヲ意味スベシ

 無分別ナル打算ニ依リ日本帝國ヲ滅亡ノ淵ニ陥レタル我儘ナル軍國主義的助言者ニ依リ日本國ガ引續キ統御セラルベキカ又ハ理性ノ經路ヲ日本國ガ履ムベキカヲ日本國ガ決定スベキ時期ハ到來セリ

 吾等ノ條件ハ左ノ如シ
吾等ハ右條件ヨリ離脱スルコトナカルベシ右ニ代ル條件存在セズ
吾等ハ遅延ヲ認ムルヲ得ズ

 吾等ハ無責任ナル軍國主義ガ世界ヨリ驅逐サラルルニ至ル迄ハ平和、安全及正義ノ新秩序ガ生ジ得ザルコトヲ主張スルモノナルヲ以テ日本國國民ヲ欺瞞シ之ヲシテ世界征服ノ擧ニ出ヅルノ過誤ヲ犯サシメタル者ノ権力及勢力ハ永久ニ除去セラレザルベカラズ

 右ノ如キ新秩序ガ建設セラレ且日本國ノ戰爭遂行能力ガ破砕セラレタルコトノ確證アルニ至ル迄ハ聯合國ノ指定スベキ日本國領域内ノ諸地點ハ吾等ノ茲ニ指示スル基本的目的ノ達成ヲ確保スル為占領セラルベシ

 「カイロ」宣言ノ條項ハ履行セラルベク又日本國ノ主權ハ本州、北海道、九州及四國竝ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルベシ

 日本國軍隊ハ完全ニ武装ヲ解除セラレタル後各自ノ家庭ニ復歸シ平和的且生産的ノ生活ヲ營ムノ機會ヲ得シメラルベシ

 吾等ハ日本人ヲ民族トシテ奴隷化セントシ又ハ國民トシテ滅亡セシメントスルノ意圖ヲ有スルモノニ非ザルモ吾等ノ俘虜ヲ虐待セル者ヲ含ム一切ノ戰爭犯罪人ニ對シテハ嚴重ナル処罰ヲ加ヘラルベシ日本國政府ハ日本國國民ノ間ニ於ケル民主主義的傾向ノ復活強化ニ對スル一切ノ障礙ヲ除去スベシ言論、宗教及思想ノ自由竝ニ基本的人権ノ尊重ハ確立セラルベシ
十一
 日本國ハ其ノ經濟ヲ支持シ且公正ナル實物賠償ノ取立ヲ可能ナラシムルガ如キ産業ヲ維持スルコトヲ許サルベシ但シ日本國ヲシテ戰爭ノ為再軍備ヲ為スコトヲ得シムルガ如キ産業ハ此ノ限ニ在ラズ右目的ノ爲原料ノ入手(其ノ支配トハ之ヲ區別ス)ヲ許可サルベシ日本國ハ將來世界貿易関係ヘノ參加ヲ許サルベシ
十二
 前記諸目的ガ達成セラレ且日本國國民ノ自由ニ表明セル意思ニ從いヒ平和的傾向ヲ有シ且責任アル政府ガ樹立セラルルニ於テハ聯合國ノ占領軍ハ直ニ日本國ヨリ撤収セラルベシ
十三
 吾等ハ日本國政府ガ直ニ全日本國軍隊ノ無條件降伏ヲ宣言シ且右行動ニ於ケル同政府ニ對ノ誠意ニ付適當且充分ナル保障ヲ提供センコトヲ同政府ニ對シ要求ス右以外ノ日本國ノ選択ハ迅速且完全ナル壊滅アルノミトス


東京裁判で清瀬一郎弁護士が無条件降伏ではない事を主張しています。
ところがいつの間にか、日本は無条件降伏したと教科書でも間違って教えるようになりました。
この事も正す必要があります。
このような間違いを江藤淳が著書「忘れたことと、忘れさせられたこと」の中で書いています。


去る七月三十日、外務省が、戦後外交機密文書の第四次公開を行った際、それを報じたある全国紙(毎日新聞)の解説記事を読んでいて、私はわが眼を疑わざるを得なかった。その記事はニカ所にわたって、看過すことのできない重大な事実の誤認をおかしていたからである。
その第一の箇所には、《……日本側はポツダム宣言が無条件降伏であり、「大東亜共栄圏」の指導者を亡命させる"能力"がないことに、当初気がついていなかったフシもうかがえる》(太字引用者)
と記されており、第二の箇所には、《敗戦に賠償はつきものである。無条件降伏となり、米軍が占領軍として進駐してきた時、多くの日本人は巨額の賠償を覚悟した》(太字引用者)と記されている。
しかし、この記述のうち私が傍点を附した部分は、いずれも明らかに事実と相違している。
ポツダム宣言は、そもそも日本に無条件降伏を要求しなかったし、それを受諾した日本は、当然のこととして連合国に無条件降伏したわけではないからである。
この問題について、私は、『終戦史録』(全六巻・北洋社刊)の解説や拙著『もう一つの戦後史』(講談社刊)などで、繰り返して指摘して来たが、ことが日本敗戦の原点にかかわる事柄なので、煩をいとわずに重ねて確認しておきたい。ポツダム宣言を受諾したとき、日本は決して、無条件降伏したわけではない。ポツダム宣言に明示された諸条件を受け容れて、ともかくも主権を維持しつつ降伏したのである。
右の解説記事の記者は、おそらくポツダム宣言の本文を読んだことがないか、不正確にしか読んでいなかったにちがいない。もし本文を参照していれば、かりにも私が指摘したような初歩的な事実の誤認をおかし得たはずがない。なぜなら、ポツダム宣言第五項は、「吾等ノ条件ハ左ノ如シ(Following are terms.)」として、第六項以下の条項に降伏条件を明示し、「無条件降伏(unconditional surrender)」なる語が用いられているのは第十三項においてだけで、それもただ一カ所「全日本国軍隊ノ無条件降伏(the unconditional surrender of all Japanese armed forces)」という文言において用いられているだけだからである。
つまり、ポツダム宣言を受諾した結果「無条件降伏」したのは、「全日本国軍隊」であって日本国ではなかったのである。これは決して無意味な言葉の遊戯でもなければ、私の誰弁でもない。この事実の上には今日の日本の存立がかかり、殊に対ソ関係においては、わが北方領土返還要求の合法性がかかっているのである。
その意味で、ポツダム宣言は文反古のなかで死文化してはいず、今日の国際関係の現実に脈々と生きつづけている。われわれは、一方で日本の「無条件降伏」を認めながらソ連による邦人シベリア抑留の不法を鳴らすことはできず、北方領土返還要求の正当性を主張することもできないのである。
ところで、『アメリカ合衆国外交関係文書・一九四五年・ベルリン会議』所収第一二五四文書「国務省覚書」(一九四五年七月二十六日の宣言と国務省の政策との比較検討)を一見すると、ポツダム宣言発出当時から米国務省がこの宣言の性格を正確に把握し、それが従来の国務省の政策の抜本的な変更を意味することを認識していたことが明らかである。
もともと「無条件降伏」の構想は、米大統領フランクリン・ローズヴェルトが南北戦争の戦後処理にヒントを得て、着想したものだといわれている。それはまず一九四三年一月二十六日、カサブランカ会談終了時の記者会見において、対枢軸国方針として声明され、同年十一月二十七日のカイロ宣言において、「日本国の無条件降伏」という文言に特定された。
この基本方針が、ポツダム宣言における「全日本国軍隊の無条件降伏」に後退を余儀なくされたのは、①ローズヴェルトの病死、②日本軍の予想外な頑強な抵抗、③連合国問の思惑の変化等々の理由によるものと考えられる。これについて米国務省は、前記「覚書」において、戦勝国の意志を一方的に戦敗国に押しつけようとする従来の「無条件降伏」方式が、ポツダム宣言の結果重大な修正を加えられたことを認め、次のような見解を下している。
《ポツダム宣言は降伏条件を提示した文書であり、受諾されれば国際法の一般規範によって解釈される国際協定をなすものとなる》
つまり、ポツダム宣言は、日本のみならず連合国をも拘束する双務的な協定であり、したがって日本は、占領中といえどもこの協定の相手方に対して、降伏条件の実行を求める権利を留保し得ていたのである。
いうまでもなくソ連は対日参戦と同時にポツダム宣言の署名国に参加し、この「協定」の拘束を受けている。ソ連の邦人シベリア抑留が不法だったのは、早期帰還を約束している宣言第九項に違反していたためであり、わが北方領土占拠が不当なのは、ポツダム宣言が領土不拡張を掲げたカイロ宣言の精神を承継しているにもかかわらず、その原則を侵害しているためである。
もし冒頭に引用した解説記事の記者のいうように、日本が「無条件降伏」をしていたのであれば、われわれがポツダム宣言署名国であるソ連に対して何等の請求権を持ち得ないことになる。今日、わが国の北方領土返還要求が不当だというジャーナリストは、少くともこの日本にはいないであろう。そうであれば、日本が「無条件降伏」したなどという謬説をただちに去って、敗戦の原点を今一度虚心に見詰め直してもらいたいと思う。
戦争の敗け方にも、いろいろな敗け方がある。敗けたからといって事実を曲げ、必要以上に自らを卑しめるのは、気概ある人間のすることとは思われないのである。
(サンケイ新聞昭和五十三年八月十日付「正論」)



戦後思想の克服 Ⅰ
「戦後思想」克服のために Ⅱ
「戦後思想」克服のために Ⅲ


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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (自民党かってに応援団)
2009-08-04 17:53:56
【ギャンブルパンフ配布祭り】自民党の新しいパンフレット「政治はギャンブルじゃない~民主党の『お試し政権』に日本を任せられません」【拡散希望】

ブログ主さま、失礼いたします。
以下の件、このエントリーと関係ありませんが、コメント欄にお邪魔させて頂ければ幸いです(不都合な場合にはお手数ですが削除下さいませ)。

*****(以下は麻生自民党チャンネルより引用)*****
自民党から新しいパンフレットが発行されました。
★安全保障★教育★憲法・国家観
主要3テーマについて、民主党の危うさ・あいまいさを追求しています。

試しに民主党に賭けてみる?
と、ちょっとでも思っちゃったことがある方に、ぜひ読んでいただきたい1冊です。

PDFのダウンロードはこちら→
http://www.jimin.jp/jimin/kouyaku/pamphlet/index.html
そして!多くのみなさまから「パンフを配布したいのだけど、、」とのお問合せをいただきました。
そこで、もし、ボランティアでの配布をご希望いただけるのであれば、
自民党より100枚単位で配送させていただくことになりました。

タイトルに「ギャンブルパンフ希望」とご記入いただき、
郵便番号、ご住所、お名前、お電話番号、希望枚数をご明記の上、
メールで media3@mail.jimin.jp  へお申し込みください
***********(引用は以上)***********

とのことです。なお、動画はhttp://www.nicovideo.jp/watch/1248067511にあります。
PDFを自分で印刷したものを配布することはできないそうですので、必ず自民党から配送されたものを配ってください、とのことです。
なお、こうして一般国民へ向けたパンフレット配布の呼びかけは、党として初の試みだそうです。
読者の皆様、パンフレット配布、この情報の拡散ともにどうぞよろしくお願い致します。
ブログ主さま、お邪魔いたしました。
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