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夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

今年観た映画50音順〈な行〉

2014年12月26日 | 映画(な行)
《な》
『なんちゃって家族』(原題:We're The Millers)
ヤクの売人デヴィッド、ストリッパーのローズ、童貞少年のケニーは、
同じアパートメントに暮らす赤の他人。
ある日、近所で不良に絡まれているホームレス娘のケイシーをケニーが助けに走る。
ヨワヨワのケニーがふだつきの不良に勝てるわけもなく、仕方なく仲裁に入るデヴィッド。
ところが、攻撃の矛先をデヴィッドに向けた不良たちからヤクもその売上金も奪われてしまう。
元締めのブラッドに正直に打ち明けると、メキシコからブツを運ぶ仕事を請け負うならば
今回の件をチャラにしてやってもいいと言う。
一人で国境越えをすれば怪しまれるに決まっている。
ならば家族旅行を装うべしと、ローズとケニーとケイシーに相談、
4人は仲良し家族のふりをしてキャンピングカーに乗り込み、メキシコへと向かうのだが……。
ばかばかしくてお茶目。下ネタ満載ながら爽やかでキレ味よし。
今年とっても楽しかったコメディ作品のひとつです。

《に》
『ニューヨーク、恋人たちの2日間』(原題:2 Days in New York)
ジュリー・デルピーが監督・脚本・主演を務めた2012年のフランス/ドイツ/ベルギー作品。
フランス人女性で写真家のマリオンは、黒人ラジオDJのミンガスと、
それぞれの息子と娘を連れてニューヨークで暮らしている。
ある日、マリオンの個展開催に合わせて、パリから家族がやってくることに。
愛すべき父親ジャノだけならどうにかなったところ、
妹のローズとその恋人(しかもマリオンの元カレ)の常軌を逸した行動が止まらない。
優しいミンガスの堪忍袋の緒が今にも切れそうになって……。
コメディアンのイメージの強いクリス・ロックがミンガス役で、
マリオンの家族に振り回されっぱなし、絶妙のツッコミ。
ジャノ役のアルベール・デルピーはジュリー・デルピーの実父だそうで。
マリオンの「魂」を落札する謎の男にヴィンセント・ギャロ。
劇場で観ていたら、ミンガス以上にローズにイライラさせられていたかも。

《ぬ》
『ヌイグルマーZ』
大槻ケンヂが率いるバンド“特撮”のアルバムに収録されている『戦え!ヌイグルマー』。
その曲をモチーフに自ら書き下ろした長編小説『縫製人間ヌイグルマー』の映画化。
はるか彼方の惑星を追われた謎の綿状生命体が地球に飛来。
綿状生命体の最強戦士ドゥーマアはピンクのテディベア“ブースケ”に宿り、
テディベアの持ち主である少女・響子を一生守ると決意する。
そんな響子の家へやってきたのが、響子の叔母に当たる夢子。
いい年をしてロリータファッションに身を包み、何をやらせても駄目な夢子を響子は嫌うが、
夢子はブースケと一緒に響子を守ろうとする。
一方、綿状生命体のもうひとりの戦士デバルザが宿ったのは黒のテディベア“チャーリー”。
チャーリーはチビでひねくれた男タケシと合体し、人間を次々とゾンビ化。
その魔の手が響子にも迫ったとき、夢子とブースケは合体し、ヌイグルマーとなって戦うのだが……。
夢子に中川翔子、ブースケの声に阿部サダヲ、それだけで可笑しい。
阿波踊りを踊りながら襲ってくるゾンビを初めて見ました。当たり前!?

《ね》
『ネクスト・ゴール! 世界最弱のサッカー代表チーム0対31からの挑戦』(原題:Next Goal Wins)
イギリス作品。
2002年ワールドカップのオセアニア地区予選として行われた2001年の国際試合で、
オーストラリアを相手に0対31という記録的大敗を喫したアメリカ領サモア代表チーム。
これは国際Aマッチ史上最大点差の敗戦で、それから10年以上の間、FIFAランキングでは万年最下位。
2011年にオランダ人のトーマス・ロンゲンが監督に就任し、
2014年ワールドカップのオセアニア一次予選でトンガに初勝利。
その経緯を記したドキュメンタリー作品。
サモアではファファフィネ(第三の性)がきちんと認識されていて、
男女どちらの魂も持つ人として敬意を払われていることを初めて知りました。
そのファファフィネとしてワールドカップ予選にスタメン出場した選手の話も興味深い。
初ゴールのシーンは感動的で、泣きそうになりました。

《の》
『ノンストップ!』(原題:Operation Casablanca)
2010年のスイス/カナダ/フランス作品。
劇場未公開作品を今ごろDVD化。
モロッコ人のサーディはスイスのホテル・フラミンゴで皿洗いの不法就労をしていたが、
オーナーのミシェルと口論になり、クビを言い渡される。
職を求めてうろついていた折り、国連事務総長のタカハタがテロ組織“カサブランカ班”に誘拐される場面に遭遇。
カサブランカ班とスイス警察の銃撃戦になるが、カサブランカ班はまんまと逃走。
そこに残ったのがサーディで、スイス警察はサーディを大物国際テロリストと勘違い。
本物のテロリスト、ユセフがスイス警察に捕まったため、
とりあえずサーディは無関係とわかってもらえたが、ユセフが獄中で自殺。
図らずもそれに手を貸した形になってしまったサーディは、スイス警察に脅され、
ユセフになりすましてカサブランカ班に潜入するはめに。
カサブランカ班では仲間同士で会うときも覆面をしているため、
ユセフの顔を誰も知らないから大丈夫だとスイス警察は言うのだが……。
誰も知った役者がいないと思っていたら、タカハタ役は笈田ヨシでした。
意外に面白かった1本で、イケメンでもないサーディがめちゃキュート。
ズボズボと巻き込まれていく様子がものすごく可笑しかったです。
邦題はまったく的外れ。売る気あるんかいなという気がします。

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今年観た映画50音順〈た行〉

2014年12月25日 | 映画(た行)
《た》
『旅立ちの島唄 十五の春』
昨年5月に公開された2012年の作品。
沖縄の離島、南大東島のさとうきび農家に生まれた優奈は、中学2年生の14歳。
兄と姉は進学のために那覇に渡り、そのとき一緒に出て行った母もなぜか帰ってこない。
父とふたりきりの生活をはじめてからずいぶん長くなる。
優奈が所属する民謡グループ“ボロジノ娘”の現リーダーが、中学を卒業して島を出る。
替わって優奈がリーダーを務めるのだが、その優奈も1年後には島を出なければならない。
父親と過ごす最後の1年、もう家族みんなでは暮らせないのか。
さまざまな思いが優奈の頭の中をめぐり……。
吉田康弘監督は、井筒和幸監督作品で助監督を務めてきた人で、
『黄金を抱いて翔べ』(2012)の脚本も担当。
監督デビュー作だった『キトキト!』(2006)で肝っ玉母ちゃんを演じた大竹しのぶ
本作でもヒロインの母親役。父親役は小林薫と、素敵なキャスト。
ヒロインは『グッモーエビアン!』(2012)の娘役だった三吉彩花。やはりカワイイ。
小品ながら、人生の岐路に立つ少女の1年が丁寧に描かれています。

《ち》
『地中海式人生のレシピ』(原題:Dieta Mediterranea)
2009年のスペイン作品。製作から4年も経った昨年、日本で公開。
ソフィアは幼い頃から両親が経営する町の食堂を手伝ってきた。
料理の才能に溢れる彼女の夢は最高のシェフになること。
しかし、厨房は男性の職場とみなされ、女性はなかなか受け入れてもらえない。
彼女の幼なじみで真面目なトニは、実業家として成功、彼女にプロポーズ。
もうひとりの幼なじみで奔放なフランクは、彼女とレストランを開きたい。
トニとフランクの間でソフィアの心は揺れ動き……。
“エル・ブリ”など、スペインの三つ星レストランのシェフが揃って協力したという触れ込み。
前衛的なお料理には惹かれませんが、厨房の様子は楽しい。
それよりも、タイプの異なる男性2人を片方に絞りきれず、
そんな彼女を受け入れて、3人で暮らすことを採るのが羨ましいというのか……(笑)。

《つ》
『月の下まで』
高知新聞の記者を辞め、夜間の映画学校を卒業したという奥村盛人監督の長編デビュー作。
高知県幡多郡黒潮町に暮らす漁師の勝雄は、妻の美砂子に逃げられ、
一人息子で知的障害のある雄介とどう接してよいのかわからない。
母親のセツに世話をまかせっきりだったのに、ある日突然、セツが亡くなってしまう。
不漁に新造船の支払いで心身共に追い詰められたうえ、
雄介があちこちでトラブルを起こして呼び出されるものだから、勝雄の怒りは爆発し……。
いかにも低予算で撮った暗い作品かと思いきや、それを感じたのは最初だけ。
雄介がセツにねだって大量につくっていたてるてる坊主が
勝雄の漁のために晴れることを祈っていたがゆえのものだったと知ったとき、
台詞はなくとも心にポッと灯がともった気持ちになりました。
じゃこめし、旨いだろうけど、それだけでは確かに栄養が足りんでしょ。(^^;

《て》
『てやんDays』
2012年に公開された2011年の時代劇作品。
幕末、官軍対幕軍の激闘の後の惨状が広がる江戸の外れ。
診療所を経営する町医者の武田長庵は、怪我人に官軍も幕軍もないと生存者を探して回り、
まだかろうじて息をしていた侍2人を救出する。
幕軍の生き残りを匿っていると知れたら自分の身も危ない。
診療所の者たちは強く反対するが、人の好い長庵につきあわされるはめに。
しかし、そもそも侍2人は官軍の吉兵衛と幕軍の真之介という、敵対する間柄。
お互いの素性がわかれば診療所で斬り合いが始まってしまうかもしれない。
悩んだ長庵は、吉兵衛のことを「河童」、真之介のことを「オカマ」だと、
それぞれ相手に上手い具合に信じ込ませ、侍だということは伏せさせる。
2人がようやく起き上がれるようになった頃、
今度は官軍に裏切られた家老の妻、珠子までが診療所に運び込まれてきて……。
田舎侍に江戸っ子のふりをさせるために江戸弁を特訓するシーンが楽しい。
いつか2人で酒を飲もうと約束、それが叶うのは何十年後かのアメリカという設定。
とんでもない老けメイクには唖然としました(笑)。

《と》
『トカレフ』(原題:Tokarev)
スペイン出身のパコ・カベサス監督のハリウッド・デビュー作品。主演はニコラス刑事
裏社会から足を洗い、ビジネスマンとして成功しているポール。
妻ヴァネッサと高校生の娘ケイトリンに血のつながりはないが、非常に良好な関係。
何ひとつ不自由のない幸せな日々を送っている。
しかし、ポールとヴァネッサが外出した夜、
男友だち2人と共に留守番をしていたケイトリンが殺される。
覆面をした数名が押し入り、ケイトリンをさらった後、射殺して遺体を捨てたらしい。
過去にポールが関わった事件の相手による復讐にちがいないと、
ポールはかつてのギャング仲間の手を借りて犯人捜しに奔走するのだが……。
ロシアンマフィアが犯人だと思っていたら、何のことはない、
男友だちが誤って発砲してしまい、話を繕っていたというオチ。
いくら足を洗おうとも、過去に人を殺した罪はどこかで回ってくるのでしょうか。

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今年観た映画50音順〈さ行〉

2014年12月24日 | 映画(さ行)
《さ》
『サイトシアーズ 殺人者のための英国観光ガイド』(原題:Sightseers)
2012年のイギリス作品。
子離れできない母親に束縛されたまま30代になったティナは、
交際を開始してまもないクリスからヨークシャーの観光地めぐりに誘われる。
母親の反対を振りきって出発したが、なんとクリスは連続殺人犯
気に入らない観光客に出会うと躊躇なく殺してしまうのだ。
最初はとまどうティナだったが、次第に殺人をなんとも思わなくなり……。
忘れもしないTOHOシネマズの1ヶ月フリーパスポートの初日、
帰宅後にTSUTAYA DISCASでレンタルしていた本作を観て、後悔した作品。(^^;
ブラックコメディは好きなジャンルなのですが、エグすぎ。
最後はティナの希望で心中することになるけれど、結局飛び降りたのはクリスだけというオチ。
女はどこまでもしたたかよ~。怖すぎる。

《し》
『シャニダールの花』
石井聰亙あらため石井岳龍となった監督。
『生きてるものはいないのか』(2011)の次はこれ。摩訶不思議な監督です。
イラク北部のシャニダール洞窟遺跡で発見されたというシャニダールの花。
咲ききった花の成分は新薬の開発に繋がることから、高値で取り引きされている。
そんな花を研究しているシャニダール研究所。
研究のために自らの体を提供しようという女性たちの胸もとに花を植え付け、
花が咲くと摘み取って冷凍保存、外部企業へと運ぶのだ。
植物学者の大瀧(綾野剛)と新入りのセラピストである響子(黒木華)の役目は、
女性たちの体で花を育てて咲かせ、なおかつ心のケアをすること。
ふたりはいつしか恋に落ちるが、花の摘み取り時、提供者に死亡事故が相次ぎ……。
全編モノクロのような映像で、体に咲いた赤い花がちと気味悪い。
『小さいおうち』でブレイクした華ちゃん。純粋なイメージは本作でもバッチリ。
淡々と冷たい印象の作品で、なんとも言えない鑑賞感。

《す》
『スティーラーズ』(原題:Pawn Shop Chronicles)
原題は「質屋物語」の意。
アメリカ南部の田舎町にある1軒の小さな質屋を訪れる人びとの群像劇
これから強盗を働こうというときに、ガソリン代がなくてショットガンを質入れに来た間抜けな男。
ハネムーンのための金を工面しに来た男は、行方不明の前妻の指輪が質入れされているのを発見。
プレスリーのモノマネで巡業中の男も、金がなくて所持品を質入れに。
そこそこ面白くは観ましたが、女性を拉致して監禁飼育する男(イライジャ・ウッド)があまりに恐ろしく。
ブラックなオチで後味が良くありません。
キャストのひとり、ポール・ウォーカーは本作の日本公開前に急逝。合掌。

《せ》
『セブン・サイコパス』(原題:Seven Psychopaths)
2012年のイギリス作品。
脚本家のマーティは、“セブン・サイコパス”というタイトルだけが決まっている作品の執筆を請け負う。
しかし、なかなか書けずにいるマーティを、友人で売れない俳優のビリーが見かねて、
ネタ集めにと“サイコパス募集”という新聞広告を出してしまう。
その広告を見たというザカリアが現れ、ドギマギしながらも話を聞くマーティ。
一方、ビリーは知人ハンスのもとで愛犬誘拐詐欺のバイト中。
ところが、ハンスの依頼なしに勝手に誘拐してきたのがマフィアのチャーリーの愛犬。
こんな危ない話に巻き込まれたマーティだったが、図らずも脚本のネタ満載で……。
かなり血が飛び交うR15+指定。
コリン・ファレルサム・ロックウェルウディ・ハレルソン
クリストファー・ウォーケントム・ウェイツなどなどの曲者男優に、
アビー・コーニッシュオルガ・キュリレンコという美人女優を据えた豪華キャスト。
それなりに楽しめますが、同じコリン・ファレル主演で今年DVDで観た作品なら
『デッドマン・ダウン』のほうが圧倒的によかったかも。

《そ》
『空とぶニコ!!』(原題:Niko & The Way to the Stars)
2009年のフィンランド/デンマーク/ドイツ/アイルランド作品。
劇場未公開のアニメ。
トナカイのニコは、サンタ飛行隊に所属する父親といまだ会ったことがない。
自分も飛べるようになれば父親に会えるのではないか。
そう思ってムササビのジュリアスに教えを乞い、ひそかに練習するが、
練習場所をオオカミに嗅ぎつけられ、そのせいでトナカイ仲間全員が危険な目に。
仲間から離れて、飛行隊がいるはずのサンタ山を目指すニコ。
ジュリアスがそれにつきあい、途中出会ったイタチのウィルマも同行するのだが……。
原題も吹替も英語になっていて、オリジナル言語バージョンがあるのかどうか不明。
ハリウッドアニメとなんら変わりませんが、北欧のアニメだけあってオーロラが綺麗。
ジュリアスのキャラと映画に不釣り合いなほど上手いウィルマの歌が○。

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今年観た映画50音順〈か行〉

2014年12月23日 | 映画(か行)
《か》
『風にそよぐ草』(原題:Les Herbes Folles)
2009年のフランス/イタリア作品で、2011年公開、今年DVD化。
歯科の女医マルグリットは、買い物帰りにバッグをひったくられる。
金を抜き取って捨てられた財布を拾ったのが初老男性ジョルジュ。
財布の中を確認した彼は、小型飛行機操縦免許証の顔写真を見て恋に落ちる。
警察に届けたところ、マルグリットからお礼の電話がかかってくるのだが……。
なんだか不愉快、意味不明で苦笑いしてしまう展開。
ジョルジュは、会いたいと言ってくれないマルグリットにぶちキレ。
もうええわとキレたくせに、マルグリットの自宅を訪ねて手紙&電話攻め。
マルグリットもジョルジュのことが気になって仕方なくなります。
理解しがたいのが、ジョルジュは既婚者で、綺麗な奥さんに何でも話す。
奥さんは旦那のビョーキが出たと思うのか、マルグリットにもとても親切。
最後はマルグリットの操縦する飛行機にジョルジュ夫妻が乗って墜落。
私にはジジイの妄想にしか思えず、まったく笑えなかったけれども、
今年3月に91歳でお亡くなりになったアラン・レネ監督、
ま、こんな夢を見ていたとしたらそれもええのかなと。

《き》
『消えたシモン・ヴェルネール』(原題:Simon Werner a Disparu...)
昨年末に公開された、2010年のフランス作品。
パリ郊外で高校生シモンが失踪、血痕が発見されて捜査がはじまる。
シモンに続き、レティシア、ラビエも失踪するのだが……。
彼と同じ高校にかよう生徒、ジェレミー、アリス、ラビエの視点に分け、
同一の時間軸に何が起こったかを徐々に明らかに。
最後はシモンの視点から描いて真相がわかります。
この手法は『明日、君がいない』(2006)や『桐島、部活やめるってよ』(2012)を思い出させます。
へぇ、このときにこんなことが!みたいな面白さはありますが、
え、オチはそれ?みたいなあっけなさも。まぁこんなもんかなぁ。

《く》
『黒いスーツを着た男』(原題:Trois Mondes)
2012年のフランス/モルドヴァ作品。
自動車販売会社に勤務するアルは、社長の娘の心を射止め、逆玉に乗ることに成功。
10日後に結婚式を控え、友人である同僚たちとバカ騒ぎ。
その帰り道、自らが運転する車で歩行者を轢いてしまう。
友人らにここは任せておけと言われて逃走するが、
すぐ近くのアパルトマンに住むジュリエットが一部始終を目撃していた。
被害者はモルドヴァから来た不法滞在者のアドリアンと判明。
アドリアンの妻ヴェラに連絡を取ったジュリエットは、親身に相談に乗る。
不法滞在ゆえに十分な経済的補償を受けることは困難、ヴェラは困り果てている。
そんなとき、ジュリエットは偶然アルを発見、交渉を開始する。
しかし、思いのほかアルが善人だとわかり、惹かれてゆくのだが……。
アル役のラファエル・ペルソナーズはフランスで“アラン・ドロンの再来”と言われているそうな。
確かにとても美しい顔立ちのイケメンですが、アラン・ドロンと比べるとちとオーラが薄い。
が、貧しい家庭から成り上がったはずのアルが、
すべて失う覚悟ができたときの表情はなんともいえず○。

《け》
『ケンとメリー 雨あがりの夜空に』
深作健太監督、竹中直人主演によるロードムービー。
しがないサラリーマンの健(竹中直人)は、仕事を優先するあまり、
最愛の妻の死に目にも立ち会えず、一人娘のゆかり(北乃きい)から嫌われたまま。
このたび、マレーシアで日本語教師を務めるゆかりが結婚することになったが、
父親である健は招待されないばかりか相手を紹介すらしてもらえない。
挙式時期に無理やりマレーシア出張を取りつけて現地へと向かったところ、
悪天候によってマレーシアはマレーシアでも全然知らない空港へ緊急着陸。
途方に暮れていると、派手なトラック「小龍号」に乗った若い中国人男性が現れる。
ゆかりの友人だというその男メリーは、健を挙式会場まで連れて行く気満々で……。
タイトルどおり、RCサクセションの名曲が随所に使われています。
健がこよなく愛するRCサクセション、忌野清志郎様。
そのバッタもんを本家本元と信じるメリーとトラックの中で大喧嘩。
実はメリー(ルイ・ヴィトン初の中国人専属モデルらしく、イケメン)がゆかりの結婚相手。
展開の読めるドタバタムービーながら、“スローバラード”も効いて安心の1本。

《こ》
『恋するリベラーチェ』(原題:Behind the Candelabra)
スティーヴン・ソダーバーグ監督が描く、実在のピアニストをめぐる愛憎劇。
1950年代から1980年代にかけて、
悪趣味とも言える派手な衣装と奇抜なステージで人気を博したピアニスト、リベラーチェ。
絶頂期にあった1977年、彼は自分好みの青年スコットと出会う。
リベラーチェはスコットを住み込みの秘書として雇うことに決め、
獣医を目指していたスコットは養父母の反対を押し切り、
リベラーチェの豪邸に移り住むのだが……。
原題は“Behind the Candelabra”で、“Candelabra”は「枝付き燭台」の意。
リベラーチェがピアノの上に常に飾っていた燭台のことです。
ゲイを演じるマイケル・ダグラスマット・デイモンの化粧顔に、
もっと笑える話だと思っていたら、ちっとも笑えず。こんなシリアスだったとは。

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今年観た映画50音順〈あ行〉

2014年12月22日 | 映画(あ行)
13回目となりました。年末の恒例におつきあいください。

先週の金曜日までに劇場で観た作品194本はすべてUP済みなので、
ここに挙げるのはそれ以外のDVDで観たものばかり。
あくまで書きそびれていた作品を挙げているだけなので、
好きだったとか嫌いだったとかは関係ありません。
どれも今年レンタルが開始されました。
製作年が2012年以前の作品についてはそれを明記しています。
これらは去年もしくは今年公開され、今年DVD化された作品です。
ネタバレ御免。

《あ》
『愛の渦』
ハマの番長と同姓同名の劇作家で、
『ボーイズ・オン・ザ・ラン』(2009)では映画監督デビューも果たした三浦大輔監督。
彼が率いる劇団の代表作を映画化したのが本作。
閑静な住宅街にある豪華マンションの一室で営業されている裏風俗。
男性20,000円、女性1,000円を払えば、少人数の乱交パーティーに参加することができる。
ある晩、ここに集まった「ヤリたくて仕方がない」男女8名。
ニート(池松壮亮)、女子大生(門脇麦)、フリーター(新井浩文)、サラリーマン(滝藤賢一)、
OL(三津谷葉子)、保母(中村映里子)、童貞(駒木根隆介)、常連(赤澤セリ)が、
全員バスタオル1枚という姿で言葉を交わしはじめるのだが……。
セックスシーンがばんばん出てくるR18+作品ですが、エロさは皆無。
本来の目的に到達する前のぎこちない会話や、
第1戦が終わってから多少慣れて変化を見せる会話がとても面白い。
この裏風俗経営者役の田中哲司(=仲間由紀恵の旦那さん)と従業員役の窪塚洋介が実にいい味。
ラストシーン、朝の光のなかで窪塚洋介が受信するメールの一文があたたかい。

《い》
『インフェルノ 大火災脱出』(原題:逃出生天)
双子の監督、パン兄弟による香港作品。
ともに消防士の兄弟ダーグンとクン。
人命救助に限界を感じていたクンは退職、数年後に消防のプロとしてビジネスを始める。
同時期、ダーグンは身重の妻シーラの不安を和らげようと辞表を提出。
最後の出勤となるはずの日、クンのオフィスが入る超高層ビルで火災発生。
折しもそのビルには産婦人科で診察中のシーラが。
逃げ遅れた彼女はクンと偶然出会い、行動を共にすることに。
そこへ、消防隊を率いるダーグンも駆けつけて……。
韓国作品の『ザ・タワー 超高層ビル大火災』(2012)も今年観ました。
超高層ビルで火災発生、消防士が活躍する話というのはいずれもそれなりの面白さ。
どれも『タワーリング・インフェルノ』(1974)の二番煎じといえばそれまでですが。(^^;

《う》
『美しい絵の崩壊』(原題:Two Mothers)
オーストラリア/フランス作品。
オーストラリア東海岸のビーチタウン、入り江に建つ2軒の家。
片方に住むのはリル(ナオミ・ワッツ)とその息子イアン(ゼイヴィア・サミュエル)。
もう片方に住むのはロズ(ロビン・ライト)とその息子トム(ジェームズ・フレッシュヴィル)。
リルとロズは幼なじみの大親友で、50歳に近づいた今も強い絆で結ばれている。
イアンとトムも母親たちと同じように友情を築き、美しい青年へと成長。
いつのまにかロズに恋心を抱くようになっていたイアンは、
ある夜、気持ちを抑えられなくなり、ロズと一線を越えてしまう。
それを見たトムはリルを訪ね、この2人もまた同じ関係になり……。
もしも一流女優が演じていなければ、三流エロ作品に成り下がっていたでしょう。
登場人物も景色も美しいけれど、オバハンの妄想もいいところで、ちょっとキショい。

《え》
『エヴァの告白』(原題:The Immigrant)
アメリカ/フランス作品。
1921年、戦火を逃れてポーランドからアメリカへやってきた姉妹、エヴァとマグダ。
しかし、入国審査を受けたニューヨークのエリス島でマグダは結核と診断され、隔離処置。
エヴァ自身も難癖をつけられて入国を認められず、強制送還目前。
そのとき、移民を援助しているブルーノという男がエヴァの入国を手引きしてくれる。
紳士に見えたブルーノだが、実際は移民の女性たちを劇場で踊らせ、売春も斡旋。
敬虔なカトリック教徒のエヴァにとっては耐えがたいことだったが、
エリス島に閉じ込められているマグダを引き取るためには仕方なく……。
エヴァ役のマリオン・コティヤールの美しさには目を奪われます。
ブルーノを演じるホアキン・フェニックスが、悪い男ながら一途にエヴァを愛し、
最後には命を投げ出してエヴァとマグダを救おうとする姿が胸を打つ。
もはやアクションスターのジェレミー・レナーがやはりエヴァに惹かれる芸人役で出演。
なかなかいい味を出しています。

《お》
『オンリー・ゴッド』(原題:Only God Forgives)
タイを舞台にしたデンマーク/フランス作品。
『ドライヴ』(2011)のニコラス・ウィンディング・レフン監督とライアン・ゴズリング主演コンビ。
タイでボクシングクラブを経営しながら闇のビジネスを仕切る兄弟ビリーとジュリアン。
ある日、ビリーが何者かによって惨殺される。
知らせを受けた兄弟の母親クリスタルがタイへ。
ギャングの女ボスである彼女はジュリアンに復讐を命じるが、
ビリーが少女を殺害し、その少女の父親によってビリーが殺されたとわかる。
ジュリアンは父親の殺害を躊躇、クリスタルは激怒する。
やがてビリーの殺害現場にはほかにも複数の人物がいたと判明、
その中には刑事で神に代わって裁きを下す男チャンも混じっていた。
クリスタルは皆殺しにせよとジュリアンや部下に言いつけるが……。
血が飛びすぎて直視できないシーン多数。
クリスタル役のクリスティン・スコット・トーマスがド迫力。
エンドロールで「アレハンドロ・ホドロフスキーに捧ぐ」とあるのを見て、
ラストの両腕を差し出すジュリアンのシーンに納得。

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