夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

今年観た映画50音順〈は行〉

2013年12月27日 | 映画(は行)
《は》
『遥かな町へ』(原題:Quartier Lointain)
2010年のベルギー/フランス/ドイツ作品。日本未公開。
谷口ジローの漫画を『やわらかい手』(2007)のサム・ガルバルスキ監督が映画化。
48歳の中年男性トマはパリ在住の漫画家
出かけた先から帰るさい、乗るはずの列車をまちがえる。
到着したのは自分が生まれ育った町。20年前に母の葬儀で帰郷して以来。
ついでに墓参りに立ち寄るが、母の墓前で倒れてしまう。
目が覚めるとトマは14歳の姿に。両親と妹と暮らしている。
これは夢だと考えるが、どうもしばらく夢は覚めそうにない。
新聞の日付は1967年の6月。ちょうど父が家を出て行った頃。
父は自身の誕生祝いをしていた日に出て行ったまま帰ってこなかった。
父を待ちつづけた母は体を壊し、失意のまま亡くなったのだ。
父の誕生日はすでに過ぎていることに気づき、
あの過去を回避できたのかもしれないと思うのだが……。
お父さんを待たないで。自分の人生を楽しんで。そう母親に必死で話すトマ。
日本の漫画が原作なのに、景色も何もかもしっくり来ました。
原作者は列車の乗客として、意味なく意味ありげ(笑)に出演しています。

《ひ》
『ヒステリア』(原題:Hysteria)
2011年のイギリス/フランス/ドイツ/ルクセンブルク作品。
大人のおもちゃ、電動バイブレーターの誕生秘話。
というと、エロい話を想像しますが、どうしてどうして。
19世紀、医学界では迷信がまかり通っている、ヴィクトリア朝最盛期のロンドン。
患者第一の先進医療に取り組む若き医師モーティマーは煙たがられ、
どこの病院へ勤めてもすぐにクビを言い渡されてしまう。
そんななか、婦人科医療の第一人者ダリンプル医師がモーティマーを助手として採用。
女性特有の病とされるヒステリーに効果があるとされるマッサージ治療、
つまりは性感マッサージを施療する医師としてダリンプルは大人気。
それを若くてイケメンのモーティマーが手伝うのだから、医院はさらに繁盛し……。
ダリンプル医師には娘が2人いて、次女は知的で貞淑なエミリー。
それと対照的に、長女は女性の自立と解放を目指す進歩的なシャーロット。
バイブレーターの話だけではない、フェミニズムの問題も絡められていますが、
古典的なラブコメ路線も辿っていて、本当に素敵な作品に仕上がっています。
歴代のバイブレーターが映し出されるエンドロールも楽しい。

《ふ》
『ファイヤー・ウィズ・ファイヤー 炎の誓い』(原題:Fire With Fire)
2011年のアメリカ作品。
消防士という仕事と仲間をこよなく愛するジェレミーは、
買い物に立ち寄ったなじみのコンビニで殺人事件に遭遇、目撃者となる。
彼の証言により、犯人はマフィアの大物ヘイガンの一味と特定されるが、
面通しの席でヘイガンから脅迫を受ける。
それでもジェレミーは証言を約束、証人保護プログラムが適用され、
しばらく地元を離れて別人として生きることに。
しかしヘイガンはどこまでもジェレミーを追い、彼の仲間や恋人にまで危害が及ぶ。
終わらせるには自分がヘイガンを殺すしかないと単独で行動を開始するのだが……。
かつてヘイガンに相棒を殺され、ジェレミーに復讐を託す刑事にブルース・ウィリス
彼のアクションシーンはほぼ皆無、主演の座をジョシュ・デュアメルに譲っています。
イケメンなのになぜかパッとしないジョシュ、本作でも弱そうでドキドキ。
B級と言えますが、火を熟知した彼の復讐はそれなりに面白い。

《へ》
『HESOMORI ヘソモリ』
オール福井ロケで撮影された2011年の作品。
福井県越前市の越前和紙の紙漉き職人、さとし(永島敏行)は、10歳だった頃、
うっちゃん(渡辺いっけい)、エズ(石丸謙二郎)、井口(佐野史郎)、
おっさん(中村育二)という仲良し5人組で遊んでいて、不思議な祠と穴を発見する。
好奇心から穴の探検を始めた5人は、なんと幕末時代へタイムスリップ
お侍に斬りつけられそうになったところへ、
さとしの祖父、たけじい(若林豪)が現れて助け出される。
たけじいによれば、この穴は“へそ”で、さまざまな時代へ繋がっている。
さとしの一族は、代々へそを守りつづけてきた“へそもり”なのだと言う。
40年後の今、紙漉きとともにへそもりの役目を受け継いださとし。
ところが、へその存在を偶然知った者がその力を悪用しようとしていることがわかり……。
天命を受けた男がいて、仲間と家族がいて、悪だくみする者がいて、
みんなで力を合わせて、という古典的な作風ですが、とても和みます。
安心できる顔ぶれだからかもしれません。ちょっといい話。

《ほ》
『放課後ミッドナイターズ』
去年の夏頃、梅田ブルク7へ行くたびに予告編を観て気になっていたアニメ。
ベースは国際的に活躍する映像作家、竹清仁が手がけた短編CGアニメだそうで。
名門小学校の見学会に訪れた幼稚園児、マコ、ミーコ、ムツコ。
とんでもないおてんば娘の3人は、立ち入り禁止の理科室に忍び込んで好き放題。
恥ずかしすぎる落書きをされた人体模型と骨格標本は怒り心頭。
彼らが自由に動くことができる真夜中、3人に仕返しをしようと、
ミッドナイトパーティに招待するのだが、想像以上のおてんばぶりで……。
真夜中の学校に登場する幽霊たちがとても愉快。
結果的には理科室の救世主となる3人に拍手。

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