『桐島、部活やめるってよ』
監督:吉田大八
出演:神木隆之介,橋本愛,大後寿々花,東出昌大,清水くるみ,
山本美月,松岡茉優,落合モトキ,浅香航大,前野朋哉他
封切り日に梅田ブルク7にて。
数週間前に原作である同名小説を読みました。
さくっと読めて、結構おもしろかったのですが、とにかく若い。
そりゃ当然、著者の朝井リョウ氏は1989年生まれで、
早稲田大学在学中に執筆したのが本作。
その年には大学を卒業していた私から見れば若いに決まっています。
とある金曜日の放課後。
バレー部のキャプテンを務め、見た目もアタマも最高の学園のスター、
桐島が突然退部したらしいとの噂が校内を駆けめぐる。
毎日バスケをしながら桐島が部活を終えるのを待っていた面々、
野球部をサボリ中の宏樹、帰宅部の竜汰と友弘も初耳でビックリ。
桐島の彼女で校内一の美人、梨紗も何も聞かされていない。
梨紗といつも行動を共にしている、宏樹の恋人の沙奈は大慌て。
梨紗や沙奈と同じグループでバドミントン部のかすみと実果も驚く。
ひそかに宏樹に想いを寄せている吹奏楽部の亜矢は、
サックスの練習をしているふりをして、
桐島を待つ宏樹を屋上からこっそり眺めるのが習慣。
なのに桐島が部活をやめたせいで、宏樹らがたむろしなくなる。
宏樹を眺めることができる場所を探す亜矢と
ことごとくぶつかってしまうのが映画部の面々。
事情を知る由もない部長の涼也は亜矢と交渉を開始するが……。
原作は、宏樹、風助(バレー部のリベロ)、亜矢、涼也、実果、
そして、14歳のときのかすみの章で構成されているのに対し、
映画はある金曜日のそれぞれを描く形でスタートします。
そもそも、桐島が部活をやめるということが原作では最初にあっさり。
映画ではその噂で持ちきりになるまでに時間を要し、
非常におもしろいつくりの群像劇となっています。
ただ、映画のほうが桐島がいかに凄いヤツかが頻繁に語られ、
彼がいないせいでギスギスする生徒たちがしつこいほど描かれているのに、
桐島が部活をやめてもどうということはないふうな原作のほうが、
彼の凄さが伝わってくるのが不思議でおもしろい。
梨紗の存在についても原作ではちらりと語られるだけ。
あらゆる点で原作のほうが桐島の大物ぶりを感じさせます。
原作と比べるとこんな違和感がなきにしもあらずで、
映画版をまったくのオリジナルとして観るほうがいいのかも。
特に映画部が映画版では輝きを放ち、原作にはなかったゾンビ映画の撮影で泣かせてくれます。
彼らを中心に描かれているのは嬉しいところ。
原作で好きだった涼也とかすみの話がほんの少し登場するのにニッコリ、
実果の家庭の事情が丸ごと省かれてしまったのは物足りなく。
宏樹がカメラのレンズのフタを拾うシーンはよかったけれど、
そのときの宏樹の思いまでは映画では描けず。
タオルの感触は“ぽふん”、レンズのフタが外れる音は“かこり”、
原作で表現されるそんな“音”も好きだったけれど、それは映画では表現しづらいなぁ。
と、文句もつけてみましたが、こういう映画版はあり。
原作、映画ともに、マニアックな映画ネタ満載です。
映画部の涼也と武文が手にする雑誌は、なんてったって『映画秘宝』ですもん。
監督:吉田大八
出演:神木隆之介,橋本愛,大後寿々花,東出昌大,清水くるみ,
山本美月,松岡茉優,落合モトキ,浅香航大,前野朋哉他
封切り日に梅田ブルク7にて。
数週間前に原作である同名小説を読みました。
さくっと読めて、結構おもしろかったのですが、とにかく若い。
そりゃ当然、著者の朝井リョウ氏は1989年生まれで、
早稲田大学在学中に執筆したのが本作。
その年には大学を卒業していた私から見れば若いに決まっています。
とある金曜日の放課後。
バレー部のキャプテンを務め、見た目もアタマも最高の学園のスター、
桐島が突然退部したらしいとの噂が校内を駆けめぐる。
毎日バスケをしながら桐島が部活を終えるのを待っていた面々、
野球部をサボリ中の宏樹、帰宅部の竜汰と友弘も初耳でビックリ。
桐島の彼女で校内一の美人、梨紗も何も聞かされていない。
梨紗といつも行動を共にしている、宏樹の恋人の沙奈は大慌て。
梨紗や沙奈と同じグループでバドミントン部のかすみと実果も驚く。
ひそかに宏樹に想いを寄せている吹奏楽部の亜矢は、
サックスの練習をしているふりをして、
桐島を待つ宏樹を屋上からこっそり眺めるのが習慣。
なのに桐島が部活をやめたせいで、宏樹らがたむろしなくなる。
宏樹を眺めることができる場所を探す亜矢と
ことごとくぶつかってしまうのが映画部の面々。
事情を知る由もない部長の涼也は亜矢と交渉を開始するが……。
原作は、宏樹、風助(バレー部のリベロ)、亜矢、涼也、実果、
そして、14歳のときのかすみの章で構成されているのに対し、
映画はある金曜日のそれぞれを描く形でスタートします。
そもそも、桐島が部活をやめるということが原作では最初にあっさり。
映画ではその噂で持ちきりになるまでに時間を要し、
非常におもしろいつくりの群像劇となっています。
ただ、映画のほうが桐島がいかに凄いヤツかが頻繁に語られ、
彼がいないせいでギスギスする生徒たちがしつこいほど描かれているのに、
桐島が部活をやめてもどうということはないふうな原作のほうが、
彼の凄さが伝わってくるのが不思議でおもしろい。
梨紗の存在についても原作ではちらりと語られるだけ。
あらゆる点で原作のほうが桐島の大物ぶりを感じさせます。
原作と比べるとこんな違和感がなきにしもあらずで、
映画版をまったくのオリジナルとして観るほうがいいのかも。
特に映画部が映画版では輝きを放ち、原作にはなかったゾンビ映画の撮影で泣かせてくれます。
彼らを中心に描かれているのは嬉しいところ。
原作で好きだった涼也とかすみの話がほんの少し登場するのにニッコリ、
実果の家庭の事情が丸ごと省かれてしまったのは物足りなく。
宏樹がカメラのレンズのフタを拾うシーンはよかったけれど、
そのときの宏樹の思いまでは映画では描けず。
タオルの感触は“ぽふん”、レンズのフタが外れる音は“かこり”、
原作で表現されるそんな“音”も好きだったけれど、それは映画では表現しづらいなぁ。
と、文句もつけてみましたが、こういう映画版はあり。
原作、映画ともに、マニアックな映画ネタ満載です。
映画部の涼也と武文が手にする雑誌は、なんてったって『映画秘宝』ですもん。