夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『菖蒲』

2013年01月05日 | 映画(さ行)
『菖蒲』(原題:Tatarak)
監督:アンジェイ・ワイダ
出演:クリスティナ・ヤンダ,パヴェウ・シャイダ,ヤン・エングレルト,
   ヤドヴィガ・ヤンコフスカ=チェシラク,ユリア・ピェトルハ他

前述の『シェフ! 三ツ星レストランの舞台裏へようこそ』に続き、シネ・リーブル神戸にて。
梅田ではなくわざわざ神戸まで行ったのは本作のせいではありません。
3本観る時間があったので、1本目と3本目の間を埋めるため、
そして、1本目で獲得したポイントで観たため、これはタダでした。

ポーランドの巨匠、御年86歳の巨匠アンジェイ・ワイダ監督。
本作撮影中に予想外のことが起きたせいかおかげか、変則的な構造になっています。
その変則についていけなかった私は、つまらなかったとも言いがたく、
ただただ不思議な作品だったとしか言いようがありません。

フィクションとそのメイキングシーンとドキュメンタリーで構成されています。
監督が本作を撮りはじめたときは、普通にドラマを撮るつもりだったのでしょう。
基になっているのは、同国を代表する作家ヤロスワフ・イヴァシュキェヴィチの同名短編。
まずそのフィクションの部分のあらすじを。

小さな町に暮らす医師とその妻マルタという夫婦。
2人の息子をワルシャワ蜂起で失い、夫婦の間には溝ができてしまう。
お互いにいたわり合いながらも、常に心にすきま風が吹いている。
夫は自身が病魔に冒されていることを知るが、妻に言い出せない。
一方のマルタは近隣に住む青年ボクシと出会い、惹かれてゆくのだが……。
こんな感じの物語です。

さて、こんなドラマの撮影中に何が起きたかと言うと、
マルタ役の主演女優クリスティナ・ヤンダの夫であり、
監督の盟友でもあったカメラマンのエドヴァルト・クウォシンスキが病死。
そこで当初の構想を大きく変更したようなのです。

クリスティナが夫エドヴァルトについて独白するシーンと、
ドラマのメイキングシーンが追加され、それが入り乱れます。
ドラマなのかドキュメンタリーなのか判断しづらいシーンもあり、
私には簡単な話なのか難解な話なのかすら理解できず。
自分がアホなんじゃないかと思いましたね。(^^;

マルタと、マルタを演じるクリスティナと、どちらが本物?
どちらも芝居がかっているような気がして、
大女優は根っからこうなのかと思えなくもないのですが戸惑います。

ひとつ、あらためて気づいたことが。
私は「オッサンの妄想」以上に「オバハンの妄想」=「若い男に媚びるオバハン」が苦手なようで。(^^;
本作ではマルタがボクシの体に見とれたり触れたり、
いきなりその背中に抱きついたりするシーンがありますが、
正直言って気持ち悪くて見ていられません。
これで「マルタとボクシはお互いに惹かれ合い……」なんていうのは無理があります。

映画としてはおもしろい試みだと思いますが、
誰かの死によって企画が持ち上がったという作品であれば、
これよりも『監督失格』(2011)のほうがずっと好きでした。
世界に名だたる巨匠と、AV監督を比べちゃ駄目ですか。(^^;

う~ん、でも、オバハンの妄想っぽくなければ、もう少し感慨深かったのかも。
ゴメンナサイ。

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