『オブリビオン』(原題:Oblivion)
監督:ジョセフ・コシンスキー
出演:トム・クルーズ,モーガン・フリーマン,オルガ・キュリレンコ,
アンドレア・ライズボロー,ニコライ・コスター=ワルドー,メリッサ・レオ他
レディースデー、ひょっこり1本観る時間ができました。
帰り道途中にある109シネマズ箕面では、本作の通常版とIMAX版を上映中。
IMAX版だと割引がきかないし、通常版でいいやと思ったものの、
通常版の上映開始時間はIMAX版より40分遅い。
40分早く帰れたら、プロ野球が終わる頃に間に合うし、本も読める。
というわけで、割引なしの2,000円を払ってIMAX版を観ました。
原作は同名のグラフィックノベルとのことなのですが、
そもそもグラフィックノベルとはなんぞや。
よくわからないので調べたら、「厳密には定義できない」とのことでさらにわからん。
簡単に言うと、厚めで難解なアメリカンコミックを指すようです。
2077年。60年前に異星人スカヴの襲撃を受け、地球は荒廃。
全人類が土星の衛星タイタンへと移住することになり、
いまや誰も住んでいない地球を“ドローン”と呼ばれる武装した無人偵察機が見回っている。
そんな地球に残ったのはたった2人、元海兵隊司令官のジャックとヴィクトリア。
過去の記憶を消去されることを承諾し、新しい生活を受け入れた2人は、
浮遊都市テットに存在する本部の司令官サリーの指示のもと、
砂漠に建てられたタワーに居住して地上を監視。
パトロールやドローンのメンテナンスといった任務に就いて日々を送る。
ある日、パトロール中のジャックは、未確認の宇宙船が墜落する瞬間を目撃。
現場へ直行したところ、落下したカプセル数個の中で生存者が眠っている模様。
ジャックを追って到着したドローンは、生存者をも敵と認識して攻撃する。
唯一ジャックが守り抜いたカプセル内には、なぜだか見覚えのある女性が。
目を覚ましたその女性はジュリアと名乗り、ジャックのことを知っている様子。
飛行記録を回収しに墜落現場へ戻りたいと言う彼女につきあい、
ジャックはパトロール機の操縦席へと乗り込むのだが……。
IMAX版を観た甲斐があったかどうかは比べてみないとわかりませんが、
音に取り巻かれる大画面環境の中で観ることができたのは良かったかも。
確かにこれが本なら分厚くて難解、話の輪郭がわかるまで時間がかかりそう。
映画を観はじめてしばらくの間は、ついて行けずに終わったらどうしようと思いましたが、
ジャックが疑問に思うひとつひとつのことが、観客が抱く疑問と同じなのです。
だから、ジャックがわかれば私たちもわかるというわけで。
ジュリアはいったい何者なのか、スカヴはどんなエイリアンなのか、
どうして地球上にはジャックとヴィクトリア2人きりなのか、
テットとは何で、サリーはどういう人物なのか。
なるほどなるほどと次々に納得できて、終わってみればわかりやすい。
“Oblivion”とは「忘れ去られている状態」の意。
記憶を消去され、あらゆることが忘却の彼方へと追いやられていたはずなのに、
「好きだった」という感情だけは完全には消し去ることができません。
愛していた人のことはもちろんのこと、本、音楽、景色。
それを目に耳にして感情が呼び起こされる瞬間の素晴らしさ、そしてそれに伴う切なさ。
ジュリア役には『007 慰めの報酬』(2008)のボンドガール、オルガ・キュリレンコ。
『007 スカイフォール』を観るまでは“007”シリーズ未見だった私ですが、
ダニエル・クレイグ版ボンドぐらいは見ておこうと、今年のお正月にこれは観ていました。
サリー役は『フローズン・リバー』(2008)の主演女優メリッサ・レオ。
先日観たばかりの『ビトレイヤー』のサラ役、アンドレア・ライズボローがヴィクトリアなどなど、
イギリス出身俳優だらけだった『ビトレイヤー』に対し、
アメリカにウクライナにイギリスにデンマーク、ニュージーランドとなんとも国際色豊か。
忘れられなかったわずかな感覚を頼りに行き着くラストシーン。
その美しさが目に焼き付いています。