夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語』

2013年02月07日 | 映画(た行)
『つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語』
監督:行定勲
出演:阿部寛,小泉今日子,野波麻帆,風吹ジュン,真木よう子,
   忽那汐里,大竹しのぶ,羽場裕一,荻野目慶子,岸谷五朗他

仕事帰りに近所のシネコンへ急いだら、なんと客は私ひとり。
久々の貸切状態に、途中から座席の上で体操座り、
さらには前席へ脚を投げ出して映画鑑賞した私を許してください。
この日は1日、「映画の日」だというのに大丈夫なんでしょか。

原作は未読ですが、直木賞作家である井上荒野の同名小説。
本の購入代も節約しようと思い、最近は積み上げてある本から読んでいますが、
じきに我慢できなくなって、またあれこれ買ってしまいそうな予感。
そのときにはこれも読んでみたいです。

大島に暮らす松尾春二には、病床ですでに意識のない妻、艶(つや)がいる。
彼女に人生を懸け、彼女のせいで人生を狂わされた春二は、
包丁を片手に病室を訪れるが、どうしても彼女を刺すことができない。

春二は艶を見知っているはずの男たちに連絡を取ろうと、電話をかけ始める。
艶の処女を力づくで奪った従兄の小説家、
艶の元夫でほぼひきこもりの生活をする資産家、
艶の不倫相手や、艶がストーカーしていた若い男などなど。
艶危篤の報せは、こうした男たちを取り巻く女たちにざわざわとした感情を呼び起こし……。

従兄の妻、元夫の愛人、不倫相手の妻、ストーカー相手の恋人、
そして艶のせいで父親から捨てられた娘。
これ以上はネタをバラさないほうがおもしろいだろうと思うのですが、
観終わってから公式サイトを見たらそのまんま書いてあるじゃないですか。
大竹しのぶ演じる女が誰かってこと。(^^;

138分とわりと長めですが、オムニバス風なので、そう退屈でもありません。
ただ、オムニバスならば最後に登場人物が繋がるというオチが私は好きなもので、
本作に関してはそんなこともなく、ちょっと物足りない感。

ま、ヤジウマ的に観るのが楽しいんじゃないかと思います。
キョンキョンと荻野目慶子の取っ組み合いの喧嘩とかまさにそう。

大竹しのぶ演じる早千子がひとり艶の病室に入り、
意識のない艶の胸元をそっと広げるシーンは印象に残りました。
艶に会えば、どんな男も骨抜きにされてしまう。
そんな女の体はさぞなまめかしかろうと想像されるのに、
広げた胸元にいくつもの傷が見えたとき、早千子の頬を涙が伝うのです。

関わった男どころか、誰も弔問客がいない艶の通夜。
そこへひょっこり顔を出す悪ガキとその母親。
3人で棺桶を覗き込むラストシーンはとても好きでした。

結局何が言いたかったんだろうと考えると、
クレイジーケンバンドが演奏するエンディングテーマ曲の歌詞に尽きるのではないかと。
「ま、いいや。愛し抜くことができたから」。

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