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『オン・ザ・ミルキー・ロード』

2017年09月26日 | 映画(あ行)
『オン・ザ・ミルキー・ロード』(原題:On the Milky Road)
監督:エミール・クストリッツァ
出演:モニカ・ベルッチ,エミール・クストリッツァ,
   プレドラグ・マノイロヴィッチ,スロボダ・ミチャロヴィッチ他

1週間以上経ってしまいましたが、3連休最終日だった「敬老の日」、
朝からびっちびちのスケジュール。

まずは西宮市大谷記念美術館へ車を走らせ、開館前に到着。
すでに満車になりかけの駐車場にギリギリで入庫。
開館待ちしてイタリア・ボローニャ国際絵本原画展を観覧。
絵はがきと一筆箋も購入し、ご機嫌で退館して阪神西宮駅前のコインパーキングへ。

今度は阪神電車と阪急電車を乗り継いで阪急西宮北口へ。
TOHOシネマズ西宮で本作を観る。

ちなみに、映画鑑賞後はまたまた阪急と阪神を乗り継いで甲子園へ。
そうなる予感ありありだったけれど、広島の胴上げを目の前で見るはめに。
いつもは敗戦と同時に帰途に就くところ、
せっかくなので胴上げはもちろんのこと、緒方監督のインタビューも、
骨折中の「神ってる」鈴木誠也がエルドレッドにおぶわれて出てきたのも見ました。
ほとんどの阪神ファンが残って拍手を送っていたということを名誉のために(笑)付け加えます。

余談ながら、2010年のCS(クライマックスシリーズ)のファーストステージのとき、
巨人が阪神に勝ってファイナルステージへの進出を決めました。
原監督はまず巨人ファンに感謝の意を述べたのち、
「今まで球場に残ってくださっているタイガースファンの皆様にもお礼を申し上げます」。
あれにはものすごくグッときて、原やるやんと思いました。

だから、緒方監督からも何かひと言ぐらいあるのではと期待したけれど、無し。
ああいうところは巨人って優勝し慣れているんだなぁと思いました。
他球団のファンにも言葉をかける余裕があるのですから。
何はともあれ、広島ファンの皆様、リーグ優勝おめでとうございます。
ウチは相変わらずモタモタ、2位すら確保できるのかどうか。

という話はさておき、本題に。
ユーゴスラビア出身のエミール・クストリッツァ監督の作品。
これがシネコンで上映されていることが不思議でたまりません。
私は大好きですが、客入るか!?

隣国と戦争中のとある国に暮らす変わり者の男コスタ。
村の人気者の美女・ミレナが販売するミルクを配達するのが仕事。
注文者の兵士たちにミルクを届けるため、
コスタは毎日銃弾をかわしながら、前線へとロバで向かう。

コスタに想いを寄せているミレナは、何が何でもコスタと結婚したい。
独身の兄・ジャガがもうじき戦場から帰還するから、
今のあいだに兄にふさわしい女を見つけておいて、
兄が戻ってきたら兄妹一緒に結婚式を挙げよう。そんなふうに考える。

ミレナが兄の嫁として選んだのは、難民キャンプの中にいた絶世の美女。
さっそく彼女を村へ連れ帰ると、この家での嫁の役目を教え込む。
女は何やらワケありで、追われる身の様子。
けれどミレナにとってはこの美女が兄の嫁になってくれることが大事。
村でおとなしくしていれば、早々バレることはないだろうと高を括る。

コスタはミレナの家へやってきた美女のことが気になって仕方がない。
彼女のほうもコスタとの出会いに運命的なものを感じるのだが……。

コスタに監督本人、ジャガの花嫁になるはずの美女にモニカ・ベルッチ
モニカ・ベルッチは本当に綺麗。
皺がないとかお肌ツルツルとかではなく、ちゃんと老いてゆく、皺もあるからこその美しさ。

神父をはじめとするごく普通の村人が武器をかまえています。
絶えず銃弾が飛び交うなかで傘を差して平然と食事する姿が、
人を喰っているようでもあり、苦笑いしてしまうことしばしば。
これがハリウッドの監督ならばまったく印象が変わるでしょう。
人々の争いを見つめてきたクスリトリッツァ監督の作品は、
いつも可笑しく、滑稽で、切なく、美しく、哀しい。

タイトルの意味がわかるラストシーンには言葉を失いました。
どこの国も、戦いを止めて。

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