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『半世界』

2019年02月24日 | 映画(は行)
『半世界』
監督:阪本順治
出演:稲垣吾郎,長谷川博己,渋川清彦,池脇千鶴,杉田雷麟,信太昌之,菅原あき,
   堀部圭亮,岡本智礼,原田麻由,牧口元美,小野武彦,石橋蓮司他

TOHOシネマズなんば別館へ、土曜日のレイトショーを観に行きました。
昨日じゃなくて、1週間前のこと。

『北のカナリアたち』(2012)も『エルネスト』(2017)も阪本順治監督の作品ですが、
私にとっては『顔』(2000)の「お日さんが西からのぼったら、
うちと一緒になってください」という台詞のインパクトが強すぎて、
同監督のその後の作品をいくら観ても『顔』しか出てこないのです。

オープニングは沖田修一監督の『キツツキと雨』(2011)みたいな感じ。
単に木こりのいそうな風景だからというだけか。(^^;

過疎化の進む地方都市(車のナンバーは三重でした)。
39歳の高村紘(稲垣吾郎)は妻・初乃(池脇千鶴)と息子・明(杉田雷麟)の三人暮らし。
意地で父の仕事だった備長炭づくりを継いだが、生活は決して楽ではない。
中学生の明は学校でいじめに遭っている様子。
しかし紘は家庭のことを初乃に任せっきりで、明はそんな父親と口もきかない。

自衛隊員になった親友・沖山瑛介(長谷川博己)がある日突然帰郷する。
瑛介は妻子と別れ、仕事も辞めてきたという。
今は誰もいない実家を掃除して住むつもりらしく、
紘は地元で中古車店を営むもうひとりの親友・岩井光彦(渋川清彦)を誘うと、
3人で久々に酒を酌み交わす。

酒を呑んでいる間はたまに笑顔を見せるものの、瑛介は明らかに昔と違う。
暗い表情の彼のことを紘も光彦も心配するが、瑛介は何も話そうとしない。

一方、明へのいじめはエスカレート。
紘が自分の息子に対して無関心であることを明は見抜いていた。
それを指摘され、どうしていいのかわからない紘だったが……。

『まんぷく』ですっかりおっちゃんおばちゃんたちの馴染みになった長谷川博己。
いえいえ、その前から大河ドラマですっかり知られているのですよね。
だけど朝の連ドラも大河も観ていない私には、
彼はいつまで経っても一風変わった不思議な役者。
そもそも私が彼を認識したのは『映画 鈴木先生』(2012)と『地獄でなぜ悪い』(2013)ですから。
そのイメージが抜けきれないまま(好きだけど)今まで来ましたが、
本作で印象が変わりました。上手いなぁ。

自衛隊で部下を統率する立場にあった瑛介は、ある出来事にとても責任を感じている。
それを払拭できずに辞職して帰郷した彼の心の傷はいつか癒えるのか。
稲垣くんの映画なのでしょうけれど、印象に残るのは長谷川博己のほう。

住む世界がちがうと感じることってよくあると思うけど、
その世界が大きくても小さくても、みんなそれなりにいろいろある。
大小に関わらず、自分が住む世界以外に住む人のことも考えてみることは必要。

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