『6 PICES OF SILVER』(1956) HORACE SILVER

2007年12月20日 | JAZZ
「すぐほかのがほしくなってくる」

これは植草甚一さんの有名(だと思う)な『モダン ジャズを聴いた六00時間』というエッセイの一文。

ホントにそんなトコあるなぁ、とつくづく思ってます。今もジャズはブルーノートものばっかり猛然と聴いていってる最中。だって面白いんだもん。

中古屋さんに行けば聴きたいアルバムが結構ヤバイくらい、毎回ゴロゴロ補充してあって、選ぶのに楽しくって楽しくって仕方がない。近頃は少しオマケさえしてくれるようになりました(女子はトクです ^^)


今日はそんな中で出会って、大好きな人になったホレス シルヴァ―のアルバム『6 ピーシズ オブ シルヴァ―』でござんす。

ホレスさん、人呼んでファンキー ピアニスト。
ジャズにも"ファンキー"とかってあるんですね。なんにも知らなかったので最初、新鮮に思いました。
あと"ブルース"とか"ソウル"もあって。ジャズってもっと"ジャズ"に特価したものかと思ってたんだけど、実際聴いていくと「こいつはソウル ミュージックだ!」とか「いやぁ…、ブルーズだねぇ…」とかすごい思って。特にブルーノートはそういうのが多くて。そこら辺のが今すこぶる面白いのです。分かりやすいので、楽しみやすいから。そしてジャズの事がとっても好きになる。偉大なレーベルですね。

で、ホレスさん。これは彼のキャリアの中でもまだ初期の方だからファンキーばりばりではなくて、でもやっぱりリズムの付け方とかすごい良かったりして、カッコいい!ノリノリ。ピアノに集中して聴くと時々「天才!」って思ったりするとこもあったりして。

テナー サックスにハンク モブレー、トランペットにドナルド バードを迎い入れてるのが、また何とも個人的に嬉しくなってしまう人選。彼らにしてもキャリアの初期の録音になりますが、若々しく弾けてて、元気ありありなのが良いです。

このアルバムは何と言っても5曲目の「セニョール ブルース」がヒットした事で有名らしいのですが、それ以外の曲がまた素晴らしくって(「セニョール ブルース」の終わり方は痺れます!)。

明るい曲想の1曲目「クール アイズ」とか3曲目「カモフラージュ」、好っきやな~。

2曲目の「シャール」とアルバム中唯一のスタンダード、ラスト7曲目の「フォー ヘヴンズ セイク」はモブレーとバード抜きのピアノトリオで聴かせてくれて、良いアクセントになってて、これまたどっちも大好きなんですが、なんつってもこの2曲目「シャール」。"不安"を曲に表したような、何とも言えない不思議な暗さと美しさを持つ曲で、ファンキー、ファンキーと言われている人の影の面を垣間見る事が出来る喜びというか、なんというか。とにかくこの曲の存在で、このホレス シルヴァ―という人にぐっと興味を抱き、惹かれていき、そしてなんだかとても身近な存在として浮き上がってきたわけなのです。

あと4曲目の静かなるスリルがある「エンチャントメント」も耳にずっと残る曲で、これも好きだなぁ。

そんなこんなで、びっくりするくらい全曲好きなアルバムとなりました。ジャケットにも心惹かれたままですしね。