ヴェルソワ便り

スイスはジュネーヴのはずれヴェルソワ発、みんみん一家のつづる手紙。

驚くべきスイスワインが近所の村にあった! Domaine de La Treille

2011-06-01 07:40:17 | ワイン(M氏より)
意外や意外、すごいワインがうちから車で10分とかからないところにあった。

その造り手とは、サザエさんのお母さんと同じフネ(Founex)という名の小さな村にある、デュトルイ兄弟(Les Freres Dutruy)である(サイトはこちら)。





この造り手はフネ村とコペ(Coppet)村とに畑を持ち、それぞれDomaine de La TreilleとDomaine de La Doyeという名前を付けて、その中の出来の良い葡萄から醸すワインに、この辺りの中心都市ニヨン市のローマ遺跡の円柱を意味するレ・ロメイヌ(Les Romaines)という名を付けている。


そもそもここのワインとの出会いは、コペ村にあるレストランで、店の人に勧められるがままにDomaine de la Treille Pinot Noir "cuvee speciale"を飲んだのがきっかけだった。
香りが華やかで軽やかな感じで、これまで飲んだスイスのピノ・ノワールの中でもなかなかの出来で、アルザス地方のピノ・ノワールを想起させるワインだった。


ジュネーブ州の多くのワインの造り手がカーブを客に開放する日、フネ村はジュネーブ州ではないけれどもジュネーブ州に近いのでもしかしたら開いているかもと思って寄ってみたら、幸運にも大勢の客が試飲しているところだった。


造り手のデュトルイ兄弟のうち、おそらく弟さんからグラスを渡されて、まずは白から試飲。
シャスラcuvee speciale、ピノ・ブラン、ピノ・グリの順で2010年を飲ませて頂いたが、いずれもフルーティでちょっととろっとした感じ。

その後に、赤の(1)ガメイ2010年、(2)ガメイ・レ・ロメイヌ2009、(3)ピノ・ノワール・レ・ロメイヌ2009、(4)ガマレ・レ・ロメイヌ2009と立て続けに飲ませて頂いた。




(1)のガメイ2010年は心地よい苦みがあってフルーティで、ネクターのようだ。

(2)~(4)のレ・ロメイヌにはすべて8ヶ月間の樽熟成を行っていて、ガメイ25%、ピノ・ノワール20%、ガマレ45%の割合で新樽を使っている。
そのせいでこの3つのワインには結構な樽香がするのだが、それがいい具合にワインのアクセントになっている。つまり、葡萄の果実味がしっかりして酒質が厚いので、樽香が鼻につかないのだ。

(3)のピノ・ノワールにはブルゴーニュの珠玉のワインがあるのでそれらとは比べるべくもないが、アルザスのピノ・ノワールであれば相当程度対抗できる。むしろ、それよりも上に行くか。

(2)のガメイについてはボジョレの最高レベルに匹敵するものと思われる。このミネラル感というか旨みは、ボジョレというよりはブルゴーニュのそれだ。

(4)のガマレという葡萄はジュネーブの辺りでしかお目にかかれない種類であるが、このガマレはこれまで自分が飲んだものの中で圧倒的によい。新樽45%と高めの割にはコンテンツが充実しているためバランスが崩れていない。


これまでスイスのワインに対して、住んでいるよしみで贔屓目にトライしてきた感があるが、このワインならそういう必要はない。これであれば世界のどのワイン品評会に出しても恥ずかしくないと本気で思えるのだ。


土曜日の10時から13時までであれば、アポなしで試飲・購入できるようなので、ジュネーブ在住の方は是非一度訪問して試して頂きたいと思う。



以下は余談になるが、試飲の際、偶然隣になった人と次々と出てくるワインについて意見交換した。

彼はこのフネ村に住むワイン愛好家で、ジュネーブ近辺の美味しいワインについて教えてもらったところ、ジュネーブ近辺のヴォー州では次の造り手もいいらしい。

Domaine La Capitaine, M. Reynold Parmelin
このワインは自分も知っているBegnins村で1994年から有機農法を続ける造り手で、coopというスイス最大級スーパーでも置いているところがある(サイトはこちら)。とろとろ感のある白を造る作り手だ。

Domaine le Satyre, Madame Noemie Graff
同じくBegnins村の造り手。ガメイとピノ・ノワールがいいらしい(サイトはないが、関連の記事)。


ちなみに、この3つの造り手が同時に賞を取った際の記事はこちら。彼は試飲の際にそこにあったこの記事を見ながら説明してくれた。


この偶然会ったお兄さん、我々が日本人だと知ると、ジュネーブにある和食レストランでどこが美味しいか聞いてきた。
我々なりの感想を伝えるが、このお兄さんは、この辺りの和食レストランについてきちんとした自分の考えを持っていて、そのコメントは我々を納得させた。
この人物、相当の美味しいもの好きではないかと直感したので、今度はこちらから、この辺りの美味しいレストランはどこかと聞いてみた。
すると、でてくるわ、でてくるわ。

・・・ということで、このお兄さんのお勧めレストラン情報については、これから実際に食べに行ってから報告させていただくこととしたい。(M)

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13 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
これは、おいしそうですね~。 (ムッシュ柴田)
2011-06-03 04:42:29
minmin氏が目をきらきら輝かせて試飲している様が、目に浮かびます。誠実、真摯な造り手、という感じでしょうか。後段の余談も、すごくよかったです。
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ありがとうございます。 (minmin)
2011-06-03 06:07:50
むしろ、有能な若手の醸造家がその才能と最新の技術を駆使してワインを造ったらスイスでもこれくらいのすごいのが出来ますという感じです。
スイスワインの可能性を感じさせてくれるワインです。
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レストラン情報も待ってます♪ (かりんとう)
2011-06-03 15:43:23
「フネ」村に、思いっきり反応させていただきました(笑)。
このローマ遺跡は、以前連れて行っていただいた所ですよね?
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レストラン情報乞うご期待♪ (しろみ)
2011-06-03 15:59:36
ちょっとずつトライしたいと思います。

そうです、ニヨンのあのローマ遺跡です。でもM氏が風邪で体調が悪かったからムッシュが車を出してくださり、連れて行って頂いたのはむしろこちらでした^^。

あの辺は、ミー、タネ、コペ、フネなど、憶えやすい短い地名が多いです。
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フネのワイン (加代子)
2011-06-03 22:50:10
  今日は~!

フネには よく散歩に行ってます。
多分カーブも通り過ぎたかも?
主人が興味を持ったので 今度行ってきます。
うちは白は余り飲まないので
美味しいスイスの赤ワイン、楽しみです。
スイスの白ワインは友人のお土産に最適。

レストラン情報も楽しみにしています。
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感想を聞かせてください。 (minmin)
2011-06-05 04:49:03
この造り手に行かれたら、是非感想をお聞かせ下さい。
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はじめまして (Gianna)
2011-08-11 17:11:18
はじめまして!Giannaと申します。
来月Lausanneを起点として、スイスワインの旅に出ようかと友人と話をしていてこちらのブログにたどり着きました!
車なし、フランス語×で悪戦苦闘しそうですが(苦笑)、事前に色々と情報を入手させていただけてとても嬉しいです!!!
こちらでご紹介されてらっしゃるFounexのDomaine de la Treilleさんへ電車・バスを乗り継いで何とかたどり着けそうな気がしておりますo(^-^)o

今はコルシカ島にご旅行のご様子ですが、また色々と素敵なスイスワインのご紹介、楽しみにしております♪
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追加情報 (minmin)
2011-08-12 05:04:24
コメントありがとうございます。ローザンヌを起点とされるのであれば既にご存知かと思われますが,Lavauxにも是非行ってみてください。Dezaley,Calamin, Epesse辺りはなかなかすごい造り手がいます。景色も素晴らしいです。
http://www.vignerons-lavaux.ch/
更に時間的な余裕があれば,ヴァレー州の方面にも行かれるといいと思います。Martigny、Sion辺りには素晴らしい造り手があります。
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ありがとうございますm(_ _)m (Gianna)
2011-08-12 16:45:14
LavauxはUNESCOにも登録されている町なので回りたい!!と思っておりました!!情報ありがとうございますm(_ _)m

こんなことをお伺いしていいのかどうか・・
もし不適当であればこちらのコメントを削除してくださいませ。
フランス語圏でシャスラーおよびピノノワールのこれぞ!というおすすめの造り手さんで、公共交通機関利用で行けそうなところをご教授いただけたりしますでしょうか?!
一緒にと言うか、今回の旅行のメインのお友達がブルゴーニュワインの大ファンで、スイスのピノと比較してみたいと言っているのと、やはりスイスと言えばシャスラー!そして彼女は未体験なのでこちらも飲んでみたいと言っているのですが・・・
何だか図々しい質問ですみません<(_ _)>
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難しい質問です (minmin)
2011-08-13 17:52:10
シャスラでこれまでに最も感銘を受けたのはラヴォーのepesse村のauberge de vigneronというレストランで飲んだLouis Bovardです。初めて樽を使ったシャスラを飲みましたが、素晴らしかったです。ここの住所はPlace d'Armes 2 1096 Cully tel; 021 799 2125。訪問は事前にアポを取る必要があるようです。
ピノノワールはご存知の通りブルゴーニュ以外の地方では世界のどこでもあまり成功しているとはいえない気難しい品種ですので,私自身、ブルゴーニュに匹敵するようなものをこのスイスで見つけるに至っていません。でも、もしかしたらこのブログでも紹介しているhistoire d'enferのピノはいい線いっているのではないかと思われます。場所はシエールですのでちょっと遠いし,アポが取れるかどうかもやってみないとわかりません。でも、スイスのピノは多くの場合樽を使わないで作りますので,そのピノという葡萄本来の味を楽しむという観点からは、それなりの造り手のものを試すことで、ブルゴーニュファンにもきっと興味深い体験が出来るのではないかと思います。
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