ヴェルソワ便り

スイスはジュネーヴのはずれヴェルソワ発、みんみん一家のつづる手紙。

正統派シラー Alain VogeのCornas

2011-11-01 22:21:03 | ワイン(M氏より)
北ローヌのいくつかの赤ワインを、ワイン好きの仲間たちとブラインドで比べ飲みしてみた。

いつトライしてみてもブラインドは難しいもので,それぞれのワインの特徴を自分なりに表現することはできても、それぞれがどのワインかを当てることは至難の技だ。


それはさておき、最も正統派のシラーだと思ったワインが、コート・ロティでもエルミタージュでもなく、コルナスと知った時はさすがに驚いた。


テースティングの際のコメントを見ながら思い返してみると次の通り。

色は濃い赤紫。まだ若いワインの色。

開けた瞬間から複雑な香り。
黒いフルーツ,甘草、白胡椒などが感じとれる。
それと、内側をあまり強く焦がしていない新樽を使用したらしい木の香りが感じられる。
ミントやハーブのような典型的なシラーの香りが前面に出てくるスタイルではない。

口に含むと、まずは充実したきめ細かなタンニンが素晴らしい。
渋みに加えて、ミネラル感,果実味、スパイス(白と黒の両方か)が感じられるが、うまく言葉で表現しきれない何かが残る。


時間が経って,一緒に飲んだその他のワインが開いていき、その特徴を次第に現して行く中で,このワインもそれなりには変化して行くのだが,むしろ、じっとその本格派の威厳を保ったような風格が感じられた。

自分はてっきり名のある造り手のCote Rotieだと信じて疑わなかった。

しかし、それはAlain Vogeという聞いたこともない造り手の、Cornas Les Vieilles Fontainesというワインで、購入した知人がジュネーブ郊外のフェルネイという仏領のワイン屋のおじさんから勧められたものだった。




そういえば、同じフェルネイのワイン屋で、個人所有のワインが時折売りに出される際に、たまたまJean-Luc Colomboという造り手のCornas Les Ruchets1990年を見つけて飲んだことがあるが、そのコルナスも、繊細かつ複雑な、飲み応えのあるワインだった。コルナスは,きっとものすごく過小評価されているワインなのではないか。




ともあれ、ブラインド・テースティングは,知らず知らずのうちにワイン愛好家の中に出来上がってしまう先入観を正すために、この上なく有効なワインの楽しみ方だと思う。

そして、何より、それは、いつまでも子供のように無邪気にワインに向き合えるための処方箋のようなものかもしれない。(M)

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