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超犀門的日常身辺雑事控

from Musashino
since December 8, 2009

やがて来るその日のために

2021-07-20 | 読書



昨年12月の『本の雑誌』のTwitterで
椎名さんの新刊が紹介された。


タイトル『遺言未満、』。
椎名ファンとしては衝撃的なタイトルだ。
そして、帯の言葉にまさに「ドキッ」とした。

しかし…

裏帯の文章には「クスッ」とさせられる。
いつものユーモアだ。
毎日飲むビールが美味いのなら、まだまだ大丈夫だ!。
そう信じるしかないじゃないですか!。



で、地元の書店に走って購入したのが12月17日。
気になって気になって仕方なかったけど、直ぐには読み始めず。
いや、正直言うと読むのが怖かった。
やがて来る『死』を椎名さんがどう捉えているのか?。
それを知るのが怖くもあった。

椎名さんは1944年生まれ。
6月14日が誕生日だったから、現在77才だ。

2013年7月刊の『ぼくがいま、死について思うこと』でも人の死について考察していた。

2019年6月に一枝さん(奥様)の写真展で直接一枝さんと話す機会があり、「椎名ももう身体はボロボロですから…」などと仰っていたし、その後の数回に渡る講演会で生の椎名さんを拝見した時にも、一緒に浮き球△野球をしていた頃の元気溌溂の椎名さんとは程遠い感じがしてね。
確実に歳を重ねてる訳だから、それは仕方のないことだけど、やはり、こう、気持ちが凹む。

今回の新刊の中では自らの「その時」への対応方法を決めた事を記している。
日本の葬儀費用の高さを嘆き、「できるだけ質素に」「残る遺族に無用な負担をかけない方法」「大仰な葬式などしなくていい」
そして導き出した答が『海に散骨』。
実に椎名さんらしいじゃないか。
しかも、盟友である山下カズさんの暮らす八丈島の海へ、との考えのようだ。
いいねぇ、実にいい。

あー、その時のことを想像しただけでも涙が出そうだよ。

いやいや、そうじゃない、まだまだ椎名さんには美味いビールを飲んでいて欲しいのだよ。
やがて来るその日が、ずっと先でありますように…。

#075/2216 ★★★★★
7/5 読了


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