「お母さん、まだバスが来ないんだけど・・・遅れてるのかな?」
朝、職場に向かう為にバスを待っている長女チェリーから電話が来た。
時計を見るとバスの来る時間を15分ほど過ぎている。
今朝は深夜に降り続いた雪が30センチ近く積もっていたので、きっとバスも遅れているのだろう。
「バス遅れていると思うから、すこし遅くなることを職場の人に電話で伝えなさい」
そう伝えると「わかった」と言ってチェリーは電話を切った。
「こういうことも訓練のひとつなんだよね」
そう思いながら、ちゃんとチェリーが職場に連絡できたか気になっていた。
チェリーは、現在、就労支援を使い社会で働く練習をしている。
家の近くにある所属する作業所には通わず、そこから派遣という形で、毎日バスと地下鉄を乗り継いで家から遠い職場まで通勤している。
訓練とはいえ、仕事に行くということは遅刻をしないよう時間までに職場に着かなければいけない。(これも訓練)
「遅れるときには必ず職場に電話をすること」といつも職員さんから言われているのだが、時間と言うものの理解が難しいチェリーには、どのくらいで遅れそうなのかがよく分からない。
それで不安な時には、まず私に電話をかけてくる。
それが今朝の電話だった。
「いつも来る時間なのにバスが来ない。変だな・・・不安」
多分、チェリーの心の中はこんな感じだったのかもしれない。
その後、チェリーから何の連絡もないので、きっと職員さんに伝えてバスに乗ることができたのだろうと思っている。
それにしても、今日はもっと早いバスに乗せた方がよかったなぁと後悔しながら、ふと昨日の長男パインとの電話を思い出していた。
カナダへ行って2週間ほど経ったパインだが、1週間目の電話の時よりずいぶん明るさが戻ってきたようで、パイン自身も「すこし慣れてきた」と笑顔も出ていた。
ただ、パインによると「こちらの人たちの時間のルーズさには驚く」のだとか。
毎朝、学校へ行くためにバスに乗っているのだが、時間通りに動くことは少ないそうだ。
「昨日はバスが動いたなと思ったら、急に停まったんだ。どうしたのかと思って外を見たら、たまたま道を通りがかった人がバスの運転手と知り合いだったらしく、運転席の窓から顔を出した運転手が、その知り合いと世間話を始めてしまったんだよ。
それで彼らの話が終るまで、ずっとバスは動かなかったんだ。信じられないよ」
へぇ、そんなこと日本では考えられないね~
「じゃあ、学校は間に合った?遅刻しなかった?」
そう聞くと「そもそも、学校も時間どおりに来る学生が少ないんだ。時間通りの来るのは日本人くらいで他の国の学生は、いつも30分くらい遅れてくる。それもあっけらかんとして、グッドモーニングとか言いながら堂々と教室に入ってくる。
先生もそれが分かっているから、すぐには授業を始めないし、別に怒ることもなく当たり前だという顔をしている」
バスや電車はよほどのことがない限り時間通りに来て、学校はいつも時間通りに始まる国から行ったパインには、それがややストレスになっているそうだ。
たしかにいつ動くか分からないバスを待つのはストレスだし、チェリーみたいな子なら不安で一杯になってしまうかもしれない。
「やっぱり外国には住めないや」と最後にパインが言った。
こんなに雪が積もった朝であっても通勤時間に遅れないように、朝早くから雪に埋もれた車をゼイゼイと息を切らしながら掘り出している近所の方々を見ると、日本人はなんて真面目なのかと思う。
そして、やっぱり外国には住めないと私も思った。
朝、職場に向かう為にバスを待っている長女チェリーから電話が来た。
時計を見るとバスの来る時間を15分ほど過ぎている。
今朝は深夜に降り続いた雪が30センチ近く積もっていたので、きっとバスも遅れているのだろう。
「バス遅れていると思うから、すこし遅くなることを職場の人に電話で伝えなさい」
そう伝えると「わかった」と言ってチェリーは電話を切った。
「こういうことも訓練のひとつなんだよね」
そう思いながら、ちゃんとチェリーが職場に連絡できたか気になっていた。
チェリーは、現在、就労支援を使い社会で働く練習をしている。
家の近くにある所属する作業所には通わず、そこから派遣という形で、毎日バスと地下鉄を乗り継いで家から遠い職場まで通勤している。
訓練とはいえ、仕事に行くということは遅刻をしないよう時間までに職場に着かなければいけない。(これも訓練)
「遅れるときには必ず職場に電話をすること」といつも職員さんから言われているのだが、時間と言うものの理解が難しいチェリーには、どのくらいで遅れそうなのかがよく分からない。
それで不安な時には、まず私に電話をかけてくる。
それが今朝の電話だった。
「いつも来る時間なのにバスが来ない。変だな・・・不安」
多分、チェリーの心の中はこんな感じだったのかもしれない。
その後、チェリーから何の連絡もないので、きっと職員さんに伝えてバスに乗ることができたのだろうと思っている。
それにしても、今日はもっと早いバスに乗せた方がよかったなぁと後悔しながら、ふと昨日の長男パインとの電話を思い出していた。
カナダへ行って2週間ほど経ったパインだが、1週間目の電話の時よりずいぶん明るさが戻ってきたようで、パイン自身も「すこし慣れてきた」と笑顔も出ていた。
ただ、パインによると「こちらの人たちの時間のルーズさには驚く」のだとか。
毎朝、学校へ行くためにバスに乗っているのだが、時間通りに動くことは少ないそうだ。
「昨日はバスが動いたなと思ったら、急に停まったんだ。どうしたのかと思って外を見たら、たまたま道を通りがかった人がバスの運転手と知り合いだったらしく、運転席の窓から顔を出した運転手が、その知り合いと世間話を始めてしまったんだよ。
それで彼らの話が終るまで、ずっとバスは動かなかったんだ。信じられないよ」
へぇ、そんなこと日本では考えられないね~
「じゃあ、学校は間に合った?遅刻しなかった?」
そう聞くと「そもそも、学校も時間どおりに来る学生が少ないんだ。時間通りの来るのは日本人くらいで他の国の学生は、いつも30分くらい遅れてくる。それもあっけらかんとして、グッドモーニングとか言いながら堂々と教室に入ってくる。
先生もそれが分かっているから、すぐには授業を始めないし、別に怒ることもなく当たり前だという顔をしている」
バスや電車はよほどのことがない限り時間通りに来て、学校はいつも時間通りに始まる国から行ったパインには、それがややストレスになっているそうだ。
たしかにいつ動くか分からないバスを待つのはストレスだし、チェリーみたいな子なら不安で一杯になってしまうかもしれない。
「やっぱり外国には住めないや」と最後にパインが言った。
こんなに雪が積もった朝であっても通勤時間に遅れないように、朝早くから雪に埋もれた車をゼイゼイと息を切らしながら掘り出している近所の方々を見ると、日本人はなんて真面目なのかと思う。
そして、やっぱり外国には住めないと私も思った。