次女が初めての海外出張から帰ってきた。
家へ帰ってくるたびに「きつい、もう仕事を辞める」と言い、新たな仕事を探していた次女が、今も辞めずに公務員を続けている。
前に次女から聞いた時には「もう辞めなさい」と言ってしまったほどの仕事の忙しさで、次女曰く「過労死寸前の時間外労働」だったらしいが、最近なぜか「辞める」という言葉を聞かなくなった。
仕事に慣れてきたせいもあるのかもしれないが、次女を見ていると、楽しそうにも見える。
相変わらず時間外労働は多そうだけど、次女から仕事に対する不満や愚痴が聞かれなくなった。
今回は他国を訪問する、とある地位のある人物について行き、向こうで交流のお膳立てをする仕事だったらしい。
とても気を使う大変な仕事で、自分なら無理だわと思うのだが、次女は苦にならないようだ。
「時間があったら、少し観光とかできないの?」と聞いたら、「できるわけないでしょ。税金で出張しているんだから遊んでたらダメでしょ。お土産を買う時間が少し取れるくらいで、あとは全部仕事」
つくづく次女は公務員という職種が好きなんだなぁと思う。
次女は、学生時代からずっと公務員希望だった。
周りから「民間会社の方が待遇が良いのに」と言われても、公務員志望を変えなかった。
「国のために働きたいから公務員になる」と次女の口から聞いた時には、感心するよりも「若いのになんという時代錯誤なことをいう娘だろう」と思ったものだった。
公務員になることが、国を守ることになるのかどうかは置いておいても、そう思う若い人は、案外この国には多いのかもしれない。
そうであってほしいという私の希望的観測かもしれないが。
でも、もしもまた次女が辞めたいと思う時が来たとしたら、やはり引き止めることはしない。次女の人生なのだから、好きなように生きていけば良いと思う。
出張から帰ってきた日の夜、休日もまったく休んでいないのに、翌日から仕事に行くという次女が、すきま時間に買ったお土産を小袋に分けていた。職場の方々に渡すのだとか。
鼻歌交じりに楽しそうにお土産を分けている次女のうしろ姿を見たら、なんだか嬉しくなった。
どんな仕事でも嬉しそうに働きに行く子どもの姿を見ることが、こんなにも嬉しいことだったとは知らなかったなぁ。