道立近代美術館で「歌川国芳展」が開かれているので行ってきた。
すでに4月25日から開催されていて、平日だったというのに、すごい人で人気の高さがうかがえた。
歌川国芳といえば、真っ先に思い浮かべたのが、こちらの絵。いったい何人の人がいるんだろうと思っていたが、15人だそうだ。
これ以外にも知ってる作品が、数多く展示されていたが、中でも目が釘づけになった作品がこちら↓
「宮本武蔵の鯨退治」
躍動感のある鯨から目が離せなくなってしまった。
イマーシブアートというそうだが、絵を動かして、まるで映画のように観ることができる展示でも、この鯨さんが海の中をダイナミックに泳いでいた。
下の写真、一瞬ヨーロッパの童話の挿絵かと思った色鮮やかな浮世絵も生き生きと動いていました。
武者絵、妖怪、幽霊、動物など様々な題材で描かれている作品は、どれもとても面白かった。
それにしても、これらは今から200年前に描かれた作品だそうで、わずか200年の間に、日本も日本人の身なりや暮らしもずいぶんと変わったものだなぁ、、と浮世絵を観ながら思っていた。
まず着物を着なくなった。
着物は苦しい、簡単に洗濯ができないというイメージがあって、どうも敬遠してしまう。
さらに不器用な私は、和服に似合う髪型が自分で作れない!
でも今から50年くらい前でも、街中で見かける人は今よりずっと着物の人が多かったなぁと思う。
今でもサザエさんのお母さんのフネさんは着物だけど、私の二人の祖母たちもいつも着物だった。
当たり前のように自分で長い髪を結い上げて、自分で着物を着て、家事をする時は、着物の上にもんぺを履いて、着物が汚れたら、着物をほどいて洗い張りをするという、気が遠くなりそうなことをしていた。
便利さや効率化を求めていけば、着物より洋服の方が良いということになっていったのは当然の事だろう。
また娯楽だって色々な娯楽に溢れている今と違って、江戸時代は歌川国芳さんらが描く浮世絵を見たり、囲碁をやったり、たまに歌舞伎や相撲、浄瑠璃などを観て楽しんだりするくらいだったのかもしれない。
人間も社会も時代と共に変化して進化している。
国が優しい言葉で勧めてくるものを、いちいち疑わなければいけなくなってしまった現代は悲しいが、江戸時代も幕府の一存で色々と理不尽なことがあり、大きな地震や富士山の噴火、凶作によるお米の高騰で打ちこわしなど、さまざまな困難があった。
それでも庶民はたくましく生き抜いて、それが現代に繋がっていると思うと、わたしたちも頑張らないとなぁと思う。
200年後は、今よりもっと素晴らしく生きやすい日本になっていることを願って帰ってきた。