RuN RiOt -marukoのお菓子な美術室-

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平等院鳳凰堂 平成修理完成記念 天上の舞 飛天の美 (その1)

2013-12-13 21:30:00 | 美術
見てきました

サントリー美術館

会期は2013年11月23日から2014年1月13日。

空を飛び、舞い踊る天人"飛天"
インドで誕生して以来、優美で華麗な姿で人々を魅了し続けてきました。
今回は、地域・時代を超えて思い描かれた飛天の姿を、彫刻・絵画・工芸などで見ていく展示です。
中でも、京都・平等院鳳凰堂の修理落慶に先立ち、堂内の国宝「雲中供養菩薩像」を特別に公開。
さらに、国宝「阿弥陀如来坐像光背飛天」を寺外初公開。
間近で鑑賞できる貴重な機会。
ぜひ行かねばと仕事後行ってきました。
2回に分けて書いていきます。

《第1章 飛天の古典 ― インドから日本 ―》
"飛天"とは本来天人のこと。
仏教の教える六道という煩悩世界の最上界である天道に属する存在。
仏の世界では飛翔しながら散華し、楽器を奏し、香を焚くなどして仏である如来を讚嘆しています。
そのため仏のあるところに描かれます。
シルクロードを軸とした大陸規模の展開で、ガンダーラではヘレニズムの影響を受け、中国では当時の文化と融合しました。
日本には飛鳥時代に仏教が伝来したときから、仏教空間を飾るものとして表現されています。
ここでは、ガンダーラや中国、朝鮮など様々な地域、時代の飛天の姿が展示されています。

【インド・西域】
「舎利容器(複製)」
新疆クチャで出土したものの複製です。
ヘレニズム・ローマ文化など西の影響が見えるそう。
お櫃のようなかたちをしています。
蓋には4人の天使が描かれていて、肌の黒い天使は琵琶を持ち、肌の白い天使は横笛と箜篌(くご)と呼ばれる管楽器を持っています。
オリエンタルな香りがぷんぷんです。

「仏伝浮彫「梵天勧請」」
説法を躊躇した釈迦に対し、神々が説くことを懇願した場面が彫られています。
釈迦はりりしいというか険しい顔つきです。
飛天は上部の左右に配置されていますが、壊れてしまっているのが残念。

「仏伝浮彫「マーラの誘惑・降魔成道・初転法輪」」
厚みが3cmほどの石に彫られているのですが、かなり彫りが深く立体的。
仏伝の場面です。
上段から、マーラの誘惑→降魔成道→初転法輪となっています。
マーラとは煩悩の化身の悪魔。
釈迦は誘惑に屈せず、マーラを下し(降魔)、悟りを開きます。
そして釈迦が初めて法輪を人々に説く場面が初転法輪。
飛天は両足を跳ね上げて空を舞っています。

「仏伝浮彫「出家決意・出城」」
こちらも浮彫。
釈迦が馬に乗り、出家するところです。
ちょうど城の門を出る場面。
2人の飛天が空を舞っていますが、1人はターバンを巻いています。
ヘレニズム文化の影響では、とのこと。
これが発見されたのはガンダーラ。
こういったことも興味深く、おもしろいです。

「仏菩薩像浮彫」
穏やかな表情の菩薩。
飛天の1人は天衣を持ち上げそこに花を入れています。
もう1人の飛天はそこから花をとっています。
全体的に優しい印象です。

【中国・朝鮮】
「飛天伽鳥八花鏡」
花弁型の八花鏡です。
植物文に2人の飛天と雲。
飛天と雲はセットのように扱われていたそう。
優美な景色です。

「月兎文鏡」
こちらは丸い鏡。
仙女とヒキガエルが右側に、左側には不老長寿の仙薬をつくウサギ。
古代中国の話を題材としているそうです。
かわいらしい。

「菩薩五尊像」
中尊を中心に二菩薩と二比兵を脇侍としています。
飛天の蹴り上げる足とたなびく天衣が樹木の葉のようです。
装飾的。

「梵鐘」
琵琶を持ち舞う飛天と、横笛を吹く飛天が施されています。
おたふくのようなふっくらとした顔です。
和鐘ですが、朝鮮のもののような趣が見えるそう。

【日本】
「飛天図(法隆寺金堂内陣旧壁画 14号壁)模写」
1949年の火災を逃れた金堂の飛天図の模写だそう。
2人の飛天が天衣をたなびかせ飛んでいます。
飛天の表情や、天衣もやわらか。
優美な雰囲気です。

「飛天(法隆寺金堂天蓋付属)」
蓮華座に座ったまま飛ぶ飛天です。
珍しい。
目を閉じ瞑想しているようですが、どことなく愛嬌があり可愛らしいです。

「当麻曼荼羅厨子軒先板 復原模造」
すっごく美しい。
復元ですが、実物見たい。
真っ黒な漆塗りの板に花模様と飛天と雲が金で描かれています。
装飾的で、とても美しい世界です。

「東塔水煙 模造」
こちらも模造品。
仏塔最上層につけられる装飾です。
普通は火焔の模様だそうですが、これは透彫りで飛天とその天衣、そして飛雲で模様が出来ています。
炎のように広がりたなびく天衣が美しい。
今までこうした違いを知りませんでした。
水煙の最上部は蓮華の蕾になっていて、その下は花かご。
舎利の上で、散華し、讃嘆供養するものとなっているそうで流麗です。

《第2章 天上の光景 ― 浄土図と荘厳具類 ―》
飛天の住む浄土世界。
ここは菩薩や飛天のほかに、迦陵頻伽(かりょうびんが)や共命鳥(ぐみょうちょう)などが舞い、樹木や大地には金、銀、瑠璃などが輝いているそうです、
それらの光景を表したのが浄土図。
ここではそのような浄土図とその世界を立体表現にした荘厳装飾などが展示されていました。

「浄土阿弥陀経」
極楽浄土の光景を説き、念仏をすすめるもの。
数々の宝石でできた樹木、建物や池は黄金の大地に。
鳥は仏の教えを説明かす声で鳴くそうです。
そんな世界見てみたいけど、目がチカチカしそうだなって思っちゃう私は悟りを開くことはないのでしょう。。。

「仏説観無量寿経」
美しい、と思わず言ってしまいそう。
紙の色が美しい。
上下には蝶や鳥の文様があしらわれています。
古代インド、マガタ国王妃の願いで釈迦や極楽や阿弥陀仏を思い念じる方法を描いたものだそうです。

「紺紙金字一切経 大般若波羅蜜多経 巻第十四」
紺色の紙に金字で描かれたとても美しい経典。
国宝です。
舞台上で舞う2人の菩薩が描かれています。
宝樹や楼閣が背景に描かれ、池には橋が架かっています。
極楽がこんなにも美しい世界ならやはり人々が憧れるのは当然なのかもしれません。

「牛皮華鬘」
こちらも国宝。
牛皮を切り、透かして彩色を施したもの。
赤い色がかなり残っていて色鮮やか。
こういったものは浄土空間の再現演出にかかせなかったそうです。

「金銅宝相華唐草文幡頭」
こちらも国宝。
銅製透彫りの幡です。
唐草紋に囲まれた、花籠を持つ飛天が施され優美な雰囲気です。

「金銅迦陵頻伽文華鬘」
さて、こちらも国宝。
扇の形をしたものの左右に迦陵頻伽が施されています。
迦陵頻伽は上半身が人で、下半身が鳥。
見た目はちょっと不気味かな。

「共命鳥」
共命鳥(ぐみょうちょう)とは、極楽浄土に棲む鳥。
頭は二つ、体は一つで美しい声で鳴く鳥です。
これは小さな像ですが、頭も体も二つがくっついた童子の姿で表現されています。

「阿弥陀三尊像」
阿弥陀如来、観音菩薩、勢至菩薩の三尊像。
阿弥陀如来の光背は飛天。
今までこういった像は何度も見ていますが、光背までは見ていなかったかもしれない。。
植物文だったり飛天がいたりとまったく気付いていませんでした。。。

「文殊菩薩像光背(文殊菩薩騎獅像及び侍者立像のうち)」
旧興福寺勧学院の本尊の光背です。
横笛と笙を吹く迦陵頻伽が左右に配されています。
色彩も美しいです。

「その1」は2章まで。
この先は今展示のメインともいえる素晴らしく美しい世界が広がっていました。
「その2」は明日書いていきます。



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