MELANCOLICO∠メランコリコ!

ゆめと心理と占いのはなし
Por donde, amor, he de ir?
 Rosalia de Castro

○○美代子とサイコパス

2012-11-10 12:34:08 | 日記
この事件の報道を聴くにつけ、ジョディ・フォスターとアンソニー・パーキンスが主演した映画『羊たちの沈黙』や赤城山中で永田洋子が主導した『連合赤軍事件』が蘇ってくる。冷酷さと残忍さ、そしてそれを平然と自分の中で合理化できる心理構造。サイコパスだけがなしえる犯罪だ。サイコパスには神経伝達物質に異常があるといわれるが、それは先天的なものなのか後天的なものかのか、治療可能なのか不可能なのかはよくわかっていない。また本来、多くの場合はこうした大量殺人にいたるまでに何らかの刑事罰で刑務所に収監され、社会から切り離されているというが、今回は多くの犠牲者が出るまで表に出てこなかった。

自分の住む家のベランダに親族や知人を監禁して死に至らしめ、その間、自分は楽しく生活できていたというのが信じられない。美代子容疑者の共犯者たちは一様に「美代子が怖かった」「命令通りにやらないと自分がやられる」と言っているようだが、彼女が見事に仲間を洗脳していた状況が浮かび上がってくる。おかしいと思う人はいなかったのだろうか。中には男性もいたわけで、その気になれば不意打ちをくらわせて美代子容疑者を腕力で殺すことだってできただろう。そこまでしなくても警察に飛び込んで「あの家で人が殺されている」「保護してくれ」と自首すれば、如何にやる気のない警察も動いてくれたのではないか。

ただ洗脳過程で共犯関係がしっかりと築かれていき、自分も犯罪者だ、殺人者だという意識が強く働いていたことも想像でき、美代子容疑者の実に緻密な計算も窺える。そして洗脳ではムチもあればアメもあって、言われるようにしていれば、それなりにいい思いもできたのかもしれない。洗脳過程に必ずあるファクターだ。それに共犯者たちはやはり社会的に冷酷な差別を受けていて、美代子容疑者のもとではその不快感から逃れられていたのかもしれない。

この事件が発覚したのは、人の年金を勝手に引きだしたという別件で逮捕された、美代子容疑者の‘仲間’たちの自供から始まった。彼らは逮捕されたことで逆に「恐怖」から逃れられ、やっと洗脳の呪縛が解かれて徐々に事件の状況を話し始めている。スポニチの記事では「捜査関係者によると、美代子容疑者は、同居していた次男の妻瑠衣容疑者(27)を裸にさせたり、内縁の夫鄭頼太郎容疑者(62)の目に洗剤をかけたりする暴行も加えていた。瑠衣容疑者の姉の夫仲島康司容疑者(43)も暴行対象だった」とある。

美代子容疑者は子どもの頃、いわゆるスケバンだったという。いつも男の子をひきつれて周囲を威嚇していたという。そしてそうした生き方が64歳になる現在まで続いていた。出会いがあり子どもも生まれているなら、何か変わるきっかけはなかったのだろうかというのが率直な感想だ。この事件は麻原のオウム事件に匹敵する反社会的犯罪として事件の解明が望まれる。共同生活をしていた人たちが孤立していった経緯。美代子容疑者の洗脳の手法。殺人が日常化するにいたったきっかけ。共犯者たちが美代子容疑者に抱いていた恐怖とはなんだったのか。いろいろなシーンを想像し、もし自分の身に起こったらと思うと動悸が激しくなる。たぶん犠牲者は1ケタでは済まないだろう。サイコパスへの治療や刑事罰適用などのこともしっかりと議論してほしい。

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