生徒を殴る教師、布団に火をつける介護福祉士

学校の問題なのか、はたまたスポーツ界の問題なのか。大阪市立桜宮高校のバスケットボール部顧問の暴力は、その中身を知れば知るほど陰湿さが増す。教師が思わず手が出るというのであれば一発しか考えられないし、１万歩譲って、それが愛ある指導の体罰だったとしても複数発は考えられない。もちろん一発だって弱い立場の人間を暴力で支配しようという考えはどこかが間違っている。桜宮では40発とか50発も珍しくなかったというのを聞くと、そのときの顧問の顔を想像してぞっとした。こういう人物が成長して教師になって47歳まできているというのは、日本の社会が暴力や体罰に寛容である証拠だ。きっと教師になる前も誰かを暴力で支配してきたのだろうし、教師になってからもずっと暴力をふるってきたのだろうから。日本は、教師の採用方法を考え直す時期に来ているのではないだろうか。

広島の介護施設で85歳の入所者の布団に火をつけて殺してしまった21歳の女性の事件も痛ましい。ニュースでは警察官採用試験に落ちたので介護福祉士になったとあるけど、こうした官とか士の職業に強くこだわる若者にはときどきだけど何かコミュニケーションの障害があるような感じがしてならない。つまり倒産がなく、仕事の内容はともかくすぐに社会的役割が与えられたと思えることに魅力を感じるのは、基本的に頑張れる人だけど、基本的に社会とのかかわりを恐れている人で、他者に心を開けない人たちのような気がする。彼女は火を付けたときどんな顔をしていたのだろうか。85歳の女性の寝顔をきちんと見ながらやったのだろうか。仕事ぶりはまじめだったというから燃え尽きなのかもしれないけど、それにしては早すぎる。職場の人たちは日頃接していてこの介護福祉士の精神面の危うさを察知できなかったのだろうか。きっと兆候はなにかあったはずだ。ぼくは、介護の現場にはもっと「心理」がわかる人が必要な気がしているけど、それはぼくの勝手な思い違いだろうか。