ときどき出会う顔にコンクリートの壁のような顔がある。ボールをぶつけても絶対「イタっ!」て言わないような顔だ。アル中に「それ止めたら」って言ったときに、彼らが見せる顔や、政治の世界でも、凝り固まったイデオロギーの政党の人に、「それ違うでしょ」って言ったときに見せる顔だ。本当に一瞬にして顔が壁のようにコチコチとなる。
それって自分が思っていることが正しいという信念からくるのだろうか。疑問を察知されることへの危機感からくるものだろうか。
最近、こうした現象を目にすることが増えて、ひょっとすると、こうした言葉の反応を分析することでその人の内面が見通せるような気がしてきた。否定的な言葉を投げつけることで、その人が内部に抱える病んだ部分が露呈してくる。たぶん、壁のように固まってしまう瞬間って、その人の意識と無意識の衝突の瞬間、または無意識世界が突如意識世界に侵入、表出してきて意識の流れが阻害される瞬間なのかもしれない。自由連想で自分にとってとても都合が悪い言葉を聞いたときの反応ってこれに近いような気がする。魔王のような無意識が暗闇から立ちあがってくる瞬間だ。
ただ、本人はそのときをどんなふうに意識しているのだろうか。自分の場合、どんな言葉で壁のような顔になっちゃっているんだろうか。