知人の住む8階建ての公営住宅を訪ねた。すでに10年ほど住んでいるというけど、この2年ほど隣人の騒音に悩まされているという。病院でシフト勤務しているので昼間に家で眠っていることがよくあるわけだけど、その昼間にガーガーと旋盤を操作するような音が壁を隔てて聴こえてくるようになった。初めは転居者が出たので内装の補修工事をしているんだと思っていたけど、昼間に在宅しているとかなりな確率でその騒音が壁を隔てて聴こえてくるので、これは補修工事の音じゃないって気付き始めた。
音の種類は10種類近くあるという。金属を切ったり穴をあけたりする大きな音が断続的にあって、その間にポンポン、カンカンと何かを叩く音がするといったパターンで、明らかに何かを工作しているといった感じだ。酷いときは日中ずっと続き、12時から1時にかけてはきっちりと静寂に包まれたりして、まるで工場の隣に住んでいる気分になってきたという。
忍耐の尾がキレて、管理事務所に電話したら、次の日に「巡回している者です」っていう人が訪ねてきて、「以前にも酷い人がいて、退去した後に部屋に入ったら全く原状とは違っていて驚いたことがある」っていった話しをしていったという。基本的に、管理事務所としては、住人が騒音に困っているという以上に、入居者に内装を勝手に変えられることを恐れているみたいだったらしいけど、でも、これで管理事務所が問題意識を持って対処してくれたら結果オーライなので、連絡してよかったと知人は言った。
その巡回の人によれば、お隣の入居者は女性と子供だという。でも、知人はあれだけ大きな音をたてる工作機械を操作できる女性はそんなに多くないだろうし、週末にときどき子供の声が聞こえるので、女性が名義人となって住宅を借り、恋人か配偶者の男性がどこかからか“通勤”してきて作業しているのだと推理している。表札にはN○Kのシールが貼ってあって「善良な市民」の家庭を装っているけど、パソコンのプリンターで印字した苗字二文字のごつい明朝体を見れば、ここが女性と子供だけの家族ではないことが明白だ。知人が巡回の人に他から苦情がでていないかと訊いたら、まだそれはないという。実際、騒音は最大でも平日の9時ごろから18時ごろまでしかたてないし、上下左右の家庭が普通にどこかで9時から5時まで働いていたり学校に行っていたら、この騒音問題は発覚しないわけだ。
知人は、「ほんと、知能犯だよ」って言っているけど、少し好奇心に駆られている様子も感じられた。都市伝説というかミステリー小説になりそうな展開もありうる。
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