もう20年以上前だった。知人の老スペイン人と久しぶりに会って話しをしてたら、彼がある話題に食いついてきた。それはぼくが何回かキューバを旅していたという話だった。彼も革命前のキューバを旅し、数年そこで働いたという。
彼がいた街はSantiago de Cuba。当時はスペインもフランコ独裁政権下でキューバもバチスタ独裁政権下だった。けっこう行き来は楽だったみたいだ。どんな仕事か訊いたら、「電化製品を卸す会社をキューバ人と一緒に経営していた」という。でも1959年の革命のどさくさで会社の資産は没収となり、彼も帰国せざるを得なかった。
彼はその後、スペイン語講師として来日した。どういう経緯で日本での仕事を得たのかは話したがらなかったけど、80年代には日本にいたようだ。すでに彼の「キューバ時代」は遠い過去の記憶だったようだけど、ぼくのキューバ旅の話でかつての共同経営者だったキューバ人の友人が恋しくなって、後日、「次に旅するときは彼を探してくれないか。自分はもう今のキューバをあてどなく旅するには年を取りすぎている」と言ってきた。
何回か電話があって、彼から友人宛ての手紙と「捜索」の手がかりになりそうな情報が封書で送られてきた。そして数か月後、ぼくは本気で彼の友人を探すつもりでキューバに旅だった。
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