生産性低下

「生産性の低下はうつの始まりだよ」って、うつからの回復期にある友人に言われてしまった。彼の経験と学習によると、中高年男性のうつは睡眠の質の低下と日常の生産性低下から始まるとのことだ。ぼくのこれまでの学習からもそれは少なからず当たっているとうなずける。

最近、仕事はともかく、日常の急ぎでない、だれからもせっつかれないようなことに関して処理がとてつもなく遅くなっていることに気づいた。普通の知人友人に言うと、「歳のせい」とかで笑って終わっていくんだけど、うつ経験者はそんなことでは終わらせない。さすがに苦しんできただけのことはあると感心した。人間関係がうまいこといかなくてクルマ運転中にもそれが頭をよぎったり、人の悪気はなくても小さな棘のある言葉に傷ついたり、古傷再発や体調不良で走ることが怖くなったり、仕事以外で頑張ることがばからしくなったりしているうちに、人は何かを失って、弱った気持ちが悪魔にのっとられる。

ただ、まだジムで汗かけるし、移動の間に集中して本も読めるし、食欲もある。日常の生産性低下と、寝つきと睡眠の深さが最悪になっていることは認めるけど、友人のあとを追ってうつになるにはまだまだ時間がかかるはずだ。楽観的すぎるだろうか。うつは長い序章のあとに急坂を転げ落ちるように重症化するというのが怖いけど・・・。

人間、ついてないことが続くと凹んでしまってそのまま以前の元気な自分には戻れないような悲観的な気分にとりつかれてしまうときがある。そんなときは何か新しいことを始めて、新しい人と出会うことが大事なような気がする。うつの只中の人はあまり思い切った決断をすべきでないけど、抑うつ気分が強いって程度のときは、逆に思い切った行動にでるのがいいような気がしないでもない。

友人の46歳の女性がアルトサックスを吹き始めた。高校で吹奏楽部だった人なので経験者だけど、一気に10万円はたいてサックスを買って、また母校のグループで活動するという。ここ2，3年、彼女はぼくのかってな診断で「軽度うつ」だった人だから、これからの彼女の変わりようが気になる。