スマホが目のやり場。

スマホばかりいじっているオンナと別れたという友人がいる。ゲーム依存になったわけでもないし、そんなにたくさんメールやメッセが入るわけでもないんだけど、いつもLINEを開いているという。別に浮気相手がいるようでもないのだけど、彼女は機嫌が悪くなるとスマホにいつも逃げる。

こっちが話していると、いつの間にかスマホに手が行く。そして電源を入れて、新しいメッセもないLINEをじっと見つめて、あたかも新着があるみたいにグループの過去コメを読んでいたりしていることが多かったという。ある日、デートの別れ際、電車から先に降りる自分が右手でハイタッチをしようとしたら、彼女は目を上げないままスマホの隅っこをその手にちょこんと当てて、「じゃ」と言ったらしい。その日以来、彼から連絡をとることはなくなったという。

まあ、早い話し、彼は嫌われたってことなんだろうけど、この話しを聞いたとき、中学生のネグレクトを連想した。たぶん、その彼女は中学や高校のときに、そんな感じで「イジメ」をしてきた子なんだと思った。ネグレクトはある意味で積極的なイジメではないけど、人の気持ちをズタズタにする威力がある。とくに、ある時まで仲がよかった相手に対して急にこうした態度をとることは、強烈な破壊力がある。ただ、ネグレクトはときに自分を守る手段としても使えて、イジメだとしても、その責任を問われたときにある程度言い訳が立つ手法だともいえる。

たぶん、彼女は発達段階のある時期に自分を守る必要があって、ネグレクトという手法を学んできたのかもしれない。女子の場合、父親との家庭内での確執が疑われることが多い。確認のしようがないけど、彼が言うには、「ぼくが自分の両親のことを話しても、彼女が父親について話すことはなかった」という。

スマホのモニタは無限の宇宙のようなインターネットの世界につながっているわけだけど、そこが簡易シェルターのように機能している場合があるようなきがしているのはぼくだけか。