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「一生転々とするのか」

2012-01-25 21:04:49 | 編集手帳



  1月23日付 読売新聞編集手帳


  近所の酒店でアルバイトをしている若い女性が茶髪から黒髪に変わった。
  わけを聞くと「シューカツです」。
  大学3年生向けの会社説明会が先月に解禁されたので、
  就職活動を本格的に始めたという。

  先輩の4年生も3割の人がまだ内定をもらっていない超氷河期だ。
  励まそうとしたが、
  「がんばって」くらいしか浮かばない。
  進路に悩む若者にかける言葉は、
  難しいものだと痛感した。

  俳優の小日向文世さんが、
  昨年6月の本紙インタビューで、
  高校3年の夏に担任の先生から受けた進路指導を振り返っていた。
  〈僕の顔をじっと見て、
   「お前は将来職を転々とするか、
    夢中になったことを一生の仕事にしていくか、
    二つに一つだな」
   とおっしゃった〉

  油絵とマージャンに夢中だった自称“劣等生”は卒業後、
  デザインと写真の学校に2年ずつ通った後、
  23歳で劇団へ。
  その劇団もやめようと悩んでいた時、
  先生の言葉がよみがえったという。
  「一生転々とするのか」
  と。

  先生のひと言が、
  〈俳優としての今を作ってくれた〉
  と感謝していた。
  耳に痛くとも親身な言葉は、
  しかと胸に刻まれ、
  人生を拓(ひら)く力になる。

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