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亀戸天神の神事 「鷽(うそ)替え」

2012-01-26 14:19:56 | 編集手帳



  1月24日付 読売新聞編集手帳


  何年か前に本紙『こどもの詩』で読み、
  切り抜いた一編がある。
  作者は小学3年生、
  題名を「交かん」という。
  〈人間ってね
   イヤなことが
   いっぱいたまると
   幸運と交かんできるんだよ〉

  遠い昔、
  同じような発想をした人がどこかにいたのかも知れない。
  きょうとあす、
  東京の亀戸天神社で催される初春恒例の「鷽(うそ)替え」は、
  1年のイヤなことを幸運と交換する神事である。

  鷽はアトリ科の鳥である。
  昨年授かった木彫りの鷽を新しい鷽と交換することで、
  1年の悪い出来事がすべて嘘(うそ)になり、
  吉に転じるよう祈願する。

  「うそ」という名の由来には諸説ある。
  足を交互に上げながら鳴く姿を琴の演奏に見立て、
  空で琴を弾くから「そらごと」(=嘘)説はよくできているが、
  誰か頭のいい人の創作だろう。
  口笛に似た鳴き声から、
  口笛の異称「うそ」(嘯)にちなんでの命名とする説が有力らしい。

  “嘯”という字から連想する言葉がある。
  つなみは漢字で「津波」だが、
  「海嘯」とも書く。
  〈鷽替ふるならば徹頭徹尾替ふ〉(後藤比奈夫)。
  招福を祈願して、
  「徹頭徹尾」の一語がこれほど切実な年もない。

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