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壁、壁、壁・・・

2016-04-28 07:15:00 | 報道/ニュース

4月10日 サンデーモーニング


紀元前3世紀に秦の始皇帝が建設を始めたとされる世界遺産 万里の長城。
全長が2万1、000kmを超える巨大な壁である。
人類の歴史は常にこうした壁とともにあった。
東西冷戦時代 米ソ対立を背景に築かれたベルリンの壁。
ヨルダン川西岸パレスチナ自治区にイスラエルが設置した分離壁。
そしていま再び世界各地で新たな壁が問題となっている。
ハンガリーがセルビアとの国境沿いに建設した長さ175kmに及ぶフェンス。
中東からの難民を阻止するためのものである。
難民受け入れ問題で大きく揺れるヨーロッパ。
4月4日 ギリシャ政府はトルコから密航してくる難民らを
トルコに強制送還する措置を始めた。
(強制送還される難民)
「子どもはみんな病気だ。
 私たちもだ。
 みんな病んでいる。」
4日は合わせて202人の難民がギリシャのレスボス島からトルコに送りかえされた。
その根拠となったのが3月EUとトルコの間で結ばれた合意。
トルコからギリシャに密航する難民を原則送りかえすという
目に見えない新たな壁を造ることが決められたからである。
こうした人々を隔てる壁をめぐっては
アメリカでも。
(米。フロリダ 3月20日 トランプ氏)
「誰が“壁”の費用を払うんだ?
 メキシコ
 100%全部だ。」
アメリカ大統領選挙で共和党候補の指名争いをしているトランプ氏は
メキシコとの国境に不法移民を防ぐ巨大な壁を造ると訴えた。
さらにサウジアラビアでは
イスラム国の戦闘員の流入を防ぐため。
またウクライナでは
対立するロシアとの国境に新たに壁やフェンスの設置が進められている。
ベルリンの壁崩壊から25年余。
東西を隔てた壁は壊されたものの
以後 その数は減るどころか増えているのである。
カナダ・ケベック大学が2015年に行った調査によると
1989年 ベルリンの壁が崩壊したとき
世界の国境や境界線に存在したのは16の壁。
しかし2015年 
世界の壁は計画中のものまで65に増加しているという。
なぜこうした壁が増えつつあるのか。
(東京工業大学 リベラルアーツ研究教育院長 上田紀行教授)
「恐怖を駆り立てて
 壁を造らなきゃいけないんじゃないかという雰囲気がまん延している。
 世界はテロで埋め尽くされ
 『ここにもテロリストが潜んでいるのでは』
 といった雰囲気が悪循環をなしてきている。」
民族や宗教による対立が先鋭化。
イスラム国の台頭を始め
各地で相次ぐテロや内戦によって
世界に増えつつある壁。
それは物理的な壁にとどまらない。
他者を差別したり排除する動き。
それは日本社会にも広がっている。
(東京工業大学 リベラルアーツ研究教育院長 上田紀行教授)
「対岸の火事ではなくて
 日本のヘイトスピーチとか
 インターネット上での匿名の中での他者への攻撃
 すでに心理的な壁が築かれている。」
そうした心の壁が今や日本社会で大きな問題になっていると
社会学者も指摘する。
(日本大学 文理学部 好井裕明教授)
「他者に対する想像力みたいなものがすごく衰えている。
 劣化している。
 障害者の問題
 性的マイノリティーの問題とか
 様々な違いを持っている人は
 こうに違いないとか決めつけ線を引く。
 多様性が見えなくなる。」
ベルリンの壁崩壊から25年の記念式典でドイツのメルケル首相はこう語った。
(2014年11月 ドイツ・メルケル首相)
「壁の崩壊は夢が現実になることを私たちに示してくれた。」
しかし時代は今その壁を壊すことの難しさを
あらためて私たちにつきつけている。

 


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