日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

プロ野球開幕

2020-07-18 07:00:00 | 編集手帳

6月20日 読売新聞「編集手帳」


 ラジオが家になく、
近所の上級生に野球放送を聴かせてもらっていた。
だが部屋に上げてくれず、
窓枠にしがみついて聴いた。
雨の日には傘をさして…
詩人の清水哲男さん(82)の述懐である。

しかしそんな扱いを受けても、
ふしぎとみじめな気持ちにならなかったという。
やはり相当の野球放送好きだったからにちがいないと、
かつての本紙への寄稿で少年時代を振り返っている。

自分が何をしているかさえ忘れて夢中で白球を追った耳に、
テレビ時代が訪れると、
目が加わったのは言うまでもない。
プロ野球が3か月遅れで開幕した。

先の寄稿とは別の文章だが、
「ポエムズ」という詩人の草野球チームまで率いた清水さんに今思い出すと胸に響く一言がある。
草野球はよく雨降りに泣かされる。
でもこれもよいところで、
思えば敗戦直後からの野球少年はいつだって雨に泣き、
ボールやグラブ不足にも泣いていたという。
で、
自然に思ったのは
「泣くことも、
 また野球のうち」

球音が途絶えた時期への思いはファンも選手も同じだろう。
涙をはらうようにきのう、
各球団のエースが今シーズンの第1球を投じた。

 


コメント    この記事についてブログを書く
« 感染症と世界の歴史 「パリ大... | トップ | 人形町2丁目 人形町今半 高... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

編集手帳」カテゴリの最新記事