5月18日付 編集手帳
かつての殿様、加藤清正はのちのちも熊本の人々に慕われた。
芝居でも、清正公が現れると観客の反応が違う。
明治の頃だろう。
「忠臣蔵」にも登場したと、扇谷正造『吉川英治氏におそわったこと』(六興出版)にある。
区切りのいいところで舞台に清正公が登場する。
ひとことセリフを言って去るのだという。
「さしたる用もなけれども…」
何の用があったのか――菅首相が野党から責め立てられている。
震災翌日に原発を視察した判断をめぐって、である。
首相は格納容器が破損している可能性を認識していながら、司令本部の官邸を留守にしており、
「出る幕」だったかどうかは大いに怪しい。
そういえば、
政府と東京電力が一体となって原発事故にあたる「対策統合本部」の設置(3月15日)よりも、
蓮舫行政刷新相に節電啓発担当相を兼務させる人事(同13日)のほうが先というのも、
ピントがぼけていた。
拍手がもらえそうならば無理にでも「出る幕」をつくってしまう
“興行師”のような最高指揮官では困る。
視察は意義があったと首相は言う。
「さしたる用もなけれども…」と言うはずもないが。
かつての殿様、加藤清正はのちのちも熊本の人々に慕われた。
芝居でも、清正公が現れると観客の反応が違う。
明治の頃だろう。
「忠臣蔵」にも登場したと、扇谷正造『吉川英治氏におそわったこと』(六興出版)にある。
区切りのいいところで舞台に清正公が登場する。
ひとことセリフを言って去るのだという。
「さしたる用もなけれども…」
何の用があったのか――菅首相が野党から責め立てられている。
震災翌日に原発を視察した判断をめぐって、である。
首相は格納容器が破損している可能性を認識していながら、司令本部の官邸を留守にしており、
「出る幕」だったかどうかは大いに怪しい。
そういえば、
政府と東京電力が一体となって原発事故にあたる「対策統合本部」の設置(3月15日)よりも、
蓮舫行政刷新相に節電啓発担当相を兼務させる人事(同13日)のほうが先というのも、
ピントがぼけていた。
拍手がもらえそうならば無理にでも「出る幕」をつくってしまう
“興行師”のような最高指揮官では困る。
視察は意義があったと首相は言う。
「さしたる用もなけれども…」と言うはずもないが。