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花笑み 北上中

2018-04-04 07:00:00 | 編集手帳

3月25日 編集手帳

 

 三分咲きとか五分咲きとか、
桜の開花を「数値化するのは無理な話」だという。
木は一本ごとに異なり、
見る人の感じ方も様々だ。
「ほころびかけてきた」
「笑いかけてるな」。
京の桜守(さくらもり)、
16代目佐野藤右衛門さんは代わりにそんな言い回しを使うらしい。

笑いかけ、
とは何と味わい深い表現か。
辞書には「花笑み」との項目もある。
花風、
花めく、
花明かり…。
春、
たおやかな日本語に改めて感じ入る。

その名にも祈りや思いがにじむ。
浪分(なみわけ)桜。
東日本大震災の記憶を伝えるために、
宮城の主婦らが毎春、
津波到達地点で植樹している。
5回目の今年は石巻など3市町で植えた。

木は佐野さんが無償で提供する。
祇園の夜桜として知られる京都・円山公園の枝垂れ桜の種から育てたものだ。
ソメイヨシノに比べて格段に寿命が長い。
土地に根付けば、
1000年でも花を咲かせるのだという。

人が桜にひかれるのは眺める度、
うれしかったり悲しかったり、
共に刻んだ記憶がよみがえるからかもしれない。
<さまざまの事おもひ出す桜かな>(芭蕉)。
5月半ばの北海道・釧路まで、
笑顔がゆっくりと列島を北上する。



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