日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

スウェーデン 持続可能な社会へ 現場の試み

2020-12-20 07:00:02 | 報道/ニュース

11月17日 NHKBS1「国際報道2020」


気候変動への対応が求められる今
世界中で多くの企業が環境対策に乗り出している。
その中で注目されているのが北欧のスウェーデン。
国民のリサイクル意識も高く
環境対策で先進的な企業が多いこともあって
2030年までに17の分野で持続可能な社会を目指す
国連の「SDGs (持続可能な開発目標)」の達成度でも1位となっている。
そんなスウェーデンで今広がっているのが循環型ビジネスである。
さらなる持続可能な社会を目指して企業が取り組んでいるものである。

スウェーデン南部のショッピングモール。
雑貨や家具などの店が並び
一見 他のモールが変わらないように見えるが
販売されているのは中古品を中心とした“持続可能な”商品。
ここは正解で初めてとされるリサイクル商品専門のモールである。
(客)
「1か月に2~3回来ます。
 ここは大好き。
 リサイクルは環境を守るために大切なことよ。」
モールは地域のリサイクルセンターに隣接。
ここに市民が運び込む不用品の中から再利用でいるものを使って商品を作り出している。
古いたんすも白いペンキを塗って大胆にリメイク。
不用品を生かし
より価値の高い製品に生まれ変わらせることは“アップサイクル”と呼ばれている。
店舗ではこうしたアップサイクルされた商品が販売されている。
価格も手ごろでユニークだと評判は上々である。
モールはオープンから5年で店舗が14店に倍増し
売り上げは3倍に伸びたという。
(ショッピングモールマネージャー)
「以前はみんなここがどのような場所か理解していませんでした。
 けれど今はアップサイクルなどによる循環型モールだという認識が確立しています。」
循環型ビジネスには世界的な大企業も乗り出している。
11月 このモールに期間限定の店舗を開設したのが
家具や雑貨を扱うイケアである。
「’80年代や’90年代の品物もありますよ。
 このCD・DVD用のラックとかね。」
並んでいるのはかつてイケアで販売されていた中古の品々。
イケアにとって初めてとなるリユース商品専門の店舗である。
回収したものを修理するなどして通常の半額以下で販売している。
(客)
「思ったより安く買えました。」
イケアでは2030年までには
全製品を再生可能素材などで生産する循環型ビジネスの実現を目指している。
限られた資源を循環させ
常に新しい価値を生み出し続ける。
この店舗はこうしたビジネスの実演に向けた第一歩として位置づけられているのである。
(イケア スウェーデン サスティナビリティ―担当)
「このモールでは中古品ビジネスについて多くを学ぶことができます。
 私たちもこの循環型ビジネスに加わり
 国内や海外でどのように展開できるか模索したい。」
スウェーデンはいま循環型の経済を成長の柱に据えようとしている。
2020年7月に発表された国家戦略では
限りある資源の効率的な利用と
新しい環境技術の開発で
経済を大きく成長させるという目標を掲げた。
こうした成長戦略を担うベンチャー企業もすでに生まれている。
(ベンチャー企業のPRビデオ)
あなたのジーンズや古い衣類をください
自然に還る素材に生まれ変わらせます
スウェーデンの王立工科大学の研究をもとに
循環型の布地を開発したベンチャー企業。
古いジーンズなどを裁断。
圧縮して紙のような状態にしたうえで
特殊な薬剤を使って糸を作り出し
新たな繊維に仕上げていく。
通常 綿の生地を生産する場合は大量の水を必要とするなど環境への影響を指摘されているが
この方法だとリサイクルした水を使って廃棄物もほとんど出すことなく生産できるという。
(アパレル ベンチャー企業 CEO)
「まさにサスティナブル(持続可能)なモデルとして期待されています。」
この記事は去年本格的に販売を開始。
今年に入り大手メーカーを協力したドレスやジーンズなどの商品が次々と生まれている。
(アパレル ベンチャー企業 CEO)
「循環型の技術は
 雇用や成長をもたらす将来有望な分野であり
 持続可能な社会を実現することになるでしょう。」

モールは幅広い年齢層の人たちが利用していて広く根付いている。
売られているものも工夫してアップサイクルされたり
きちんと修理されたりしていて
使い古されたものがただ並んでいるという印象はない。
さらにこのモールにはリサイクルやアップサイクルについて学ぶ学校もある。
隣接するリサイクルセンターで探してきた不用品を利用して制作し
商品として売られることもあるという。
このモールにオープンしたイケアの店舗の店長は
イケアとしては世界で最も小さい店舗かもしれないが
持続可能性という点では最も大きな可能性を秘めているという。
やはり企業としては採算を度外視した取り組みはできない。
イケアもまずは6か月という期間限定で
さまざまな角度から検証し
その後の展開を考えていくということである。
またアパレル ベンチャー企業は正式な展開を始めてからまだ2年足らずだが
ビジネスは順調で
新たな工場の設置も進め増産体制を整えている。
H&Mやリーバイスといった身近なブランドと提携して
広く普及を図ることで価格を抑え
利益を確保する狙いもあるとみられる。
環境問題を自分のこととしてとらえる消費者が増えるなか
新しいものを生み出し続け販売するという従来のビジネスモデルも転換点に来ている。
環境への取り組み自体も
企業価値を高めることにつながるとみられ
循環型というビジネスモデルはすでに世界の潮流として根付き始めている。

 


コメント    この記事についてブログを書く
« 苦境に立たされたマンゴー農園 | トップ | 「007」ロケ地 鹿児島より... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

報道/ニュース」カテゴリの最新記事